24話 殿下の“断罪宣言”を狙うも失敗…? だってみんな私を褒めてくれるんですもの!
アレクシスの小動物モンスター騒ぎが片づいたあと、リヒト殿下が「これを機に断罪イベントを発動できないだろうか?」と最後の望みを託していたらしい。
具体的には「モンスターの黒幕がセレスティアだった!」というデマを流して私を糾弾し、学園の前でお前など婚約破棄だと宣言する……いわゆる悪役令嬢断罪の定番パターンを企んだわけだ。
ところが、実際にはガイやアニー、取り巻きが「セレスティア様はむしろ撃退してくれた!」「あのとき助かったのはセレスティア様のおかげです!」と大声で私を称賛してくれる。
断罪どころか逆に「ありがとう!」が連呼される雰囲気になってしまい、殿下はまったく糾弾を切り出すタイミングを失ってしまったようだ。
「くっ……これじゃ“セレスティアが闇の手先”って流れにならないじゃないか……」
殿下がささやかな声でぼやいているのを聞きつけ、私は思わず苦笑。
「だって私はほんとに何もしてないし……あれを召喚したのはアレクシスだし、学園のみんなも私が捕獲に協力したのを見てたじゃない」
「そうなんだよな……もはや誰もお前を疑わない」
肩をすくめる殿下が憔悴気味なのを見ていると、私もなんだか申し訳なくなる。
まあ、破滅を回避したい私にとっては好都合だけれど、殿下の計画としては致命的に狙いが外れているのだろう。
ガイやアニーは「セレスティア様が闇を蹴散らしてくれた!」と盛り上がり、学園長までが「期末試験後の大変な時期に助かった……ありがとう、セレスティア殿」と公式に謝辞を述べたりする。
これではリヒトが断罪イベントを起こそうとしても逆効果だ。私が周りから英雄視されればされるほど、殿下が婚約破棄を告げるのは難易度が上がるという皮肉。
「……くそ、またタイミングを逃した」
小声で吐き出し、リヒトなりに頭を抱えている姿が目に入る。
「いや、俺も闇ルートを楽しんでみようと思ったのに……なぜかセレスティアが光魔法で目立って終わった……あれ、逆だな?」とアレクシスは悔しそう。
二人とも逆位置に嵌まり込み、なんとも滑稽な空回りをしている。
「そりゃ私だって望んで光魔法を出したわけじゃないんだけど……反射的に守らなきゃと思って杖を振ったら出ちゃったのよ」
私が弁解すると、取り巻きが「いえいえ、そこがセレスティア様のすごいところですわ! さすが悪役でありながら実はヒロイン並みの実力……」と妙に興奮気味に褒めそやしてくるから、私は戸惑うばかり。
でも、結果として学園の皆が「セレスティア様のおかげで助かった!」と感謝ムードに染まったのは動かせない事実だ。
リヒト殿下がモンスター事件に乗じて「これをセレスティアの陰謀だ!」と断罪宣言するプランを狙ったのに、周りが「セレスティア様こそ救い主!」と褒めたたえるのでまったく糾弾できず、断罪はまたも未遂に終わる。
(私としてはありがたい)
殿下とアレクシスは「計画倒れだ……」と肩を落とし、悪役イベントも起こらず学園は平和な空気のまま
——何度繰り返しても破局や破滅など降ってこないのだ。
私は「すみませんね、殿下……」と苦笑しながらも、正直ホッとしている。
学園のみんなも転生者だからこそ、わざと断罪を煽ったりはしないし、なにより私を慕ってくれる人が増えている。こんな状況で破滅なんて起こるわけがないのではないかと思いつつ、次なるイベントへ備える日々が続いていく。
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