41話 闇魔法の真犯人は誰? と焦るアレクシス……協力モードに変化?
モンスター騒動から一夜明け、学園祭2日目が始まる。昨日の大混乱を受け、警備や騎士科の見回りが強化され、来客数は少し減ったが、それでも行事は続行されることに。
私たちも疲労はあるが、模擬店をオープンさせる準備を進めていた。すると、朝早くからアレクシスが重い足取りで訪れ、真剣な顔で私に話しかける。
「セレスティア、昨日は本当に悪かった……」
アレクシスは目を伏せ、悔しそうに唇を噛む。「俺は確かに小型モンスターを召喚して、“軽いパニック”を起こそうと考えていたが、あそこまで大暴走するなんて……何者かが俺の魔法陣に介入したとしか思えない」
「そうでしょうね。私もそう感じるわ。あんな規模、あなたの力では無理があるし……ごめん、あなたを責め立てる気はないの。ただ……本当に危なかったのよ」
私が疲れた表情で答えると、アレクシスは頭を下げる。「分かってる。俺が馬鹿だった。もう軽率な真似はしない……。それより、闇魔導書を盗んだ真犯人が、この機に乗じて魔物を増幅させた可能性が高いんじゃないか?」
「私もそう思う。宝物庫から消えた闇魔導書が使われているのかもしれないし……そいつはどこに潜んでいるのか分からない」
「くそ……このままじゃ、また大きな事件が起きるかもしれない。もしかしたら王都全体を狙ってくるとか……」
アレクシスの表情は青ざめ、すでに“王家を乗っ取る”だの“国を支配する”だの豪語していた頃の余裕がない。彼も今回の騒動で、本物の闇勢力の恐ろしさを痛感したのだろう。
(これはある意味、アレクシスが私たち側に協力してくれるいいきっかけになるかもしれない)
そこへタイミングよくレオナルトがやってきて、「アレクシス様、もし本当に姉上への害意を捨ててくれるなら、僕たちと情報を共有してほしいんですけど?」と微笑む。
アレクシスは「……まあ、姉上至上主義のお前と組むのは気が進まないが、闇魔導書の謎を解くには一人じゃ厳しいしな」と応じ、嫌々ながら了承する。
私は少しほっとする。「よかった……あなたが協力してくれれば、闇魔法の気配を嗅ぎ分けるとか、何らかの手がかりがつかめるかもしれないわ」
「ふん、あくまで必要最低限の共同戦線だ。勘違いするなよ」
ツンデレ口調のアレクシス。レオナルトが「BL臭い展開……ふふっ」と微妙に喜んでいるが、私はスルーする。
この話をリヒト殿下やアニー、ガイにも伝えたところ、彼らも「学園祭が終わっても闇魔導書の脅威は続く」として、本格的な“自警団”を結成しようという流れになった。
リヒト殿下は王太子の立場で国の騎士団とも連携できるし、ガイは騎士科で戦闘力は高い。アニーは聖女力で回復サポート。アレクシスは闇魔法の知見、私とレオナルトは光魔法と防御術……。
(こうして見ると、けっこう豪華メンバーじゃない……。まるでパーティ結成みたい)
「くそ、俺は元々セレスティアを断罪してハーレムエンド狙いだったのに、いつの間にか協力バトル物になってる……まぁ仕方ないか」
殿下がボヤきつつも、内心切り替えている様子がわかる。婚約破棄や悪役令嬢断罪など、今はどうでもいい問題に思えてしまうのだろう。
アニーは「実は私思い出したことがあって、開発スタッフとして“闇の王”が裏ボスになるかもしれないって噂を聞いてたんです……」とビクビクしながらも、真面目な表情で言う。
(闇の王……もしやラスボスが別にいて、真犯人はそいつを復活させようとしている? そんな衝撃的展開もあり得るのね。……気が抜けないわ)
そうして話し合いが一段落すると、リヒト殿下が苦笑しながらこちらを向く。
「なぁ、セレスティア……俺、もう君と婚約破棄なんかできる気がしないよ。国民的英雄になりつつあるし、この先どうなるか分からないが、とりあえず破滅フラグは完璧に消えたね」
「うん……私もそう思うわ。正直、破滅される側というより闇から国を守る側に回ってるし。もう『悪役令嬢』という肩書きが形骸化してる気がする……」
お互い乾いた笑いがこぼれる。
取り巻き令嬢ズは「セレスティア様、ヒロイン化計画大成功ですね!」とちゃっかり盛り上がり、アニーは「私はどうすれば……?」と変な焦りを見せたりもするが、今はみんなで闇勢力に備えなければならないというのが共通認識になりつつある。
(私の破滅フラグは完全消滅。けれど、闇の脅威が本格的に表面化してきた今、平穏な学園生活が続く保証はない。2年生後半、さらに波乱が待ち受けている気がするわ……)
その後、アレクシスは自主的に学園の封印や闇魔法の封印箇所を調べ、「闇魔導書の痕跡が微妙に漂っているが、どこか別の場所から来てる……」と首をひねる。
「お前ら、気をつけろ。俺だけじゃなく、もっと大きな闇がうごめいてるかもしれない」
これにはレオナルトも「姉上を守るためなら、僕はいくらでも徹夜しますよ!」と張り切り、ガイも「闇の王? なら俺が拳でぶっ飛ばしてやる!」とワクワク。アニーは呆れ半分、頼もしさ半分で苦笑する。
私も杖を手にしっかり心を決める。「悪役令嬢の破滅フラグより、国の破滅フラグを回避しないといけないわね……頑張りましょう、みんな」
誰もいない学園の地下空間らしき場所に、マントを纏った人物の姿がある……。
「フフフ……小僧の召喚に力を貸してやったら、面白い騒ぎになったな。だが、あの光の令嬢が想定外に強い……。次はもっと大規模に闇を解放せねば……」
その瞳が邪悪な赤色に光る。まるで人外のようなオーラを放ち、闇魔導書と思しき古書を抱えて不気味に笑う。
「この世界が本来のルートを外れているようだが……構わん。いずれ俺が“真の闇の王”として君臨してくれる……!」
――こうして、学園祭の大パニックを経て、悪役令嬢と仲間たちはますます結束を強める。
だが、背後に潜む“闇の王”の気配は確実に高まり、やがて国全体を揺るがすクーデターや魔物軍団との戦いへ発展していくことになるのだ。
破滅フラグを失った私が、今度は“国の救世主”フラグを背負わされるなんて……本当に人生何が起こるか分からないですわ.......
毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)
保存といいねお願いします……!




