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それでも異世界は輪廻っている  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一部 ゲームから出られなくなった俺を助けてくれたのは、キモデブ悪役令息と犬耳幼女メイドだけでした
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第79話 急がば回れ1


 残りのオーガを見つけることが出来なかったので、土地の穢れをプラムに癒してもらうことになった。これだけは聖女である彼女にしかできない。チェリーの魔法陣では効果が弱すぎるし、浄化と治癒を同時に行わなければならない。でも彼女は魔法陣の重ね掛けはできないのだ。


 プラムの魔法はどこか悲しい。彼女自身が虚しさを感じているような気がする。やはり家族を失ってしまったからだろうか?

 よくよく考えたらアイリスやチェリーがゲーム上のキャラと違うように、彼女がすもも様と違うのも当然だ。この世界にアイドルなんて存在は居ないし、無理して笑って欲しいとも思わない。


 彼女はいつも淡々と自分の仕事をこなし、女の子たちといてもとても無口だ。サリーとチェリーは2人寄ったらするお喋りするのにな。そこにアイリスが加わることはあってもプラムはだんまりだ。



 彼女以外は何もできないのでアイリスとカイルが護衛を、俺とサリーとチェリーは食事の支度をすることになった。

 正直俺(リアン君も)は料理が出来ると言っても材料に切って鍋に入れるだけしかできない。つまり今日もポトフである。


 最初はうちのパーティーのお嬢様方はそれすらも出来なかった。野菜を洗ってどこまで切るのか、種を取るのかも知らなかったのだ。だが一緒にやっているうちに洗って皮をむくことも、乱切りやくし切りくらいはわかるようになった。そうでないとご飯作れねーもんな。


 保存食として持ってきた野菜はじゃがいも、玉ねぎ、にんじん、肉は塩漬け豚だ。キャベツはないが、野生のちしゃがあったのでそれを入れる。洗う用の水はチェリーが魔法陣で出してくれる。


「ねぇ、このくらい洗えばいいの? お塩もったいなくない?」


「ダメだ。表面の塩の粒は残すなよ。肉の臭みを吸っているから、鍋が全部マズくなっちまうからな。塩分は中までガッツリ染みてるから、煮て味見してから塩を足すんだ。チェリー、にんじんの皮は多少ついてたっていいが、ジャガイモはちゃんと剥いてくれ。あと芽はくり抜いてくれよ。毒が含まれているからな。おい、勝手にきのこを足さない」


「リアンだって、時々草いれてるじゃない」


「あれはちゃんと食用のハーブでおいしくなるヤツだ。とにかく食べれるかどうか見てからだ」


 俺はチェリーがどっかで狩ってきたきのこの見分をする。俺にはわからないがリアン君はそこそこわかる。大分北部に近づいているしな。ああデカいシメジっぽいけど、かさの裏に変な斑点がある。これは食べたらダメなヤツだ。


「これはすっごく食用に似てるけど毒キノコだからダメだ。キノコは当たると死ぬこともあるから、勝手に鍋に入れるなよ。魔王討伐に来てキノコに当たって死んだなんて、末代までの恥だぜ」


 そう言ってかさの裏を見せて納得させる。前にはあまりきれいでない沼の淡水魚をそのまま食べようとしたときには本当に知らないんだなと思った。泥の中にいるプランクトンや藻などを食べているので泥抜きしないととてもじゃないが食べられないのだ。

 食事は戦闘時の唯一の楽しみに等しい。食べ物でだけは冒険して欲しくない。


「だからあんなにいっぱい食料買い込んだのね」


 2か月しかいないのに、3か月分も買ってある。


「それだけじゃないぞ、サリー。北部では食料が不足しがちだから、何かの交渉に役立つこともあるんだ」


 北部は魔王がいるから不毛の地だ。一応森は存在するけど、作物が育たない。だから商人が命綱になる。だけど盗賊に襲われたり、魔王を恐れて来なかったりする。するとたちまち飢える。一応王命があるから全く途絶えることはないけど、しわ寄せが来るのは年寄りと弱い男だ。だから戦闘で役に立たないとわかったら、皆すぐに出て行く。食い扶持を減らすためにだ。


 ああ、北部行きたくない。リアン君の心が重い。



 そう惑いながら材料を全部入れて、煮えれば完成だ。


「俺は何か食えるものがないか探しに行く。サリーも付き合ってくれ」


 彼女のストーンバレットは弱いモンスターにしか効かないが、獣を取るには役に立つ。鍋の火はチェリーに見てもらう。吹きこぼれそうになったらふたを開けて混ぜるだけでいいし、彼女の防御魔法陣があれば身も守れる。


 ハーブなどを採取しながら、途中で野ウサギを見つける。夏なのでまだ狩りがしやすい。北部に入るまでだけどな。


「ねぇ、まだ小さいし、やめとこうよ」


 俺もサリーの気持ちはわかるけど、リアン君の知識がそれを許さない。


「ここで食料取っとかないと北部に入ったら買えないんだぞ。それに残しても他の獣の餌になる可能性が高い」


「……」


 厳しいことを言ってるのはわかる。俺だって見逃したいんだ。


 もう少し説得しなくてはと口を開きかけたその時、カイルの叫び声が聞こえた。


「おい! しっかりしろ、プラム‼」


 俺とサリーは顔を見合わせて、声がする方へ駆けて行った。


お読みいただきありがとうございます。

風邪を引いてしまって調子が悪いので、書けている分だけ出しました。

次の13日もアップできるかはわかりませんが、たぶん17日までには治ると思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

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