表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/102

37話  学園祭当日① “私こそメインヒロイン!”と謎の高笑い……あれ? お客さんに好評ですわ?

迎えました、学園祭当日。


朝から校門前には一般客や他学年の生徒、外部招待の貴族などが押し寄せ、学園敷地内が大混雑している。私たち2年生のクラスメイトも、それぞれ出し物に奮闘中で、熱気は最高潮だ。



私のチーム「セレスティア様の高貴なるティーサロン」は、校舎の2階フロアをまるごと借り切る形で展開している。


入口には大きな看板——「ようこそ下々の者たち!」という、一見すると挑発的な文字が躍っているが……それこそ私たちの演出の一部。


「おほほほ! これは最上級のティーサロンですわよ!」

私は取り巻きの前で、恥ずかしながらも“高笑い”を練習。客がやってくるたびに「よくいらっしゃいましたわね、下々の者……あら、意外と小綺麗な格好ね?」などと台詞を放つ。


本来なら「えっ、感じ悪い……」とドン引きされそうなものだけれど、どういうわけか、転生者を中心とした観客は「きゃー、これこそ悪役令嬢の醍醐味!」「うける~!」などと盛り上がっている。


(なんなのこれ……私としては、わざと“悪役風”に見せかけてるだけなのに、本当に喜んでもらえてるんだけど?)


客の中には、「セレスティア様がこんなにノリノリで高笑いしてくれるなら行ってみたい!」とSNS(?)ならぬ噂ネットワークで拡散したのか、意外なほどの人波が絶えない。


取り巻き令嬢ズは「大成功ですわ!」と嬉しそうに接客に励み、レオナルトは執事役に徹して「お客様、こちらへどうぞ。姉上、足元にお気をつけくださいね!」と走り回る。


(まさか私が“私はメインヒロインですわ!”みたいなセリフを連呼する日が来るとは……人生何があるか分からないわ)


一方、アニー側の「聖女カフェ」も負けず劣らず繁盛しているようだ。こちらは天使や花のモチーフがあふれ、暖かな音楽とともにハーブティーを提供。客の心を癒やすコンセプトが好評だとか。


リヒト殿下は当初「この店だけを目立たせて悪役令嬢を嫉妬させよう!」と目論んでいたが、私の店が思いのほか大人気なので面食らっているらしい。


「な、なんだ……セレスティアのあの高笑い、普通にウケてるじゃないか……! これじゃ嫉妬させるとか無理だ!」

アニーは逆に「あらあら、セレスティアさんの店が大成功で嬉しいです!」と微笑んでおり、殿下は「うぅ……どうすればいいんだ……」とまた頭を抱えている。


客がひと段落した昼過ぎ、廊下を歩いていたら何人かの女生徒が「セレスティア様、素敵……やっぱり悪役令嬢でも本当は優しいのね!」などと称賛の言葉をかけてくれる。


「あ、ありがとう……(本当はちょっと恥ずかしいんだけど……)」


私は笑顔で対応するが、心の中は微妙。


(メインヒロインって台詞を演出で叫んでるのに、周りはネタとして受け取ってくれてるんだもの。悪役令嬢というより“ネタキャラ”感が出てきてるかも?)


ガイが休憩がてら私の店を訪れ、「すっごい繁盛じゃないっすか! やっぱりセレスティアさん、華がありますよ!」と素直に感心してくれるので、私もまんざらじゃない気持ちになる。


「そ、そう? ありがとう。でもあなたの店もすごい行列だって聞いたわよ?」

「へへ、まぁ肉料理は安定の強さっす。後で差し入れに持ってきますね!」

元気に走り去るガイを見送って、なんとも言えない満足感と恥ずかしさが入り混じった気分に浸る。


(学園祭って、こういうお祭り騒ぎなのね。私が悪役どうこう言ってたのがバカみたいに思えるわ……)



そんな賑わいの裏で、ふと気づくとアレクシスの姿をまったく見かけない。普段なら学園祭では公爵家として豪華な展示をするか、闇オーラを放って注目を集めるかもしれないのに……。


取り巻きにそれとなく尋ねると、「うーん、アレクシス様は何か裏のほうで企んでるって噂を聞きました。さっき学園裏手の倉庫に入っていったとか……」と噂話が飛び交う。


私の胸に嫌な不安がこみ上げる。


(まさか、ここでモンスター召喚を……? いや、そんな大事、ちゃんと警備員や騎士科の人たちに気づかれるでしょ?)


しかし、学園祭は大勢の人でごった返しており、警備も分散している。


アレクシスが少し小型のモンスターを呼ぶ程度なら、最初は大きな騒ぎにはならず、後で急にドンと混乱が起こる可能性がある。


(モンスターなんて出たら、下手したら来場者に被害が出る……絶対に阻止しなきゃ)


でも、具体的にどう動けばいいか分からないまま、私は店の接客に追われてしまう。


レオナルトも「姉上をお守りします!」と張りついていて、アレクシスを探りに行ける余裕はない。


(こうなったら、万が一何か起きても“光魔法”ですぐ対応できるよう心構えしておくしかないわね……)



そんなこんなで、学園祭の前半は大きなトラブルもなく、私の店もアニーの店も大盛況という結果に。

朝一番からお昼すぎまで、特に大きな衝突や事故は起きず、リヒト殿下の“婚約破棄誘導”も失敗に終わりつつある。


取り巻き令嬢ズは「もうこれはセレスティア様が真のヒロインですね!」と喜んでいて、私のほうは「ちょっと違うけど……ま、いいか」と渋々受け入れるしかない。


(そうはいっても、アレクシスがいないのが気になるわ。もし彼が裏でモンスターを召喚するとしたら、そろそろ何かが起こってもおかしくない時間帯だと思うんだけど……)


私は胸をざわつかせながら、店の追加仕込みをするため倉庫へ向かう。


すると廊下の向こうからアニーが駆け寄ってきて、「セレスティアさん、大変です!」と息を切らせて言うのだ。


「どうしたの?」

「あ、アレクシス様が裏の空き教室で闇魔法の術式を組んでるって……さっき転生者の子が見かけたって……!」


やはり来たか、と私は大きく息を飲む。


(何が起きるのか分からないけど、これは放っておけない!)


当日の盛り上がりに紛れて、アレクシスが本格的に動き出したのかもしれない。私はアニーと顔を見合わせ、急いで対策を考える。


「学園祭の運営スタッフや、騎士科の子たちに知らせましょう。闇魔法で何か召喚しようとしているなら、早めに止めないと……」

「はい、わたしもできるだけ動きます! セレスティアさんは光魔法があるし、もしものときはお願いします!」


私が悪役令嬢だなんて言っている場合じゃない。ここはもう、自分のできることをやるしかない——そう心を決めて、学園祭当日昼の緊迫した時間が始まるのだった.....

毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

保存といいねお願いします……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ