87話 最後の学園行事“卒業パーティー”準備開始! 殿下の婚約破棄未練も空回りですの?
卒業試験が無事終わり、クラス全員の合格がほぼ確定し、学園は祝賀ムードで包まれている。
とくに私たち三年生は、この数年で積み上げてきた学園生活を総括し、最後のパーティー“卒業パーティー”に向けて準備を進めていた。
「卒業パーティーって、要するに“最後の社交イベント”よね……夜会っぽいスタイルで、先生や在校生、保護者たちが参加して大騒ぎになるとか」
私は取り巻きの説明を聞きながら、少し気が重い。既に闇の王クーデターの後始末で忙しい時期に、学園でも盛大な催しがあるなんて、なんというタフなスケジュール……。
とはいえ、貴族学校としては伝統行事である以上、スルーはできない。しかも三年生がメイン役となるので、リヒト殿下や私も運営委員としてそれなりに顔を出す必要があるという。
「まあ、いいか……これが終われば学園生活も本当に締めくくり。悪役令嬢ルートなんてもうどこにもないし、卒業するまで最後の思い出を作りましょ」
私は気合いを入れて、パーティーの打ち合わせに臨んでいる。
同じく運営委員に選ばれたのは、アニーやガイ、アレクシス、そしてリヒト殿下。
そう、主だった転生メンバーが勢揃いしている状態だ。結局のところ、学園最後の大行事を“にぎやかに楽しむ”という流れになっている。
しかし、リヒト殿下の内心は複雑らしく、「ここで婚約破棄を表明する余地があるかも……」などと最後の悪あがきを模索しているらしい。
私は耳を疑い「もういいじゃない」と言いたくなるが、殿下は「ううん、最後の最後まで俺は悪役令嬢断罪イベントを諦めきれない……」と未練がましい。
まあ、私に実害がないならいいけど、正直まともに運営委員の仕事をしてほしいところだ。
「殿下、パーティーの予算配分はこんな感じでいいの?」と私が実務的に問うても、殿下は「え? ああ……任せる」と生返事。
ガイやアニーが「まーた殿下、断罪の空想に浸ってるよ」と肩をすくめ、アレクシスも「今さら無理だろ。セレスティアは国を救った英雄なんだし」と呆れる声を漏らす。
それでも殿下は「分かってるけど……うう、仕方ない」とため息ばかり。こうして結局、“婚約破棄”は口に出せないままパーティー準備が進む。
準備段階では、会場の飾り付けや出し物の選定、余興の演劇やダンスの出演者リストなどを決めていくが、転生者同士が「あれ? 本来なら悪役令嬢が邪魔をする展開じゃ?」などと妙な期待を抱えても、私がそんなことするはずもなく、ただ淡々と仕事をこなす。
取り巻きズが「セレスティア様、せっかくだから“パーティーで平民ヒロインを罵倒する”イベントとかどうですか?」とちゃっかり提案するが、私は「絶対やらないわよ!」と一喝し、会議を円満にまとめてしまう。周囲も「うん、だよね」と納得するだけ。
かくして、学園最後の大イベント
——卒業パーティーは、私や殿下、仲間たちが滞りなく準備し、まるで“平和な学園祭の延長”のように運営される流れになっていった。悪役令嬢の嫌がらせ? 騒動? 破滅フラグ? そこには何一つ存在しない。
アレクシスが「なんか味気ない」と呟き、殿下が「こうもイベントが順風に進むと肩透かし感あるよな……」と同意しているのが少し面白いが、私としてはこれこそが理想の姿だ。
さらに私が気づいたのは、殿下の視線に戸惑いがなくなってきたということ。
以前は“断罪を狙う”という下心が目に見えていたのに、最近ではそれを言い出さないし、私と協力し合う時間を多く過ごしている。
無自覚ながら少しずつ“断罪イベントより、セレスティアとの日常”を大事に思い始めているのでは……と薄々察し、内心くすぐったい気分になる。
取り巻きが「殿下、もう諦めたんじゃないですか? 婚約破棄は」と耳打ちしてきても、私は「どうかしらね」とはぐらかす。
実際、殿下が最終的にどう動くかまでは分からないけれど、この平和が続くなら私の破滅フラグなど完全に消え去ったも同然だ。
私は“最後の卒業試験”を終え、今度こそ“最後の学園イベント”を無事に過ごして卒業へ向かうのだろう……という安心感が大きい。
こうして卒業パーティーの準備が淡々と進む中、リヒト殿下の婚約破棄未遂が再び影を落とすかと思いきや、まるで機能せず、私が普通に運営委員の仕事をこなす。
転生者仲間の微妙な盛り上げも失敗し、悪役令嬢としての“ひと波乱”も起きない。誰もトラブルを起こさず、平和にパーティーを迎える日に近づいているのだった........
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