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あなたの為に、ビジュを良くしてる訳じゃない  作者: 櫻木サヱ
れんの誤解、つかさの否定

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14/23

嫉妬の正体

文化祭準備の時間が長くなるにつれ、つかさとたいちの距離は自然と近づいた。

 たいちは飾りつけのセンスがよく、つかさの作ったデザイン案を褒めるたびに、つかさの表情は少しずつ柔らかくなる。

「桐谷さん、色のバランスめっちゃ良いよ」

「……ほんと?」

「うん。誰が見てもそう思う」

 たいちのその言葉は、見た目だけじゃなく“作品の良さ”を拾ってくれる、つかさにとって新鮮な優しさだった。


 一方、教室の隅からその様子を見ている如月れんは、顔に出さないようにしても目つきが険しくなる。

「……なんであいつ、あんなに桐谷と楽しそうなんだよ」

 同じ班の男子が苦笑して言う。

「おまえが話しかけりゃいいだろ」

「いや、別に……」

「別にって顔じゃねぇぞ」

 れんは否定するが、視線はずっとつかさに引っ張られたまま。


 本人は自覚していない。

 けれど周囲には、とっくに分かっていた。

 れんは嫉妬していた。


 文化祭準備中、たいちがつかさの髪についた紙片を取った瞬間。

 れんは反射的に立ち上がった。

「桐谷、それ……」

「ん?」

「いや……なんでもない」

 何も言えずに戻るれんが、悔しそうに眉を寄せる。

 つかさはその視線に気づきながらも、どんな意味なのか分からず動揺するだけだった。


「れん、ちょっと荒れてない?」

 帰り道、まこがつかさに耳打ちした。

「今日のれん、視線めっちゃ刺さってたよ」

「刺さってた……?」

「うん。たいちと話してるときのつかさ、ずっと見てた」

 つかさは胸がざわつく。

 れんはそんなに自分を気にする理由なんてない。

 でも、あの視線は確かに“何か”を訴えていた。


 その“何か”が分かってしまいそうで、つかさは怖かった。


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