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あなたの為に、ビジュを良くしてる訳じゃない  作者: 櫻木サヱ
すれ違いの輪郭

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21/23

気づかない嫉妬

文化祭前日、教室には独特の高揚感が漂っていた。

飾りつけやポスター、椅子や机の配置など、最終確認をする生徒たちの声が賑やかに響く。


つかさはクラスの掲示板の前で、最後の飾りの位置を確認していた。

「ここ……この色の紙をもう少し上にした方が目立つかな」

「それなら、こっちの方が映えると思うよ」

後ろから聞き慣れた声がして振り返ると、まこが手伝ってくれていた。


「ありがとう。まこ、さすがだね」

「いやいや、二人で頑張ってきた成果だから」


ふと教室の端を見ると、れんがポスターを手にして立っていた。

二人の目が合う。少しの間沈黙があった後、れんが小さく口を開く。


「……ここ、こうした方がいいと思う」

手に持っていたポスターを指さしながら、れんは提案する。

つかさは驚きながらも笑顔で頷く。

「ありがとう、れん。確かにこっちの方が見やすい」


二人が作業に集中している間、クラスメイトたちが周りを取り囲む。

「さすがだな、桐谷とれん。コンビ最強」

「俺も手伝うぞ」

モブの声に、つかさは少し恥ずかしそうに笑う。


「二人とも息ぴったりだな」

「うん……でもまだ、微調整必要だね」


れんの横顔が、夕陽に照らされて少し赤く見えた。

つかさの胸は、思わず高鳴る。



作業の合間、つかさは廊下の窓から外を見た。

夕陽が校庭の木々を黄金色に染め、文化祭当日への期待感がじわじわと湧き上がる。


「明日……緊張するな」

小さくつぶやいたその声に、れんが耳を傾ける。

「大丈夫だ。俺も緊張してるけど、桐谷がいればなんとかなる」


つかさは恥ずかしさで視線をそらす。

「そ、そうかな……」

「うん、絶対だ」

れんの真剣な声に、つかさは少し安心する。


「じゃあ、最後の飾りつけ、二人でやろうか」

れんが笑顔で提案する。

つかさも小さく頷き、二人で協力して最後の作業を始めた。

手が触れることはなくても、互いの距離感は自然と近くなっていた。



夕方になり、作業はほぼ終わる。

クラスメイトたちも一息つき、教室内は和やかな雰囲気に包まれる。


「これで完璧だな」

「うん、頑張ったね、みんな」

まこが声をかけ、他のモブたちも笑顔で応える。


つかさとれんは肩を並べて座り、静かに教室を見渡す。

「……なんか、達成感あるね」

「うん」


その瞬間、れんがつかさの方を見て微笑む。

「明日、楽しもうな」

つかさも微笑み返す。

「うん、楽しもう」


夕陽が二人の影を長く伸ばす。

言葉少なにしても、互いの存在を確かめ合える時間。

文化祭を前に、二人の関係は自然と温かく、少しだけ近づいていた。


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