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94話  外伝~ガイの騎士団昇格式で薔薇を捧げられる!? 私、婚約者の前で照れてしまいますわ!

もう一つの外伝エピソードとして、ガイの騎士団昇格式が執り行われるという話が舞い込んできた。


彼は元々、騎士科トップの実力を誇りながらも庶子としての立場に苦労していたが、闇の王との死闘で大きく名を上げ、“近衛騎士”へ大抜擢されることになったのだ。


私はそれを聞いて「やっぱりガイの頑張りが認められたのね!」と胸を躍らせる。


その昇格式典が王都の騎士団本部で行われ、近衛として正式に任命された者が国王や王太子に謁見する運びらしい。


元は王宮で行われるはずが、半壊した城の影響で別の式典ホールが代用されることになったとのこと。


私も一応“闇の王を退治した功労者”ということで招待を受けて、当日は殿下やアニー、アレクシス、取り巻きらと一緒に式の見学へ向かった。


会場は騎士たちが整然と並び、国王と殿下が檀上で一人ひとりを認証する厳粛な空気。


ガイの名が呼ばれ、彼が堂々たる態度で前へ進み出る姿を見て、私は思わず「頑張ってきたのよね……」としみじみ目を細める。


かつて学園祭で脳筋アピールばかりしていた騎士見習いが、いまや近衛騎士になるほど成長したんだから驚きだ。


そして儀式が済むと、ガイが胸に近衛のエンブレムを掲げ、王家の前へ一礼し、最後に客席のほうへ向き直る。


そのとき、彼は私を捉えた視線で小さく微笑み、「セレスティア、あのとき助けてくれた恩は忘れない」と口の動きだけで伝えてくれた。私はドキッとするが、彼はすぐ視線を逸らし、続行の流れで舞台を後にする。


その後、式が終わって列席者たちが解散しかけたとき、ガイが突然私の前へ歩み寄り、「セレスティアさん、少しだけ失礼……」と恥ずかしそうに言う。


周囲の視線を集めている中、ガイは片膝をつき、一輪の薔薇を差し出してくれたのだ。


「……王太子妃になる予定だって知ってるし、俺はただの騎士でしかない。でも、あのとき闇の王と戦うとき助けられた感謝は一生忘れない。これからも頑張っていこうと思う……ありがとう、セレスティアさん」


会場がざわつくが、そこに嫉妬の空気はない。


むしろ「ガイらしくて素敵!」「友情の薔薇……!」みたいな微笑ましいムードだ。


私自身も驚きながら、「ガイ……本当に騎士になったのね。おめでとう。私なんかに花をくれるなんて……恐縮です」と戸惑いつつ受け取り、彼は照れ隠しに頭をかく。



「……まあ殿下に怒られたら困るけど、セレスティアさんが幸せになってくれるなら、俺はそれでいいっす。闇の王を倒したこの国を、近衛騎士として支えるんで、これからもよろしく……」


「ええ、こちらこそ……よろしくね」


私が笑顔で返すと、ガイは安堵したように「じゃあ、行ってきます」と背を向ける。


周囲から拍手が起き、「カッコいい!」「友情の薔薇か……!」などと囁きが飛ぶ。


その横で殿下が「ガイめ……余計なパフォーマンスを」と苦笑しているけれど、怒る様子はなく、どこか温かい視線を向けている。


もう私と殿下の婚約は動かせないのは承知だからこそ、ガイは騎士としての敬意をこめて一輪の花を捧げただけなのだろう。そういう理解が共有され、誰もが微笑ましく受け止めている。


取り巻き令嬢ズが「セレスティア様、ここでもやっぱりモテちゃいますね!」と軽口を叩いてくるが、私は


「はぁ……そういうのじゃないんだけど、まあ……嬉しいわね」と恥ずかしそうに笑う。


ガイの行動は単なる感謝の証。私もそれを尊重し、こうして外伝的なワンシーンが成立する。


結局、ガイは私を守りきった末に近衛騎士へ昇進し、最後にささやかな薔薇を捧げてくれる。恋愛感情かどうかを問われれば曖昧だが、私としては“私にとってもう一人の頼れる仲間”になったと感じている。


殿下も含め、誰も険悪にならず「おめでとう」で済む空気が実に心地良い。


かくしてガイが去った後、アニーが「いいですね、ああいう友情薔薇……王太子殿下も安心してるみたいですし」と微笑み、私は「もう波風なんて立たないわよ。だって結局、誰もがいい人だもの……」と吐息混じりに応じる。


悪役令嬢ルートは完全に消え、私を巡る男性陣は円満な関係を築いているのだ。まるでゲームじゃなく、現実の“優しい世界”そのものだとしみじみ思う。


こうして、ガイの騎士団昇格式でのちょっとした薔薇エピソードを経て、私が再び“もはや婚約破棄される要素なし、悪役の影もなし”で笑顔に包まれる形で終わる。


外伝風ながら、学園の仲間たちが次々と自分の進路を決め、互いに祝福し合うさまは、かつて望んでいた学園ストーリーの理想形に近い。


私は来るべき“王太子結婚式”へ向けて、さらに一歩ずつ歩みを進めるのだった。

毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

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