忘れられた舟
マイク「...!宇宙!?」ジン「...!宇宙だと?」ゼロ「ああ。ここの外...つまり宇宙にも、居住衛星はある。僕たちはここの外の衛星に行く。」マイク「うーん...スケールが大きすぎて...よくわか...おい!後ろ!」マイクが叫ぶ。後ろからドローンが来る。別の保安部隊だ。ドローン「個体確認:レイ 特殊司令を確認。通常戦闘規定を解除。無条件の攻撃を許可。」ジン「レイ...誰だ?」マイク「おいおい、勘違いしてるぞ!ここにはれい?なんて奴いねえぞ!」ドローンは聞く耳を持たず、攻撃を始める。ゼロ「嘘だろ?」マイク「おいっ、正気か?こんな狭いところでミサイル打つなよ!」マイクのすぐ後ろで爆発する。マイク「おわっ、モヒカンが!あいつら頭おかしいぞ!」ジン「任せろ。」一閃。次々と柱が切れ、爆発の衝撃がきっかけで崩落する。ゼロ「通路抜けるよ!出たらすぐ右だ!」地図によると、ここから数キロ先に廃棄されたドックがあるはずだ。そこにここに住んでる人を運んで来た船があるはずだ。後ろは...。さすがにドローンはここまで来れないか。ゼロ「よし、着いたぞ。ここだ。」マイク「おい、ただの壁しかないぞ」ゼロ「確かにね。でもここ、少し壁の色が違うし、ここに溶接跡がある。元々空間があって、板がつけられたんだ。」マイク「ぶち破ればいいか?任せとけ!」ゼロ「待って。」壁を手で軽く叩く。ゼロ「見た感じ100...いや、200mmくらいある。ライフルならいけないこともないけど、弾は貴重だよ。」ジンに目配せする。壁に切れ込みが入り、奥側に壁が倒れる。倒れた先からいろいろな塵が舞い上がる。マイク「モヒカンが...」そこを跨ぎながら、断面を見る。200mmと見積もったけど175mm。25mmの誤差か。まだ勘は鈍ってるな。マイク「お、また扉だぜ。」ジンが前に出て、扉に付いた塵を手で払う。ジン「エア...ロックか。」マイク「おいおい、まだ動くのか?」ゼロ「わからないけど...動かすしかないよ。」そう言いながら、操作盤のスイッチを押す。ゼロ「まあ...そうだろうと思った。見てみよう。さーて...なんでだー?」少しサビがついていた操作盤のネジを外す。錆が少し剥がれ落ちて、金属が鳴る。四箇所を外し、配線を1本1本確認する。ゼロ「嘘だろ?銅ワイヤー?見たのは教材以来だぞ。いくらなんでも古すぎだろ...!」...ここには原因は見当たらないな。これはめんどくさいことになってきた。あり得るのは中で断線してるか...モーターが壊れてるかだ。モーターだったら直せない...そうじゃない原因を潰していくか...マイク「ロ...!ゼロ!おいゼロ聞こえてんのか」ゼロ「ああごめん。どうしたの?」マイク「ジンがなんか言ってんぞ」ジン「見ろ。図面では向こうはまだ真空じゃない。真空になるのは宇宙船の出入りの時だけだ。」ゼロ「つまり...ここは普通に通れるのか。問題は出航時に真空になることだな。」 ゲートのロックを切断し、慎重に開く。向こうに通ってから、ゲートを閉じる。ゼロ「これは溶接かな。マイク、溶接機ある?」マイク「んー、どんな見た目のやつ?」ゼロ「細長くて、持ち手側にZって文字が彫ってる。そうだな...マイクの持ってる銃の7割くらいの大きさだよ」マイク「うーん...悪い。多分ない。」少し意外な返答に面を喰らう。ゼロ「えっ...まあ大丈夫。物を色々押し込んで接着しよう。それよりも船が動くか、そもそもあるかのほうが問題だ。」エアロックを完全に塞ぎ、振り向いてそこから出る。エアロックを通った先は...とても広かった。天井からポートの番号を示す看板が吊るされている。おそらく左から0、1、2の看板があったのだろうが、1と2は落ちていた。左右には窓が設置されていた。あそこから離着陸を管理していたのだろうか。正面の壁には、中心に分かれ目が入り、天井から地面まで伸びている。その分かれ目は歯のようにギザギザとしていて、いくつかのセグメントに分けて固定している。ゼロ「この先に...宇宙が...また見たいな。」マイク「3つ場所があるし、分かれて探そうぜ!」ジン「そうだな。では右を。」マイク「俺は真ん中だ!」ゼロ「じゃあ左にするよ。残り物には福があるっていうしね。」三人が分かれてポートを確認していく。ゼロ「うーん...こっちはないな。おっとっと、気をつけないと。落ちたらだいぶ痛そう。」マイク「おーい!そっちはあったかー!」ゼロ「こっちは無いよー!ジンはー?」ジン「...これか?」よかった。肝心の宇宙船がないということは防げた。ゼロ「本当ー!今行く!」そう言って、少し小走りで端から端まで進む。うそ...これもしかして...興奮を隠しながら宇宙船に近づき、詳しく見る。ゼロ「まさか...TP-003がまだ現存してるなんて...これが動けば、とんでもない価値がある。」マイク「まじか!じゃあゼロ、早く入ろうぜ。」ゼロ「そうだね。」これが認証装置だ。長方形の形で、旧型だからキーカードになってる。シンガーボルトに手を伸ばすが、空を切る。ゼロ「あれ、あれ?...すぅー。シンガーボルト使い切っちゃった。多分機体に直接繋がってるから分解もできなさそう」マイク「嘘だろ!?どうすんだ」ゼロ「...少し手荒になるけど、ここの認証装置をひっぺがして。」マイク「それでいいのか?」ゼロ「ドアにさえ電気が行けばいい。」マイク「そうか。よくわからんけどまあいい。行くぞ!」マイクは関節をポキポキと鳴らした後、勢いよく認証装置の両端を掴み、引っ張り始めた。力技だが、技術がある。手を曲げて体全体を前に動かしてから、足を滑らせて急速に重心をずらし、体重と勢いを利用している。マイクが引っ張るごとに少しずつ周りが浮いてくる。ガッ...マイク「うぉっと、ゼロ!取れたぞ!」ゼロ「いや、まだだ。角のプラスチックが取れただけだ。あとちょっとだよ」マイク「なんだよ。よい...しょっ!!」制御盤が外れて、何本か線が飛び出してくる。マイク「うわっ!」マイクが勢いよく後ろに倒れる。ゼロ「マイク、大丈夫?よし、ここまで来ればあとはここに電源をブリッジして...よし。」すぐ左の電動ドアが、数ミリ上に持ち上がり、特有の金属の擦れる音を立てながら開き始めた。ゼロ「引っかかってる...」少し力を入れてドアを蹴る。ガッという音を立てる。ジン「そんな手荒で大丈夫なのか?」ガッ...ガガガ。ドアが開く。ゼロ「こういう治し方ができるのは旧式のデバイスだけだよ。とりあえず叩いて悪化させるのは誰しも通るけど、遺伝子にでも刻まれてるのかな。」マイク「操縦室行こうぜ!」ジン「エンジンを見てくる。心配するな。多少心得がある。」ゼロ「ジンが?ちょっと意外だった。すごい助かる。こっちも操縦室探そう。」操縦室へ向かうゼロ。エンジンに消えるジン。マイクは興奮している様子で船内を見つめている。数百年前、人類を宇宙に運んだ舟。その鼓動は、まだ完全には止まっていなかった。




