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魔笛

「それで、今回の依頼はなんですか?」と私は依頼主の村長さんに話を伺っていた。

「その、この話をするとみんなまじめに聞いてくれないんですが・・・」

「かまいませんよ。私達の仕事はそういうものですから。」

そして、村長は重い口を開いた。仕事内容をまとめるとこんな感じです。

毎夜、不思議な笛の音が聞こえて村人が教会に集まると言う。翌日になると村人がひとり消えているらしい。その正体を突き止めてほしいという。

「ねぇ、死神さん。どう思います?」

「神隠し・・・なわけないな。んなものの気配感じないし。」

「教会で悪魔とか本末転倒ですね。」

「教会なんて所詮はただの建物にすぎないんだか、廃墟で起きたのと大して変わらんよ。」

「とりあえず、夜になるまで待ちますか?」

「そうだな・・・そうするか。」

さて、それじゃあ、夜になるまで少し説明しますね。前回、何故死神が悪魔を狩っているかを説明しましたよね。悪魔に人の魂を持っていかれるからです。死神は死者の魂を刈り取るのが仕事。だから死神からすれば都合が悪い。

では、何故死神は魂を回収しているのでしょう?

それは、魂はリサイクルされるからです。集められた魂は分解されほかの魂と組み合わさって新たな魂になるんです。で、リサイクルだから、魂を悪魔に持ってかれると部品が足りなくて魂が作れない。つまり、そのサイクルが崩れるので悪魔と死神は折が合わないんです。

まぁ、後は追々、アナタ(読者)から質問がきたら答えていきましょう。


夜 不思議な笛の音が聞こえた。そして、村人達が動き出す。まるで、誘蛾のように教会へ引き寄せられていく。

「なるほど、確かにこいつは魔笛だ・・・。」

「どうやら私と死神さんには聞かないみたいですが。」

「神と死人だしな・・・。人間とはどこかが違うんだろう。」

そして、教会へ私達も潜入した。そこに居たのは笛を吹く悪魔。ヤギみたいな悪魔だった。まぁ、二足歩行の手が人の手なのでなんともいえませんが・・・。その手には笛が握られていた。

「こいつが悪魔・・・ずいぶん低級だな。」とノワールが言う。

「でも、融合はするんですよね?」

「いいから、早くしろ。」

「はい。」

私はノワールと手をつなぐ。そして、融ける。一瞬、眩しい光が起きるとそこには一人の少女が立っている。真っ白なワンピースに真っ黒な身の丈ほどの鎌、腰まで伸びた白い髪。そして、蒼い目。その目に映るのは“死”

「な、なんだお前は!」

驚いた悪魔が笛を止め声をだす。

「この鎌を見てもなんだかわからないか?」とノワールは聞く。

「死神か?しかし、此処の人間は残念ながら死神は信じていない。信じているのはこの町の神だけだ。故に貴様の力はほぼ無に等しい。」

「やってみるか?」

鎌を突きつけ挑発する。

「死ねー!」

乗ってきた。笛を吹いて村人を向かわせる。

『死神さん、不要な魂の回収はいけないんですよね?』と私は言う

「わかってるよ。まぁ、少しぐらいあふれた程度ではあの場所はどうにもならないけどな。依り代の願い、叶えてやるよ。」

俺は走り出した。人の波をかいくぐっていく。襲い掛かる村人を持ち手でなぎ倒す。死ななければ大丈夫だろ。

『後ろ!』

「わかってる!」

俺は振返り鎌で振り下ろされた武器メイスを受け止めた。

「こいつ・・・死人か。」

なるほど、生者の中に亡者か・・・

「は!」

力を込め武器をはじきがら空きになった腹部を鎌で切り裂く。

「亡者と生者の区別が面倒だな・・・。まぁ、さっき言っちまったから撤回はしないが。少し、力を上げていくぞ。」

俺の蒼い目が輝きを増していく。魂が視える。生者と亡者の区別がしやすくなった。

「これで、視える・・・はぁ!」

次々に亡者どもを切り裂いていく。亡者はまるでバターのように簡単に切れていく。

「っく!」

悪魔がその力に驚き魔笛を吹こうとする。

「その、耳障りな演奏を止めろ!」

霊力の塊をナイフの形にして笛めがけて投げた。笛は見事に砕け散り耳障りな音は消えた。

「ふ、笛が!」

「これで、終わりだ!」

悪魔の目の前まで跳躍し鎌を振り下ろす。悪魔は断末魔の叫びを上げて消えた。


翌日

「これは、報酬です。本当にありがとうございました。」と村長は深々と頭を下げた。

これにて依頼完遂です。さて、次の依頼は・・・


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