30話 夏休み終了間際、私の光魔法がさらに強化!? 一体どういうこと……
王都での夏休みも終盤に差し掛かった頃。
喧騒の日々に加え、宝物庫盗難事件の不穏さも相まって、私は疲労を感じていた。しかし、ここにきてもう一つ驚きの出来事が起こる。
ある午後、レオナルトと一緒に街で買い物をしていた私。護衛も数名ついていたが、最中に小型の魔獣が突然現れ、道行く人々が悲鳴を上げ始めた。
「わ、わぁ! な、何あれ……犬みたいだけど、明らかに角が生えてるし、目が赤い……」
どうやら闇属性の低級魔物が、どこからか紛れ込んだらしい。市街地で魔物なんて珍しいが、宝物庫盗難以降、闇の活動が活発化しているのかもしれない。
護衛の騎士たちが「危ないです、お嬢様は下がってください!」と叫ぶ。
私は引き下がろうとしたが……その魔獣が道端の親子に狙いを定めて突進し始めたのが見えてしまい、反射的に身体が動いた。
「危ない……! 防御魔法!」
私が持っていた小さな杖(護身用)を振ると、眩い光が瞬間的に展開し、魔獣の突進を止めるバリアが生成される。
「……えっ?」
自分でもびっくりするほど強い光量だった。いつもは弱々しい光しか出せなかったはずなのに、今回はまるでLvアップしたかのように、魔獣がビリビリと怯んで後退するほど強力だ。
「姉上、すごい……!」
レオナルトが目を見開く。周りの護衛騎士も唖然。「ノイエンドルフ家のセレスティア様って、こんなに光魔法を使えたのか……?」とざわつく。
その隙に、魔獣は怯えたまま路地の陰へ消えていった。正直、追撃しようにも市街地で暴れ回る危険があり、騎士たちも慎重に捜索へ。私たちは怪我人がいないか確認を手伝った。
「姉上、今の光魔法……相当な威力でしたよ。なんというか、1年生の頃はもう少し弱かったような……」
レオナルトが不思議そうに問いかける。私も内心戸惑っている。
(たしかに、学園で小動物モンスターを退けたときも少し驚かれたけど、今回はそれ以上だった。まるで私自身の魔力が強化されているような……)
嫌な予感というか、得体の知れない感覚が胸に湧く。
前世で見た“乙女ゲーム”の中でも、悪役令嬢が成長していくというイレギュラー展開はあまりなかったような……。
(いつの間に光属性がこんなに伸びているの? 破滅フラグ回避に関係があるのか、あるいは闇勢力が台頭しているから私の力が呼び起こされているとか……?)
ともかく、この騒ぎで私の名はさらに街中で噂になった。「セレスティア様は光の守護者だ」とか、「彼女こそ王太子の隣にふさわしい、国を照らす光だ」とか……。
(これじゃますます悪役というイメージから遠ざかっているじゃない……。破滅フラグってどうなるのよ?)
後日、私の家に集まったリヒト殿下、ガイ、アレクシス、アニー、取り巻き令嬢ズらが、一斉に「セレスティア様、今の光属性はすごいですよ!」と盛り上がった。
ガイ:「姉さん……いや、セレスティアさんってば、もはや主人公の風格あるっすよね? 魔物を一撃で怯ませるとか、RPGヒロインじゃないすか!」
アレクシス:「くっ……俺の闇魔法と相対する存在になりつつあるのか……厄介だが、同時に頼もしい面もあるな」
アニー:「すごいです、セレスティア様! 前世で私が制作に関わったゲームだと、光属性は主役のヒロインが使うパターンなのに……完全に逆行してますね……」
取り巻き令嬢ズは「悪役のはずが、どんどん英雄ムーブに……でもそれはそれで萌え!」とテンション爆上がり。
レオナルトは「姉上が最強なら誰も破滅なんてさせられませんね!」とさらに沸く。
その一方で、リヒト殿下は“断罪ルートがますます遠のいた”と心の中で肩を落としているのが丸わかりだ。
(私としては破滅せずに平和ならいいんだけど……闇勢力の臭いが急増しているのは間違いなく、そのせいで光魔法が呼応している気がしなくもない。大丈夫なのかしら、これ……)
こうして夏休み終了間際、私は以前より強力な光魔法を使えるようになり、さらなる注目を集めることとなった。
______同時に、闇の脅威も現実味を増しており、2年生でどんな事態が起こるのか、予断を許さない雰囲気が漂っているのことは........
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