表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたの為に、ビジュを良くしてる訳じゃない  作者: 櫻木サヱ
私なんか、の正体

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/13

れんがくれた色

三年生の終わり。

 三者面談があった日の放課後、教室前の廊下でひとり座っていたつかさの前を、れんが通った。

「桐谷、今日なんか雰囲気やわらかいな」

「え?」

「いや、最近よく笑うようになったし」

 れんは本当に“気づいたことをそのまま言っただけ”という顔をしている。

 つかさは胸がいっぱいになり、言葉が出ない。


「れんには、ずっと……私が見えてたの?」

 震える声でようやく出た言葉。

 れんは首をかしげる。

「当たり前じゃん。桐谷ってさ、静かだけどさ、周り見てるし、頑張ってるし」

「……そんな、普通のこと……」

「普通じゃないよ。俺は前から“目立ってる”って思ってた」

「……っ」

 その瞬間、つかさの世界に色がついた。


 透明だと思っていた自分が、誰かにとっては確かに“そこにいる存在”だった。

 その喜びは胸の奥から溢れるほど大きくて、

 同時に、ひどく怖かった。

(れんが見なくなったら、私はまた透明に戻るんだ)

 その不安がビジュ磨きへと向かわせた理由だった。


 ――現在。

 文化祭準備を終え、帰り道。

 まこが隣を歩きながらつかさの横顔を見た。

「ねえ、つかさ。泣きそうじゃん」

「泣かない……」

「嘘。れんのことでしょ?」

 図星を刺され、足が止まる。

 まこは振り返り、つかさの腕をそっと引いた。

「つかさは、れんに“見てもらえなくなる”のが怖いんだよね」

「……そうだよ」

 つかさは泣きながら言った。

「ビジュをやめたら……また透明になっちゃうかもしれない」

 まこは優しく抱きしめる。

「大丈夫。つかさを見てる人は、れんだけじゃないよ」

「……たいち、のこと?」

「そう。つかさの内面をちゃんと見てくれてる奴、現れてるじゃん」

 つかさは涙を拭いながら、小さく息を吸った。

 自分はまだ、誰かの視線なしでは立てないのだろうか。

 それとも、少しずつ前に進めるのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ