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散漫な世界だけど、深くこだわらない  作者: 不透明 白
プロローグ

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プロローグ


 プロローグ。


 前説や口上、この物語においての発端を意味する言葉。

 プロログでもプログレでもない。

 モノローグかと言われると……あながちそれも間違いではないのかも知れない。

 一人語り。

 今ここで何を語れというのだ。

 第一、観客のいない一人語りは『語り』ではなく『言』――単なる独り言、その域を決して出ることはないだろう。


 だからこれは独り言。


 もしこの場面を目撃されてしまったら、それは『虚空にお話をしていた痛い奴』というレッテルを張られて、社会的な死を経験することになるだろう。

 こんな事を言っている僕は近頃、大衆の皆々様を目の前にしてスピーチをしなければならない。

 独り言から一人語り。

 そして、一人語りからスピーチへ。

 飛躍も飛躍、よもや最終進化まで来ているようなこんな状況は、僕にとって想定外だった。

 いや、僕のスピーチに期待している人なんていないと分かっている。

 彼らにとって、僕が披露するスピーチは所詮、有象無象の中の一つ――値打ちなしの無関心で通り過ぎていく何かでしかない。

 そう分かっていても、頭で理解していたとしても、その場面を想像するだけで心臓が二倍速く脈打ち、体が強張っていくのを感じるのだ。


 ……と思う人の方が多そうなので、代弁してみたのだがいかがだろうか?


 もしかしたら、こうやって世の代弁者みたいに喋るのがスピーチのコツなのかもしれない。

 だとしたら、やっぱり僕はスピーチよりも一人語りの方が好きなのかもしれない。

 いや、だったらもういっそのこと全部混ぜてしまった方がいいのではないか。


 独り言を一人語りするスピーチ。


 うーん、字面を見ただけでもつまらなそうだ。

 やっぱりちゃんと考えないとだめかなぁ。

 まぁ、そんなに気負わずに。

 それこそ深くこだわらずに、自分らしくやればいいのかもしれない。

 細かいことは気にしない。

 出番は必ずやって来る。

 骨を砕かず、天命を待つのみである。

2021/12/07に初投稿。本文は当時の文章から加筆・修正を加えての投稿になります。

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