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82話  学園最後の模擬試験でセレスティアが圧倒的1位…本当に悪役じゃなくなりましたわ!

あれからしばらくの時が過ぎた。


闇の王との戦いで半壊した王城も、殿下や国王の指揮のもと急ピッチで再建が進んでいる。


私も体力が戻り、学園生活に復帰することができた。さすがに長く休んでいたから多少勉強が遅れ気味かな……と思っていたが、実際にはずっと上位をキープし続けているので、そこは心配無用とのことだった。


 学園側も闇の王クーデター事件がようやく落ち着いたことを受け、三年生最後の“模擬試験”を大々的に実施するそうだ。


私は王宮や学園の復興と並行しつつ、アニー、殿下、ガイ、アレクシスらと一緒に授業やテスト準備に取り組む日々を送る。


まさか「悪役令嬢がテストで苦労する」シーンなんて全然起きず、むしろ英雄扱いで先生たちから励まされているから、若干居心地が悪いくらいだ。


 「セレスティア様、王都を救ったし、試験も余裕でしょうね~」などとクラスメイトが囁くのを聞くと、ほんの少し昔なら「もっと嫌味を言われないと破滅フラグが立たないんだけど……」と思ってしまうが、今となってはあまり気にしない。


私の評判は王都でも学園でも急上昇したおかげで“悪役どころか光の聖女に次ぐ存在”と呼ばれるほどだ。


 実際、アニーが聖女力を認知されてから学園でも特別待遇を受けているが、私も闇の王討伐の立役者ということで「表彰」や「特別推薦」などお墨付きを授けられている。


先生たちも「ぜひ王宮に入って公的に働いてほしい」とか「将来は王太子妃としてこの国を頼みますよ」なんて好意的な声をかけてくる。


かつて悪役令嬢ムーブを必死に演じようとしていた姿が嘘のように思えて、私自身も戸惑うばかりだ。


 そして迎えた“三年生最後の模擬試験”。


実技はすでに闇王を倒すほどの力を発揮しているため、正直いまさら対人模擬戦や魔法演習を行っても私に太刀打ちできる人は限られている。


おまけに筆記や魔道理論などもレオナルトや取り巻きが手伝ってくれており、十分対応可能だった。こうして私は余裕をもってテストに挑むことになる。  


試験結果はやはり圧倒的な1位。アニーも相当な実力を発揮して2位、アレクシスや殿下、ガイが続く形で学年上位を占める展開に。


周囲からの反応は「だろうね!」と納得するものが大半で、嫉妬や嫌がらせなどは一切起きない。私は拍子抜けしつつも、「こんなに円満な学園生活になるなんて、転生した当初は夢にも思わなかった」としみじみ感じる。


 試験結果が発表された日に、先生が私を呼び止め、「セレスティア殿、あなたは王城半壊の混乱でも魔力理論を崩さずきっちりまとめていたし、実技も素晴らしい。


まさに卒業後の王宮入りが楽しみですよ」と微笑む。


その隣でアレクシスが「くっ…まあ、これはもう仕方ないな。俺も頑張ったが、二位のアニーにすら及ばん」と苦い顔。


取り巻き令嬢ズやモブ生徒たちが「セレスティア様、さすがですわ~」と祝福してくれるのを見て、私は恥ずかしくも嬉しい気持ちに包まれる。  (本当、こんなに順風満帆になるなんて……破滅フラグなんてどこへ行ったの、って感じ)


 殿下も4位に入ったので、息をついて「くそ、いつもお前には敵わない……でもいいさ、俺は国を救ったお前を誇りに思ってる」と肩をすくめる。


ガイは5位で「あー、あと一歩でアレクシスに追いつきたかったっすね」と悔しがるが、全体的にはほのぼのムードだ。


アニーが「私も同じく2位ですけど、これは実質聖女力のおかげですから……恥ずかしいです」と照れるのが微笑ましい。  


いずれにしても、学園最後の模擬試験は私がトップを飾る結果となり、それに対して誰も異議を唱えない。


「セレスティア様なら当然!」と皆が納得してしまうほど、私のイメージは完全なる優等生兼“王都の救世主”になっている。もはや“悪役令嬢”という呼称は冗談にすらならないほど違和感がある。


 教師たちが私に「次期王太子妃として国を担う器量が十分にある」と太鼓判を押す状況で、婚約破棄なんてあり得ない。


殿下本人も凹み気味に「これだけスキルが高いなら、もはや破棄は無理だな……というか、してはいけないんだろう」と漏らし、私は苦笑しながら「もはや誰も驚かないわね」と返す。


こうして学園での私の地位も確固たるものになり、破滅イベントの出番は永遠に消えたと確信する。


 最後の模擬試験を終えた日は、同期の友人たちと気軽にお茶をしながら談笑できる余裕が生まれた。


あの闇王との死闘を思えば、なんと平和な時間だろう。


実際、街では復興が進むたびに「セレスティア様のおかげ」「アニー様のおかげ」と花束が贈られるほど熱狂的な人気らしい。


考えようによっては、「破滅どころかヒロインすら越えている……?」と思えるレベル。  


アニーや取り巻きが「本当に悪役令嬢って何だったんでしょうね」と互いに笑い合うたび、私も「そうよね、最初は私もドキドキしてたのに……。


あっという間に破滅フラグが消え去って、今こうして皆に褒められてる……現実って不思議」と頬を緩める。


 殿下やガイ、アレクシスも模擬試験を無事突破し、優秀な成績を収めて卒業へ一歩近づいている。


学園でこれ以上の大事件は起こりそうにないし、もう闇勢力も消滅した。私に残されているミッションは、卒業までに余計な騒動を起こさず、そして王太子との婚約ルートをどうするか……くらいだが、それも焦らず話し合えばいいと思える。  


これが最後の学園試験で私が圧倒的1位を取ったことで、学園生活の総仕上げがより華やかなものになった。


破滅するはずが、いつの間にか国を救って成績もトップで、誰からも嫉妬されず祝福される。


「悪役令嬢転生」の皮肉がここに極まった感じだが、実際にはそうなるだけの波乱を潜り抜けてきたのだから、私は素直に喜びたい気分だ。

毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

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