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【漫才】寝てない自慢

作者: 結城トウジ
掲載日:2025/12/20

二人「はい、どうも~」


ツッコミ「中学のときとかさ~、やたら寝てない自慢とかしてる奴いなかった?」


ボケ「あ~、いたね」


ツッコミ「あれなんだったの? かっこいいと思って言ってたんかな? テストのときの勉強してない自慢もそうだけど」


ボケ「かっこいいと思って言ってるっていうか、実際かっこいいですからね。寝てない人は」


ツッコミ「なんでだよ! どういう理屈で寝てない奴がかっこよくなるんだよ」


ボケ「それはもうたくさん理由はありますけども、君一日どれくらいの時間寝てる?」


ツッコミ「まぁ~、7、8時間じゃない? 一日。それくらいでしょ、みんな」


ボケ「よくそれで今まで生きてこれたね」


ツッコミ「どういう意味だよ! 普通だろ、7、8時間は」


ボケ「そんな長時間無防備晒してたら襲われまくりでしょ。逆になんで今まで生きてこれたの?」


ツッコミ「襲われるってなんだよ。何に襲われるんだよ」


ボケ「ハイエナとか」


ツッコミ「ハイエナ!? サバンナで寝てるわけじゃねぇっつの! シマウマかなんかか俺は」


ボケ「現代社会だって同じなんだよ。いつハイエナに襲われるか想定して生きていかなきゃいけないわけ。そういう意味でも寝てない人っていうのはかっこいいよね、やっぱ。無防備を晒さないわけですから」


ツッコミ「無理だろ、寝ないで生きてくなんて。そんな奴いるわけないじゃん」


ボケ「僕、寝てませんけど」


ツッコミ「嘘つけ! 何わかりやすい嘘ついてんの?」


ボケ「ほんとだって」


ツッコミ「嘘つけ。じゃあ何時に起きたんだよ、今日」


ボケ「8時くらい」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか!」


ボケ「あっ! ずるいって! 誘導尋問は!」


ツッコミ「そんなんじゃねぇけど、ほら寝てんじゃんやっぱ」


ボケ「寝てないんだって本当に。寝てる人はね、そういうこすズルいことするんだよね」


ツッコミ「こすズルいとか言うな」


ボケ「ほかにも寝ないことによるメリットはたくさんありますから」


ツッコミ「えぇ~? ないだろ。っていうかそもそも寝ないと頭回んないだろ」


ボケ「そんなことない。逆に頭が冴え渡ってきますから」


ツッコミ「嘘つけ。一日寝ないだけでも相当きついぞ」


ボケ「僕なんてもう何十年と寝てませんから、冴えに冴えまくってますよ今」


ツッコミ「またブッこんできたなぁ。じゃああれ、フェルマーの最終定理とか説明できんの? 俺まったく数学わかんねぇけど」


ボケ「あぁ、すぐできますよ。そんなの」


ツッコミ「すぐできんの? じゃあ説明してみ」


ボケ「まず、ボウルに水を張ります」


ツッコミ「え?」


ボケ「そこに入れて5分くらい経ったらもう出来上がりですから」


ツッコミ「なんの話してんの? フェルマーの最終定理ですけど?」


ボケ「増えるわかめの話ですけど」


ツッコミ「フェルマーの最終定理! なんで増えるわかめの話だよ。……ちょっと似てるけど」


ボケ「ほかに寝ないほうがかっこいいことの一つに、時間を有意義に使えるってことがありますね」


ツッコミ「本当に寝ないで済むならね」


ボケ「君なんかは一日の3分の1は無駄にしてるわけですから。つまり人生の3分の1無駄ってわけ」


ツッコミ「無駄じゃねぇだろ。寝ないと生きていけないんだから」


ボケ「えっ、僕、寝てませんけど」


ツッコミ「だから寝てるっつの! なんでそんな見え見えの嘘つくの」


ボケ「ほんとだって」


ツッコミ「嘘つけ。じゃあ寝る前は何飲んだんだよ」


ボケ「ホットミルク」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか!」


ボケ「あっ、違っ、ホットミルクは飲んだけど寝てないの!」


ツッコミ「嘘つけ。絶対寝てるだろ。いつ飲むんだよ、それ以外でホットミルク」


ボケ「朝、起きたあとにも飲みますよ」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか! 朝起きたってことは寝てんだって」


ボケ「だから君がね、8時間アホみたいな顔してる間に僕は有意義な時間を過ごしてるってわけ」


ツッコミ「なんだよ有意義な時間って。何してんだよじゃあ」


ボケ「それはまぁ、その時間は記憶が飛んでますけど」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか! 覚えてないってことは寝てるってことだろもう」


ボケ「だから寝てないって言ってんじゃん!」


ツッコミ「じゃあ何してんだよ、言えるだろ」


ボケ「はい、まず目の上下をね、手を使ってグッと広げる」


ツッコミ「は? 何してんだよ、それ」


ボケ「そうすると寝ませんから。こうやって目を開けている限りは」


ツッコミ「お前8時間ずっとそうしてるわけ? 何もできないじゃん。どこが有意義な時間なんだよ、目開いてるだけで」


ボケ「寝ないってことがかっこいいわけですから」


ツッコミ「目的すり替わってんじゃんもう」


ボケ「あとは自分で自分をビンタしたり」


ツッコミ「どこがかっこいんだよそれの! もう寝ろって! そんなことして無理やり起きてるくらいなら」


ボケ「だから寝ないことがかっこいいって言ってんじゃん! いつハイエナに襲われても対処できるようにしてたいの!」


ツッコミ「できるわけねぇっつの! どうせ目も半開きでうつらうつらしてんでしょ? 無理だろ」


ボケ「目は瞑ってますよ」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか! 目瞑ってるってことはもう寝てんだって」


ボケ「違っ! そのときはたまたま座頭市のものまねしてたんだって!」


ツッコミ「座頭市!? 紛らわしい真似すんな! なんで夜中に座頭市のものまねなんかしてんの」


ボケ「男なら誰だって一度は座頭市のものまねしたくなるでしょ!」


ツッコミ「ならねぇよ! 少なくとも俺はしたいと思ったことねぇよ!」


ボケ「あとは瞑想して過ごしたり」


ツッコミ「瞑想? もう寝てるだろそれ。目瞑ってあぐらかいて、寝てるだろそれ」


ボケ「あぐらなんてかいてないですよ。いびきはかいてますけど」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか! いびきかいてるってことは寝てんだって! ってかあぐらかかずに瞑想ってどうやんの? 体勢どうなってんの? お前」


ボケ「仰向けに寝た状態ですね」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか! 目瞑って仰向けに寝ていびきかいてるって、完全に寝てんだって! よくそんなんで寝てない自慢できたなお前」


ボケ「僕寝たことないからわからないんだけど、寝ると夢っていうのを見るらしいんだよ、知ってる?」


ツッコミ「バカにしてんのか。っていうかお前も夢くらい見たことあるだろ、寝てんだから」


ボケ「だから寝たことないから一度は夢を見てみたいって言ってるの。小学校の卒業文集にも書いたんだから、『ぼくの夢は、夢を見ることです』って」


ツッコミ「意味わかんねぇよ。みんなスポーツ選手になりたいとか保育士になりたいとか書いてるところになんでお前だけ『ぼくの夢は、夢を見ることです』って意味わかんねぇもん、そこだけいきなり書かれても」


ボケ「でもかっこよくない? 『ぼくの夢は、夢を見ることです』って」


ツッコミ「なにちょっと気に入ってんだよ」


ボケ「それ見て学校のみんなも拍手喝采してたもん。先生もスタンディングオベーションして『たけちゃん、すげー』って言ってくれてね」


ツッコミ「……お前名前にも苗字にもたけって入ってないけど、たけちゃんって誰? 同級生が言うならわかるけど、先生が『たけちゃん、すげー』って言ってんの?」


ボケ「そういう夢をね、昨日見たんだよ」


ツッコミ「寝てるじゃねぇか! いいかげんにしろ」


二人「どうも、ありがとうございました~」

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