93話 外伝~アレクシスとレオナルト、BL臭い友情が深まる? 闇魔法誓約で意外なコンビ結成ですの!
闇の王を倒したあと、復興期に入った王都では比較的平和で落ち着いた日常が戻っている。
そんな中、しばらく本編の表舞台から離れていた二人が意外な形で注目を浴びているらしい。つまり、アレクシスとレオナルトである。
アレクシス・ダイスフェルト公爵家嫡男といえば、もともと「陰謀好きのクール美少年」「闇魔法を研究する危険人物」というイメージがあったが、今では闇の王相手に最前線で戦い、“途中で軽率に闇王と共闘しかけて酷い目に遭ったものの、最後は改心して皆の勝利に貢献した”という「ちょっと残念な悪役未遂キャラ」として面白がられている。
そんな彼にやたら懐いているのが、私の義弟レオナルトだ。
レオナルトは最初から私の“破滅回避”を支えようとしていて、男児ながら腐女子脳も抱えている特殊存在。
彼がアレクシスとどんな会話をしているのか気になっていたが、このたび“BL臭い友情”がさらに深まっているという噂を耳にしたのだ。
取り巻き令嬢ズが何やら噂話をしていて、「アレクシス様とレオナルト様、夜な夜な怪しい契約書を交わしてるらしいわよ」なんて楽しげに囁いている。
「怪しい契約書って何なのよ……?」と気になる私は、ある日の放課後、ひょいと二人が密談している学園の裏庭へ忍び寄ってみる。
すると——
「いいか、レオナルト。もう俺は闇魔法を悪用するつもりはない。だが、この国を守るには多少の闇の知識を忘れるわけにもいかん。そこで“誓約”を交わすんだ……『闇を不当に使わず、国に牙を剥かない』って約束を契約書にしておけば、お前も安心だろ?」
「はい、僕としては姉上を脅かす存在にならないでいてくだされば、僕もアレクシス様の味方をしますよ!」
——などという真面目な協議が繰り広げられていた。
どうやらアレクシスが再び闇魔法で暴走することを恐れているレオナルトが、「ならば正式な“闇魔法悪用しない誓い”を交わそう」と提案し、それをアレクシスが受け入れた形らしい。
どこからどう見てもただの“闇の利用に関する安全協定”にしか思えないが、そんな文面を互いに確認し合う姿が不自然に近い
——いわゆるBL的シチュエーションを漂わせているのだろうか。
「これで、僕の大好きな姉上が危険にさらされることもなくなりますね! ありがとうございます、アレクシス様!」
「……う、うむ。まあ、お前の姉上には色々助けられたしな……」
レオナルトが満面の笑みでアレクシスの手を握り、アレクシスは照れ隠しでそっぽを向く。
そこへ取り巻き令嬢ズが「きゃー! この二人、微妙にBL臭いわー!」と大興奮して隠れて見守っている。私も“ああ、なるほどね……”と苦笑を抑えきれない。
レオナルト自身が前世腐女子でBL脳だし、アレクシスはクール美形
——そりゃ周囲が騒ぐのも無理はない。
それでも二人が真面目な契約を交わしたのは素晴らしいこと。
実際、アレクシスがもし再び闇魔法で国を乗っ取ろうとする素振りを見せればレオナルトが全力で阻止するだろうし、“BL臭い友情”という表現はあながち間違ってないのかもしれない。
本人たちは「別に恋愛じゃない」と否定しているけど、そのツンデレめいたやり取りが女性陣を盛り上げているのだ。
私はこっそり茂みから出て「あなたたち、変な誓約結んでるって噂になってるわよ?」と声をかける。
すると二人が同時に「ひゃあっ!?」と飛び上がり、アレクシスが「お、お前か……びっくりさせるな」と眉を顰め、レオナルトが「姉上、変な誤解はしないでくださいね! 僕たちはただ友達として……」と大慌てだ。
私は笑いながら「大丈夫、分かってるわよ。でもなんか面白いわね、契約書なんて堅苦しいのに、二人の空気が微妙に甘い感じ」とからかう。
するとレオナルトは頬を染めて「ち、違います! BLとかじゃありません! 本当に国を守るための確認事項ですから!」と必死になり、アレクシスも「そ、そうだ……こいつの姉上がお前じゃなきゃ断ってるし……」と照れ隠しのように言い捨てる。
どうみても可愛い反応で、私が「ふふ、まあよろしくやってよ?」と肩をすくめると、二人は怪訝そうな顔をするが、まんざらでもなさそうだ。
取り巻きたちが遠巻きに「まさにBL臭い友情ですわ……尊い……!」と目を輝かせるのを見て、私は苦笑い。
だが、彼らがこうして仲良く? いや、とにかく闇魔法の悪用を食い止める協定を結んでくれたことは素直に嬉しい。
再び闇勢力が出てきたときも、アレクシスが裏切らないと確証を得られるなら、レオナルトも安心するだろうし、姉としてはほっと一安心だ。
こうして“外伝”のような形で、アレクシスとレオナルトのBL臭い友情エピソードが深まる。
私の婚約破棄が消えたのと同様、アレクシスの野心やレオナルトの腐女子脳もほとんど空転して、ただの平和な仲間同士に収まっている。
本人たちがどう思おうと周囲が「尊い……」と盛り上がり、大騒ぎするのが実に学園らしい。
外野から見れば「姉上を脅かさないで」「分かったよ、闇魔法はもう変な使い方はしない」と言い合う二人の姿は確かに微笑ましい。
学園に残るちょっとした笑い話であり、私からすれば「うん、いい関係が築けてよかったわ」と温かく見守るのみ。
破滅フラグはそもそも私にはもう存在しないが、こうして周囲キャラも軒並み円満な道へ進んでいる姿を見ると、“悪役令嬢モノ”はどこへ行ったのやらという気持ちにさせられる。
結局レオナルトがアレクシスへ「これで姉上も安心です!」と言い、アレクシスが「う、うるさい……まあ悪くないけど」と答えるやり取りで外伝的に幕が下りる。
私が小さく吹き出していると、取り巻きが「きゃ〜素敵〜!」と目を輝かせるから、またBL妄想が加速しそう。
私はあえて何もツッコミせず、二人の“深い友情”にそっとエールを送るのだった。
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