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97話  結婚式前夜、実家へ帰省して両親に感謝… 私、なんだか胸がいっぱいですわ!

結婚式前夜の数日が迫ってきた頃、私は実家であるノイエンドルフ侯爵家に一時帰宅し、両親との最後の時間を過ごすことになった。


花嫁教育が忙しいとはいえ、家族へ挨拶もろくにできないまま王宮に入り浸ってしまったため、“嫁ぐ前に最低限の感謝を伝えたい”という思いが強かったのだ。


「お帰り、セレスティア。……なんだかんだで王太子妃になるんだね。昔はちょっとツンケンした娘だったのに」


そう迎えてくれたのは母で、父はすでに王都の公務で留守。母はぎゅっと手を握って


「あなた、幼い頃に頭を打ったとか言って、変な記憶が蘇ってたわよね。あれが原因でツンデレも激しくなって、私たち苦労したのよ……」と懐かしそうに呟く。


私はこっそり苦笑する。前世の記憶の断片を思い出しては悪役令嬢ムーブを必死にやろうとしていた時期が確かにあった。


「そうね……ごめんなさい、いろいろ迷惑をかけたわ。でもお母さまのおかげで心が折れずにすんだの。ありがとう」 私は正直に頭を下げる。


母は驚いた顔で「あなたが素直に謝るなんて……時代も変わったわね……」と笑い、涙を浮かべながら私を抱き寄せてくれる。


かつて“破滅フラグ回避に必死な娘”を支えてくれた家族にも、ようやく感謝の言葉を告げる日が来たのだと自覚すると、胸が熱くなる。


その夜、私はノイエンドルフ家の客間で久々にくつろぎ、母や弟レオナルトと夕食を囲んだ。


レオナルトが「姉上、ほんっとに王太子と結婚するなんて……BL妄想も仕方なく封印しますね。でもおめでとうございます!」などとふざけて言うから、私は「いい加減やめてよね……」と顔を赤らめる。


母が「相変わらずね、レオナルトは……」と苦笑して、和やかに食事が進む。


「ねえ、姉上。幼い頃は悪役令嬢なんて恐がってたみたいだけど、今のあなたはどう思ってるの?」 唐突にそう聞かれ、私はしばし黙り込む。


実際、入学当初の私が“破滅フラグ”に怯え、一人で回避シミュレーションを重ねていたことを思い出すと、懐かしさとこそばゆい思いがない交ぜになる。


しかし今や、その恐怖は完全に克服した。闇の王との死闘すら乗り越え、誰も私を悪役扱いしない世界ができ上がっている。


「そうね……悪役令嬢なんて、そもそも私の勘違いだったのかも。確かに少しツンデレすぎて誤解を招くこともあったけど、みんなが優しく受けとめてくれたから破滅なんて存在しなかったんだと思うわ」

そう答えると、レオナルトは満足気に頷き、


「それがいいですよ! 姉上が悪役なら、王太子を困らせるだけだし、こんなハッピーエンドは見られなかったかも。僕も前世の腐女子意識をこっそり抱えつつ、姉上推しでずっと応援してきた甲斐がありました」


といつもの語り口で誇らしげに笑う。


私が「……ま、ありがとうね」とやや呆れ混じりに返すと、

母が「本当に良い兄弟ね」と安堵している。


そして翌朝、早めに荷物をまとめてノイエンドルフ家を発つ前に、母が私の手を再び握り「あなた、もう立派になったわね。


王太子殿下との結婚式、私たちもちゃんと支えます。


国もあなたの味方だし、あなたはもうどこにも破滅しに行かない。だからこそ……楽しんで来なさい!」と満面の笑みを浮かべる。


私は胸がいっぱいになり「ありがとう、お母さま……私、幸せになるわ!」と力強く約束し、馬車に乗り込んだ。


こうして、結婚式前夜を間近に控え、私は家族への感謝と別れを済ませる。


悪役令嬢ルートを辿るなど夢物語だったと笑い合える関係がここにあり、レオナルトや母の温かな言葉に励まされる。


破滅フラグの最後の欠片まで吹き飛んだと感じながら、私は王宮へ戻り、残る日々で最終的なドレス選びや式の打ち合わせに集中するつもりだ。


思えば多くの仲間が支えてくれたからこそのハッピーエンド


——それを心に刻みつつ、私は馬車の窓から実家を名残惜しく見つめるのだった。



毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

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