表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/102

54話  2年生後半、婚約破棄未遂が三度…でも闇の魔物騒動で断罪どころじゃない!

2年生も前半が終わり、補習期間を経て、いよいよ夏休みが目の前。

そんなある日の昼下がり、学園で再びリヒト殿下が“婚約破棄宣言”を仕掛けようとする場面に居合わせてしまった。


「えーっと、セレスティア! お前、やっぱり悪役なんじゃ……」


殿下は教室の隅で、あれこれ言葉を探りながら「……だからこの婚約破棄を……」と切り出すが、直後に廊下から悲鳴と騒ぎ声が聞こえてくる。



「きゃー! なんか変な影が窓を割って入ってきた!」

「魔物か!? 誰か来てー!」


大声が廊下に響き、私たちが顔を見合わせた瞬間、殿下の“婚約破棄”発言など吹き飛んでしまう。

ガイや取り巻きが武器や防御アイテムを手に走り出し、私も「殿下、行くわよ!」と急かす。殿下は「え、あ、ああ……」と勢いでついてくる。


(まったく、またこのパターンね……)



現場へ着くと、黒い羽を持つコウモリ型モンスターが2体ほど暴れていた。騎士科生や先生が応戦しているが、狭い廊下で飛び回るモンスターへの対処に手間取っているようだ。


私は即座に杖を構え、「光魔法で動きを封じれば、あとはガイや殿下が剣で仕留められるわね……。」

「おう、任せて!」

ガイが勢いよく踏み込み、殿下も剣を抜いて構えるが、またも私が光の閃光を先に放ってモンスターを落下させ、ガイが一撃、殿下が追撃という流れ。


「くそ……なんでいつも俺がトドメ役じゃないんだ……」と殿下が拗ねる姿が見えて苦笑する。



モンスターを鎮圧したあと、周囲の生徒が私の手を握って感謝し、「セレスティア様、いつもありがとうございます!」と盛り上がる。

「こ、こちらこそ……皆さんも怪我はない?」

「あ、はい、大丈夫です! 殿下もありがとうございました!」


ついでに殿下もお礼は言われるが、やはり私のほうが目立っているようだ。


私が苦笑していたら、義弟レオナルトが「姉上、さすがです! これでまた闇の出番を封じましたね!」と嬉しそう。取り巻き令嬢ズも「婚約破棄なんて無理無理!」と小声で盛り上がっている。



もともと殿下が私を呼び止めて「お前、悪役だよな? なら……」とか言い出した時点で、新しい断罪シーンを狙ったのかもしれない。


だが結局、この魔物騒動にすべてかき消され、私たちが協力して魔物を倒してしまった。


さすがに殿下もバツが悪そう。「はぁ……またチャンスを逃した……。てか魔物退治のあとに“お前を婚約破棄する!”なんて言い出す雰囲気でもないし……」

取り巻きが「殿下、ご愁傷さまですわ……」と同情したのかからかったのか微妙な笑いを漏らし、殿下は「うう……」と項垂れる。


(どうやっても私を悪者に仕立てるのは不可能ね。もう諦めればいいのに……。)



あらためて騎士科のガイは「いやー、セレスティアさんがいると早いっすね! もういつも先に魔物を打ち落とすから助かる!」と笑い、アレクシスは「フン、俺が必要ないレベルなのが悔しいが……まあいい。」とそっぽを向く。


レオナルトはいつもの通り「姉上が無事なら何より!」と大はしゃぎで、取り巻き令嬢ズも「やっぱりセレスティア様がいれば闇なんて怖くありませんわ!」と絶賛モード。


誰一人として「セレスティアを断罪しろ!」など言わない。むしろ私を守ろうとする人ばかりなのだから、婚約破棄はおろか破滅なんて生じるはずもない。



こうして3度目の婚約破棄チャレンジ(殿下いわく)も魔物騒ぎでフェードアウト。


学園の生徒や街の市民は「闇勢力が活発になるほどセレスティア様が動き、さらに光を放つ」という図式に慣れつつある。このままでは、殿下が何を言っても耳を貸さない流れが固定化するだろう。


(闇勢力が動けば動くほど、私が目立つ形になってしまうわね。ありがたいような、迷惑なような……。でも破滅フラグが遠ざかってるのは事実よ。)



他方、連日小規模な魔物が出るだけで、“黒ローブの魔術師”本体や闇魔導書の所在は未だ不明。


本格的に魔王を召喚したいなら、そろそろ大規模な儀式を起こしてもおかしくないはずなのに、まだ決定的な動きが見えない。


アレクシスは「相手も準備に時間がいるのか、あるいは我々を牽制しているのか……。このままじわじわ混乱を拡大させ、国力を削る狙いかもしれないな。」と推察する。


「それならなおさら、私たちが先に動きたいんだけど、情報が少なすぎるわ……。」


焦る私に、リヒト殿下が苦い顔で「俺も父上に進言してるが、闇魔導書がどこにあるか掴めない以上、大掛かりな捜索は難しいと言われる。もうしばらく待つしかないな……」と肩をすくめる。



そんな中、アニーが「夏休みに教会を訪れて古文書を調べれば、魔王封印の具体的な術式が分かるかもしれない!」と励ます。私もそれに期待している。


殿下やガイ、アレクシスらは学園周辺や王宮の捜査で手一杯かもしれないが、教会へ行くのは私とアニーだけという予定。


「そこで成果が出れば、魔王に対抗する術を形にできるかも……。そうすれば闇勢力も迂闊に動けないはず。」



こうして、何度目か分からない婚約破棄未遂が起きても、闇の騒動が即座にかき消し、実質的に“破棄話”は成立しないまま。


殿下が3度にわたって失敗する様子を見て、クラスメイトも「もはやネタだよね」と苦笑いするばかり。


取り巻きやレオナルトは相変わらず「セレスティア様は闇を斬る光の勇者です!」と盛り上がり、私は「もう好きにして……」という諦めの境地。


(破滅フラグなんて遥か昔に踏み潰してしまった感じ。婚約破棄? そんなもの無理よ、殿下。いま国に必要なのは私と仲間の結束なんだから。)


そう思いながら、私は夏休み直前の数日を過ごす。闇勢力の“本当の本番”がいつ来るのか分からない以上、少しでも力を温存しつつ備えを整えるしかない。


恋愛や婚約は後回し。国の安寧こそ最優先——それが私の揺るぎないスタンスになったのだ。


毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

保存といいねお願いします……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ