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あなたの為に、ビジュを良くしてる訳じゃない  作者: 櫻木サヱ
それでも、離れられない

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23/23

名前を呼ぶ理由

文化祭が終わり、校内は普段の落ち着きを取り戻しつつあった。

机や椅子は元の位置に戻され、飾りやポスターも片付けられている。

それでも、教室の空気には昨日日の熱気の名残が残っていた。


つかさは窓際の机に座り、窓の外に目をやる。

空は澄んだ青色に染まり、朝の光が優しく差し込む。


「……なんだか、まだ昨日のことを思い出すな」

小さくつぶやきながら、つかさは手元のノートを眺める。

文化祭中の出来事やれんとのやり取りを思い返すと、胸が少し高鳴った。


「桐谷、そんなところにいたのか」

背後から声がして振り返ると、れんが立っていた。

「おはよう、れん」

「おはよう。昨日は……手伝ってくれてありがとう」

「ううん、私も楽しかったよ」


二人の間に、ぎこちない沈黙が生まれることもなく、自然な空気が流れた。

つかさは心の中で、昨日よりも少し落ち着いた自分に気づく。



教室に入ってきた木嶋とまこが、二人の様子を見て笑う。

「おいおい、まだラブラブしてるのか?」

「うるさいな、別にそんなことないよ」

つかさは顔を赤らめながら返す。


れんは少しだけ笑い、軽く肩をすくめる。

「まあ、少しは……な」


そのやり取りに、つかさの胸はじんわり温かくなる。

文化祭を通して、れんと自然に距離を縮められたことが、今の幸せを実感させる。



放課後、掃除を終えた教室で、二人は机を並べて荷物を整理していた。

「明日からまた通常授業か……」

「そうだな。ちょっと寂しいけど」

つかさは小さく笑い、れんを見る。


「でも、昨日のことがあったから、少し勇気が出る気がする」

「桐谷……」

れんの視線が優しくなる。

「俺も同じだ」


その瞬間、互いの存在がより身近に感じられる。

手をつなぐわけではないけれど、自然と肩の力が抜け、互いの距離が温かく縮まっていることを実感する。



夕方の光が教室を柔らかく包む。

つかさは窓の外を見ながら、思い切ってつぶやく。

「れん、これからも……一緒に頑張ろうね」


れんは微笑んで頷く。

「もちろんだ」


教室の片隅には、文化祭で使った小道具がそのまま置かれている。

二人はその存在を見て、自然に笑い合う。

思い出を共有したことで、関係はさらに深まり、これからの日常にも温かさが宿っていた。


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