表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/102

49話  アニー、密かにセレスティアへ“協力”を願い出る:実は隠しボスがいるんです!

期末試験が終わり、各科目の答案が返却される頃。結果はまだ集計中だが、アニーとアレクシス、私がトップ争いをしているのはほぼ確実らしい。


放課後の教室で、ホッと一息ついていると、アニーが改めて私の席に近づいてきた。



アニーは前より落ち着いた表情で口を開く。「セレスティアさん……時間をもらえますか? 前から言っていた“開発スタッフだった頃の話”、ちゃんとお伝えしたいんです」


私はすぐさま頷く。「ええ、もちろん聞くわ。ずっと気になってたの」

2人で人気のない図書室の奥へ移動し、席につく。アニーは小さく深呼吸してから、決意したように語り出す。


「私、前世でこの世界の乙女ゲームを作ってたんですが、メインルートは“ヒロインと王太子の恋+悪役令嬢断罪”で幕を引くはずでした。だけど、別のチームが後から闇魔法ルートを追加して、“実は真ボスの闇の王が存在し、国を滅ぼす危機が迫っている”という隠しシナリオを仕込んだんです」


「うん、そこまではなんとなく想像ついてる……その先は?」


アニーの目が鋭くなる。「その隠しシナリオのクライマックスでは、王家の力と聖女の力を合わせ、闇の王を封印するという展開が予定されていました。でも私がクビになる直前の情報だと、“王家”よりも別の光属性キャラが鍵になる案が検討されていたんです……」


「別の光属性キャラ……まさか、それが今の私?」


アニーは頷き、「ええ。最終的に完成したゲームをプレイした人の噂話では、“悪役令嬢が真の光の担い手だった”みたいなルートがあったとか……。だけど私はそこを知らないままクビになったから、詳しく分からなくて……」


ドキリとする。悪役令嬢こそが真の光——それ、今の私の立ち位置そのもの。


「私が? どういうこと? 破滅ルートじゃないの…?」


唇をかみ、「でも私、前世の記憶じゃ悪役令嬢が断罪されてたイメージが強いわ。実際プレイした人間として、そんな真ルートがあったなんて聞いてない……」


アニーは申し訳なさそうに手を合わせて、「そこがデバッグ段階での修正だったかも? もともと“悪役令嬢が隠しヒロイン化する裏ルート”を隠し要素として仕込むプランが、一部のスタッフで話題になってたんです。最終的に採用されたかどうか定かじゃありませんが……」と苦笑する。


(なるほど……私が悪役でありながら裏ルートで光のヒロインにもなれる設定だった可能性が高い。だから今こうなっているのか……ゲームの再現が暴走した結果、破滅フラグがなくなり、逆に闇の王ルートへ突入中?)


「もしその真ルートが生きてるなら、あなたこそ闇の王を封印できる存在なんですよ、セレスティアさん。私やリヒト殿下、アレクシスを含めた仲間と力を合わせて……」


アニーが力強く訴えるので、私は胸が熱くなる。「そうかもしれない……私、最初は破滅が怖くて必死だったけど、今はこの世界を守りたいと思ってる。自分がヒロインなんて気恥ずかしいけど、やるしかないわね」



アニーは私の手をぎゅっと握り、「セレスティアさん、ぜひお願いします! もう悪役令嬢だとか恋愛ルートだとかより、国崩壊が怖いんです……。私も聖女力でサポートするので、あなたの光魔法を最大限に発揮して、闇を封じましょう!」と迫る。


「……もちろんよ。私も闇に国を滅ぼされたら困るし、あなたや皆と力を合わせるつもり。最初からそう思ってたわ」

「ありがとうございます!」

アニーは潤んだ目で微笑み、「これで安心しました。やっぱり今のあなたがいれば、闇の王が出てきても大丈夫な気がします」と穏やかな顔を見せる。



「あはは、すごいですよね。最初はセレスティアさんが“悪役令嬢”として断罪される未来が当たり前に思われてたのに、今は“光の勇者”みたいになってるんですから……」


アニーの言葉に私も照れ笑い。「正直、自分でも驚きよ。こんなにイベントが逆転するなんて……」

でも、私が破滅回避どころか国を救う展開が本当に実現すれば、前世で想像もしなかった“最上級ハッピーエンド”になりかねない。


(うん、悪くないわね。……闇勢力が弱いならだけど、現実はそんなに甘くないでしょうし、これからが正念場ね)



セレスティアが光魔法の要

アニーが聖女としてサポート

王太子リヒト殿下やガイ、アレクシスなど転生仲間がそれぞれ得意分野で協力

闇魔導書盗難の真犯人や“闇の王”が動くタイミングを見逃さない


「私たちで力を合わせて、この国を守りましょう!」とアニーが声を弾ませる。


「はい」と私も即答。


(もう悪役令嬢要素はどこにもないわね……それでいいの。少なくとも私は誰にも断罪されず、むしろ周りから応援されてるから)



「そういえば殿下の婚約破棄話はどうするの?」とアニーが首を傾げるので、私は苦笑。「さあ……彼はまだ何か言ってるけど、もはや誰も相手にしてないし……放置でいいんじゃないかしら」


「なるほど……あの方が自分で決着をつけるしかないですね。私にもどうしようもありませんし」


二人で小さく笑いあって、「闇勢力>>>婚約破棄」という優先順位が確定した。

もし殿下がグダグダ言っても、とりあえず闇勢力を倒すまで静観しよう、というのが私たちの共通認識である。



後日、私たちは軽いミーティングを開き、アニーの口から「セレスティアさんが真の光の担い手かもしれない」と共有する。ガイは「まさしく漫画主人公じゃん!」と大喜び、アレクシスは「ふん、なら俺はライバル枠だな」とニヒルに笑うが、内心納得している様子。


レオナルトに至っては「最初から信じてました! 姉上が最強です!」と目を輝かせる。


(こうして改めて見ると、完全に逆ハーレム未遂状態だわね。もう婚約破棄の影もない……)



こうして私たちは、改めて闇勢力への備えを固める。


リヒト殿下:王家から騎士団や情報網を動員し、警戒を続ける

アレクシス:闇魔法の探知スキル向上

ガイ:実戦力

レオナルト:姉上の護衛&サポート

アニー:聖女の回復・補助魔法

セレスティア(私):光魔法で闇を払う主砲役


なんというか、これが本当の仲間パーティって感じ。前世ゲーマーとしてはワクワクする部分もある。


(とはいえ、実際に命が懸かるのは恐ろしいけど……私が悪役令嬢じゃなくなった理由が、ここにあるんだろうな)



最後にアニーが私の手を握り、「あの、セレスティアさん……改めて言います。もし隠しボス“闇の王”が登場しても、私はあなたと一緒に戦います!」と宣言する。


「ありがとう。私もあなたを頼りにしてるわ。前世がどうであれ、今は現実。婚約破棄より大事なことが山積みだしね」

私たちは2人して微笑み合う。悪役令嬢×本来ヒロインが手を取り合う構図……なんだか昔のゲームの“裏技ルート”さながらだけど、現実がそう動いているのだから仕方ない。


(こうして、私が“隠しヒロイン”にもなり得るというカードを知れた以上、あとは現れるであろう闇の王を倒すだけ……ちっとも気楽じゃないけど、破滅フラグよりはマシよね)



期末試験はすでに終わり、あとは成績発表が控えている。闇勢力が今すぐ大事件を起こさなければ、しばし平穏が続くかもしれない——しかし油断は禁物だ。


私たちが迎える運命は、もはや“学園ラブコメ”の枠を超え、「国を滅ぼす闇vs 光の令嬢」のファンタジーバトル路線に突入している。


(……はぁ、悪役令嬢って何だったのかしら。まぁいいわ。私が幸せならそれで……でも闇の王が出るなら全力で叩き潰すしかないわね!)


こうして闇の王”との戦いの存在をほぼ確信した私とアニーは、大決戦に備える覚悟を固めるのだった。



毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

保存といいねお願いします……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ