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32話  アニーの“開発スタッフ”知識炸裂? 『闇魔法の扱いは私も知らない…!』と動揺

2年生も最初の1~2週間が過ぎ、日常授業が本格的に始まる。


貴族科と騎士科はクラスが分かれているが、共通授業や実技で顔を合わせることも多く、私たちが一緒に過ごす機会は格段に増えた。




放課後、アニーが屋上近くの小屋でぼんやり空を見上げていると聞き、私は気になって声をかけた。

「アニー、こんな所でどうしたの?」

「セレスティア様……。あ、いえ、その……ちょっと考えごとを……」

アニーはいつになく暗い顔。私は胸騒ぎを覚えながら、彼女の近くに腰掛ける。


「もしよかったら話してくれない? あなた、私に言いたいことがあるんじゃないかしら」

そう促すと、アニーは少しだけためらってから、ぽつりぽつりと口を開いた。


「……私、前世ではこのゲーム世界を作っていた“開発スタッフ”だったんです。でも途中でクビになったから、最終的なシナリオを知らなくて……。本来なら、王太子とヒロインが結ばれるルートとか、悪役令嬢がどこで破滅するかって大筋は想定内だったんですが……」


(この子は何を言っているのかしら??)


「でも、闇魔法に関する設定は、私もあまり把握してないんです。どうやら別のスタッフが作った追加要素らしくて……。だから、今起きている“闇魔導書盗難”とか‘本物の闇勢力’が暗躍している件について、私にもまったく情報がない……」


(この子は何を言っているのかしら????)


アニーはしょんぼりとうなだれる。「私、せめてヒロインとして闇を払う役目を担うと思っていたのに、セレスティア様のほうが光魔法で目立つし……」


(うーん...完全に理解したわ!(エンジニア風))


「ヒロインとして……か」

私は苦い笑みを浮かべる。アニーは本来のメインヒロインなはずが、私が悪役令嬢のくせに光の活躍をしてしまったことでルートがねじれている。


そして肝心の闇魔法ルートはアニーも知らない。


(なるほど……ゲーム制作段階で“闇ルート”は別の人が後から付け足した拡張ストーリーか何かかもしれない。だから私たちがどんなに前世知識を総動員しても、想定外の事態が起きている、と)


「アニー、あなたが落ち込むことはないと思うわ。少なくとも、あなたには聖女の力があるんだし、闇に対抗するポテンシャルはあるでしょう? 私は光魔法でなんとかしてるけど、あなたの聖女力が加われば、きっと最強よ」


私がそう励ますと、アニーは目を潤ませながら「で、でも……セレスティア様があまりにも眩しすぎて……私、逆に要らない子になっちゃうんじゃ……?」などと言い出す。


「そんなことないわよ! 私はただの悪役令嬢だし、あなたが本来のヒロインなんだから、きちんと役割はあるはず……」


思わず熱く語ってしまうが、内心は(本当に私が悪役か?)という疑問が少し出てきていた。


ともあれ、アニーが抱える不安はもっともだ。自分が大好きだった乙女ゲームに転生したのに、闇要素が予想以上に大きくなり、彼女の想定ルートが無意味になりかけている。


(私も似たようなものだわ。破滅フラグを回避したいと思いつつ、闇の脅威で世界が滅びるんじゃ本末転倒だし……)


そこへ、なぜか取り巻き令嬢ズ(ベルティーユ&コネット)がひょこっと姿を現し、「あら、こんなところにいらしたんですね、セレスティア様、アニーさん!」と合流する。


「アニーさん、そろそろ“悪役令嬢に立ち向かうヒロイン”イベントを起こさないとダメですよ~」などと無邪気に言い出すので、アニーはギクッとしてしまう。


「む、無理です! セレスティア様にそんなことできません!」

取り巻きは「ええー、でも私たち悪役令嬢推しとしては、ヒロインが逆襲してくれるのも見たいんですけど……」とケロリ。


私が慌てて「ちょっと、そんなこと言わなくていいのよ」と制止すると、ベルティーユたちは「あはは、冗談ですわ。でも機会があれば、ぜひ対決イベントを!」と撤収。


(本当にもう……この子たち、自分たちが面白がりたいだけなんだから)



「アハハ……セレスティア様、ありがとう。私、少し元気出ました。確かに聖女として、まだまだやれることがあるはずですよね!」

アニーは目を潤ませながら笑う。



「そうよ。私もあなたを信じてる。闇魔法はお互い手探りだけど、力を合わせて頑張りましょう」

「はい、ぜひ……!」


こうしてアニーの迷いは完全には晴れないものの、彼女自身も「闇をどうにかしなきゃ」「ヒロインとして少しは活躍しなきゃ」とやる気を取り戻す。


結果的に私たちは、前世ゲーム知識に頼りきるよりも、この世界で協力して“闇”と向き合わなければならないのだと再認識するのだった。


(しかし、2年生になっても私の“悪役令嬢ムーブ”は空回りしっぱなし。むしろアニーが私を慕ってくれてて、本格的な対立なんて起きそうにないし……本当にこのままハッピー路線に突き進むのか? いや、闇勢力が動いてる以上、そんなに単純でもなさそうだけど……)



毎日投稿頑張ってますΣ੧(❛□❛✿)

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