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それでも異世界は輪廻っている  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一部 ゲームから出られなくなった俺を助けてくれたのは、キモデブ悪役令息と犬耳幼女メイドだけでした

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第84話 聖剣ダンジョンへ


 話し合いの翌日、とうとうプラムが目を覚ました。


「ちょっとヤバいって思ったけど、限界以上に魔力使いすぎちゃった。みんな心配かけてごめんね」


 顔色も悪くないし、すっかりよくなったようだがカイルは何度も何度も確認していた。今までそっけない態度しか見たことなかったけど、思ったよりも心配性で意外だった。



「あまり時間がないので手短に言うけど、あなたの調子がよくなったらカイルには勇者になってもらうつもりなの。どうかしら? 行けそう?」


「ええ、問題ありません。アイリス様」


 それからダンジョンには俺とチェリーもついて行くこと、サリーは村に居残ることも話した。


「ああ、リアンが居なければ馬車が使えませんものね。サリーも戦闘が不得意だから仕方ありませんわ」


 サリーはお店開店計画にやる気満々なので、戦闘の役に立っていないと暗に言われていても気にならなかったようだ。実は北部に常設の店を置くため一時的な拠点としてこの村の家を借り上げようとしたら、村の方が大乗り気になったのだ。これまで手に入りにくかった王都の大店の商品が入ると大喜びだ。基本田舎の村は行商人に頼っているからな。


 それにこの村に店を置くことは他の問題も解決できる。

 なんでも北部に入る品物はだいたいこの村を通るため、向こうから週に2,3度取りに来ることになっているらしい。たとえ北部まで品物を運ぶことになったとしても、この村の人間ならば襲われることはない。もし襲って村人が恐れをなして誰も相手にしなくなったら、困るのは北部だからだ。

 これはリアン君も知らなかった。彼は初めは勇士候補として、後半はフレデリカの婚約者として扱われているため、村の物流事情についてはまだ教えられていなかったのだ。


 だから運搬の男性の心配もいらないし、直接北部に店を置くよりもモンスターの襲撃がなく安全になる。

 俺たちがダンジョンへ行っている間サリーが1人になってしまうが、彼女の存在はこの村の利益になるので村人総出で守ってくれるという。だからチェリーが護衛として共に残りたいと言ってもそれが叶うことはなかった。



 翌日には早速聖剣ダンジョンに向かうことになった。チェリーはまだむくれている。戦闘が得意でないのはサリーだけではない。でも彼女はヒロインの1人なので、そのダンジョンで急成長するかもしれない。カイルとしても連れて行かない手はないだろう。

 プラムが俺に馬車の行先を細かく指定する。どうやら行ったことがあるようだ。そりゃあ勇者にならなければ、魔王城行きなんてただ死にに行くだけだもんな。


 道中にはとくに問題もなくあっさりついたダンジョンに俺は見覚えがあった。それはエリーちゃんたちと転移で行ったダンジョンの1つだ。ここは神殿を模している迷宮で、知らないで入るとかなり迷いそうなものだが、何度も来ていて慣れ切ったアルたちは道順を完全に覚えていた。


 それと同じようにプラムはよどみなく歩き進めていた。どうやら同じように道順がわかっているみたいだ。


「ここには何度も来ているのか?」


「いいえ」


 プラムは短くしか答えない。一応仲間ってことになっているのにな。


「2回目よ。前の時はほとんどわたくしが倒してしまって、聖剣が取れなかったの。今日はわたくしも、リアンあなたもサポートのみに徹してね」


 プラムがあまりにそっけなく返事しただけだったので、アイリスが代わりに答えた。

 1回しか来ていないのにこんなに道を記憶してるのか? アレか、マッピングのスキル持ちとか?


「かしこまりました」



 ダンジョンとしてはすごく大変というほどでもない中程度ぐらいところだ。他の所と同じく人型モンスターしか出て来ない。それをカイルとチェリーが危なげなく倒していく。どうやら先日のオーガ戦でレベルアップしたみたいだ。俺が助けるまでもない。


 時折出てくる強めのモンスターを倒すと宝箱が出てきて、ちょこちょこコインや宝石が入っている。いつもエリーちゃんの幸運な宝箱しか見ているせいか、実にしょぼい。あの溢れんばかりの宝物だらけを見ると、1つだけ入っている古めかしいアクセサリーや数枚のコインでは物足りない。だけどみんなは喜んでいる。


「なにかいいものだったのか?」


「とくにすごい付与があるとかじゃないようだけど十分すごいじゃない! ハズレが全然出ないんだもの。リアンはミミックしか出ないんだから文句言えないでしょ」


 そう俺に厳しく言ったチェリーは、カイルがなかなかの幸運の持ち主だと見直したようだ。というか今はミミックの話はしないで欲しい。この世界では俺の幸運値はきっとめちゃくちゃ低いんだろう。そりゃあ高校入学前の最後のゲームだと思って久しぶりに触ったVR機器で、異世界の人間に憑依させられるくらい運が悪いよ!



 攻略は順調に進み、俺はただの馬車要員なだけだったなと思いきや、ある部屋の前で立ち止まった。


「どうした? 行かないのか?」


 するとプラムが俺の方を振り返った。


「ここはモンスターボックス、つまり大量にモンスターが出てくるところなの。アイリス、リアン、サポートお願い。でも一番奥のはカイルに任せてちょうだい」


 ああ、そういえばアルたちと行った時も、ここはモンスターボックスだから実入りはいいけど、僕らには必要ないから今日は止めておこうって言ってたっけ。それにモンスターボックスの中のいっぱいの宝物の一つで紛れてしまったとも。

 

 つまりここがこのダンジョンの正念場ってことだ。


 俺は剣を抜いて戦闘態勢に入った。エリーちゃんが打ち直してくれた剣の初仕事だ。

お読みいただきありがとうございます。


プラムもリアンも戦闘時は口語だけれど、それ以外はアイリスに敬語で話しています。カイルはずっと口語です。

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