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75話  アレクシス、闇の王と共闘を試みるも裏切られ…私、助けずにはいられませんわ!

王宮中央ホールに闇の魔法陣が出現し、“闇の王”と名乗る巨大な存在が現れた。


私たちが目撃したその姿は、濃密な黒いオーラに包まれ、見たことのないほど禍々しい威圧感を放っている。


あちこちから魔物が湧き出し、騎士団や殿下、ガイが応戦するが、闇の王自身はまだほとんど動いていない。それでも床や壁はバリバリと音を立ててひび割れ、石造りの回廊に不気味な黒い染みが広がっていた。


 「くっ……なんて強力な闇なの……! まさかこんな形で王城が危機にさらされるなんて!」


 私は光魔法を構えるが、闇の王のプレッシャーは別格だ。


中型魔物や少数の召喚程度なら簡単に抑えられたが、今回は空気全体が異質な“闇”に染まっているようで、胸が重く圧迫される。アニーも隣で聖女力を発揮しようとしているが、いつもより息が苦しそうだ。


 すると、その闇の王の傍らにスッと人影が近づいていくのが見えた。私の目が疑いを抱く……まさか、アレクシスがこちらを離れて闇の王のほうへ足を運んでいる!


 「あ、アレクシス!? 何やってるの!」


 私が声を上げても届かないのか、アレクシスは振り向かず、黒ローブの配下と相対する位置まで進む。そして低い声で、


「お前が闇の王か……ならば俺も闇を使う者だ。この国を支配したいというお前に……手を貸してやってもいい」と言い出したではないか。


 「はあああっ!? こんなときに何言ってるの?!」と私が絶句する。


後方で殿下が「アレクシス、お前正気か! 味方になったんじゃなかったのか!」と怒鳴るが、アレクシスはピクリともせず、


「王太子やセレスティアたちは俺の力を侮っている。俺こそが本当の闇を制御できる……ここでお前たちと組めば、王家を乗っ取るのも夢じゃない」と闇の王に問いかける。


 殿下が罵声を浴びせそうになるのをガイや騎士団が必死で制し、「まずはアレクシスの動向を見極めろ!」と叫んでいる。


私も「アレクシスがそんな浅はかな動機で裏切るわけない……何か考えがあるのかも」と思うものの、言動があまりに危険すぎる。


先ほどまで一緒に闇の封印を議論していたはずなのに、どうしてこんな行動を?


 闇の王は、アレクシスの言葉を聞きながら、ぐうっと不快な唸り声をあげる。ローブ配下のうち一人が「ほう……貴様、闇を扱うか。面白い……ならば、忠誠を示せ」と嘲笑を浮かべ、周囲にドス黒い魔力を揺らめかせた。


アレクシスはギクリと息を呑みながらも、一歩も引かず「もちろん、力さえ授けてくれれば、俺はお前らに協力してやる」と返す。


 私やアニー、殿下、ガイは遠巻きにそれを見守るしかない。


もしアレクシスが本気で闇の側につくなら、私たちの立場はより厳しくなるが、彼がそんな愚かな選択をするとは思えない。しかし、その態度はどう見ても“本気で裏切る人間”にしか見えないのだ。


 すると闇の王は低い声で「ふん……くだらん。貴様ごとき闇の使い手など、大勢いる。お前を取り込むメリットなどない」と興味なさそうに言い放つ。


アレクシスが血相を変えて「あ、いや、俺ならもっと……」と言いかけた瞬間、闇の王の影がサッと伸びてきて、アレクシスの身体を鷲掴みにするように絡みついた。


 「がっ……!?」

 私たちが絶叫する間もなく、アレクシスが闇の拘束で持ち上げられ、苦痛の声を上げる。「おのれ……俺を見下すな……!」と抵抗するが、相手は圧倒的で、アレクシスの闇魔法なんてまるで相手にならない。彼はじわじわ体力を奪われ、意識が遠のき始めたようだ。


 「き、きさま程度に興味はない……下がれ、雑魚め」と闇の王が淡々と呟くと、闇の拘束がさらなる力でアレクシスを潰しにかかる。


私はいても立ってもいられず、「やめなさい!」と杖を振りかざし、光魔法を大放出する。アニーがすかさず加勢し、殿下も「放せ!」と剣を投げつけるが、闇のオーラにかき消されて届かない。


 でも私は諦めない。「アレクシス、下がって!」と叫びながら、より強力な光の閃光を放つ。合体魔法とまではいかないが、アニーが小規模の聖女力をフォローしてくれたおかげで、一瞬だけ闇の拘束が揺らぎ、アレクシスの体を締めつける力が緩む。その一瞬でアレクシスが辛うじて魔力を放出し、拘束から転がり落ちるように逃れた。


 なんとか救出できた……私はホッとしながら、倒れこんだアレクシスへ駆け寄る。「あんた、何してるのよ! 本気で共闇しようとしたの? あんなのに勝てるわけないでしょ!」


と怒鳴ると、彼は苦しそうに咳き込みながら「……わ、悪い……俺だって、うまく近づいて闇の王を封印しようと思っただけだ……まさか見向きもされず潰されるとは……」と白状する。


 やはり彼なりに作戦があったらしい。“闇の王”と組むフリをし、懐へ飛び込んで大技で封じる算段だったが、あまりに相手の力が大きすぎてアレクシスごときでは対抗できなかった――ということだろう。アニーが慌てて回復魔法を施し、「あなた、無茶しないで!」


と涙ぐむ。アレクシスは悔しそうにうつむくが、私からすれば本当に冷や汗ものの行動だった。命があってよかった。


 闇の王は私たちを嘲笑うように眺め、「愚かなる人間ども……こんな闇を制御できるわけがないだろう」と不快そうな声を響かせる。ホールの空気がさらに重く淀み、追い詰められた騎士たちが次々と倒れだす。


私と殿下、アニー、ガイ、アレクシス、そして周囲の騎士数名がかろうじて踏みとどまっているが、闇の王が本気を出せばこのまま殲滅されかねない。


 しかし私には選択肢がない。アレクシスを助けるために光魔法を放ったばかりで多少消耗しているが、ここで引き下がれば王宮が完全に落ちるだろう。


 国王や宰相がどこにいるか分からない今、王太子である殿下が倒れれば国が終わるのは明らかだ。私は勢いよく立ち上がり、「くそ……闇の王、こんなやりたい放題は許さない!」と歯を食いしばる。


 殿下が横に並び、「俺たちに勝てると思うなよ!」と声を上げる。


ガイも「おお、やってやりますよ!」と気炎を上げ、アレクシスは力なく笑いながら「ちくしょう……今度こそ、俺も力を合わせる」と立ち上がろうとする。


アニーは必死で回復をかけつつ、「セレスティアさん、あの合体魔法の準備を……!」と提案するが、闇の王は待ってくれそうにない。


 「人間風情が……手向かうというのか」と闇の王は目を細め、腕を振りかざして濃厚な闇の奔流を放つ。


その攻撃がズシンと空気を揺らし、騎士団のメンバー数名が吹き飛ばされる。私たちも必死にかがみこんで耐えるが、一歩でも踏み出せば闇の渦に飲み込まれそうだ。


 それでも前に進むしかない。私は杖を握りしめ、「ここで退けば国は滅びるわ!」と自分に言い聞かせる。


殿下もガイも頷き合い、すぐに陣形を組んで闇の王に近づく。アレクシスは無謀な単独行動を諦め、みんなと連携してすきを狙う構え。


アニーは後方でチャージし始めている――おそらく私と合体魔法を放つ準備だろう。


 (ここが勝負……アレクシスの裏切り? いいえ、あれは失敗したけれど、彼が心から私たちを見捨てるはずない。むしろ同じ闇の使い手だからこそ闇の王を倒したいんだわ。いま私たちが力を合わせなければ……!)


 こうしてアレクシスが闇の王と共闘を試みるも呆気なく裏切られて攻撃され、命を落としかけた第75話。私は必死に光魔法で救出し、仲間たちの絆を再確認したが、状況は非常に悪い。


闇の王は圧倒的な力で王城を侵食し、あちこちから魔物を呼び出す。国はもはや後がない。


 「絶対にここで諦めない……! 私だって、王宮を明け渡したりしないんだから!」

 心の中でそう叫び、私は次回の大きな戦闘を予感する。


破滅フラグなんてとっくに消し去った今、私が戦う理由はただ一つ――国と仲間を守るため。闇の王を倒すには、どうしてもこの仲間全員が必要なのだ......

毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

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