74話 闇の王、ついに“王城クーデター”決行…私、守り抜かねばなりませんわ!
その知らせが届いたのは、まさに不意を突く形だった。
王都で続いていた魔物の連続襲撃がやや落ち着いたかと思った矢先、王宮内部で「突如闇の魔法陣が起動し、そこから多数の魔物が湧き出した」という悲鳴のような報告が走り回ったのだ。
「ついに王城クーデターか……!」とすぐ直感した私たちは、学園にいながらただちに動き出す。
殿下は王宮へ急行し、騎士団が総出で迎撃にあたる。私は光魔法を携えてアニーやガイ、アレクシスを引き連れ、馬車で王城へ突っ込む形となった。
途中でレオナルトや取り巻きが「姉上、気をつけてください!」と涙目で見送る姿に胸が痛むが、ここで行かなければ私がなんのために光魔法を磨いてきたのか分からない。
闇の王が本気でクーデターを起こすなら、いま参戦しないわけにはいかないのだ。
王城周辺につくと、すでに魔物が門を破って中庭に押し寄せていた。
騎士団や守備兵が必死に迎撃しているが、あちこちで悲鳴が上がり、火の手が上がる建物もある。殿下の姿は見当たらないが、どこかで闇勢力の本隊と交戦中だろうか。
私は迷わず杖を振り上げ、「光よ、ここで怯んでいる余裕はないわ!」と自分を鼓舞し、アニーが隣で「聖女力、解放します!」と宣言してくれる。
「やるしかない! ガイ、アレクシス、あの門付近を制圧するわよ!」
「了解っす!」
「こっちは任せろ!」
と頼もしい声が返り、私たちは王宮門近くの魔物群を一気に叩く。
光魔法とアレクシスの闇封鎖がうまく噛み合い、ガイが剣で次々と仕留める。アニーは回復と防御バフを乗せて、私たちを支えてくれる。
この連携で大半の下級魔物は呆気なく沈んでいくが、問題は城内奥深くから強力な闇気配が漂っていることだ。
アレクシスが顔をしかめ「これ、今までの比じゃないぞ……。黒ローブどころか、本当に“闇の王”がいま呼び起こされているのかもしれない」と呟く。
アニーが「私、すごく嫌な感じがします……できるだけ早く奥へ行きましょう!」と焦る。私もうなずき、残る魔物を騎士団に任せて城内へ突入する。
途中、殿下やガイとはぐれたままになったが、彼らもきっと別ルートから奥へ進軍しているのだろう。廊下を進むたびに闇の獣が何匹も襲いかかるのを私が光で吹き飛ばし、アレクシスが封じ、アニーがフォローする。
一度にこんなに魔物を撃退している自分を見て、「破滅フラグなんて何百年も昔のようね……」と現実離れした感慨を抱いてしまう。
しかし、そんな余裕は一瞬。王城の中央ホールに踏み入った瞬間、目の前に広がった光景は衝撃的だった。闇の魔法陣が大きく展開され、天井まで届く漆黒の柱が立ち上がっている。
その中心で黒ローブを纏った人影がこちらを見て不気味に笑っている。しかも複数いる――どうやら闇の手先が集団で儀式を行い、魔物をどんどん召喚しているようだ。
「あれが……闇の王? それとも配下?」と息を呑む私。
するとローブが風に揺れ、奥からさらに巨大な人影が浮かび上がる。
低い声で「私は真の闇の支配者。この国を絶望へ染め上げる……」と宣言する姿は、どう見ても尋常じゃないオーラを放っていた。
「くっ……こいつが闇の王……?」とアレクシスが呆然となり、アニーが震え声で「き、きっとそうです……まさか本当に王宮のど真ん中で出てくるなんて……」と怯える。
私も手が震えるほどの圧力を感じるが、ここで逃げるわけにはいかない。
闇の王は私たちを見下ろし、「光の令嬢と聖女か……ふん、塵芥程度よ。お前たちを潰して、この国を我が手中に収める!」と高笑いし、周囲に濃密な闇を放出。
するとホールの床が振動し、いくつかの闇巨獣が姿を現す。私の光魔法だけであっさり倒せる相手ではなさそうだ。
「私たちが今ここで止めなきゃ、国が滅ぶ……!」
アニーが血走った目で言う。「はい、セレスティアさん、合体魔法を使いましょうか? ここで最大火力を出さなきゃ……!」
「ええ、でも闇の王本体がどこまでの力を出すか分からない。慎重にやりましょう!」と私も顔を強張らせる。
アレクシスが「俺も闇で補助する……が、闇の王には通じないかもしれん。とにかくやるしかない!」と立ち上がる。
その一方、騎士団の一部が後方に駆けつけ、王太子リヒト殿下やガイらしき人影も別の通路から姿を現す。
「セレスティア、アニー、無事か!」と声をかけられ、私がホッとする。
「あなたたちこそ間に合ったのね。これが闇の王よ! まさかこんなに早く出てくるなんて……!」
殿下は剣を構えながら「上等だ。ここで始末してやる……!」と燃える闘志を滲ませる。
ガイも「よーし、でっかいの来たな! 俺の剣でぶった斬ってやる!」と叫ぶ。
すると闇の王とローブの配下たちが「馬鹿め……お前たちの剣など通じぬ」と嘲笑をこぼし、辺りにさらなる魔物を呼び出す。
歯を食いしばる私たち。これが本当の王城クーデターに他ならない。国王や宰相は無事なのかも分からないが、とにかく今はここで闇の王を止めるしかない。
もし私や殿下が倒れれば一気に終わる。
こうして王城の中央で、私たち転生者が“光と闇”の激突に突入する展開が訪れた。
闇の王が満を持してクーデターを起こした――国はまさに存亡の危機だ。破滅フラグとか悪役令嬢イベントなど瑣末もいいところ。
私は今こそ本気の光を解放し、殿下、アニー、ガイ、アレクシス、そして学園や騎士団のみんなと力を合わせ、闇の王に挑まなくてはならない。
決戦の火蓋が切って落とされたと実感しながら、私は杖を掲げて闇の王を睨む
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