23話 アレクシスの“小動物モンスター召喚”計画? 学園大騒ぎ→私、光魔法で救っちゃいましたわ!
期末テストが終わってホッと一息ついたころ、学園に妙な噂が流れ始めた。
「夜中の校内に小さい悪魔のようなモンスターが出現しているらしい」というもの。
裏庭や空き教室から、深夜にかすかな声や物音がして、姿は見えなかったが小動物大の怪生物を見たという証言が増えていた。
「この学園でモンスターが? しかも小動物サイズって……誰がそんなことを?」
私は取り巻きやアニーと噂話をしていたが、想像するなら、闇魔法を使えるアレクシスあたりが怪しい。
彼はクール公爵子息であり、前世ゲーム知識からして“闇ルート”をそれなりに楽しんでいる気配がある。もし闇魔法の実験として何かを召喚したなら、この噂の元凶かもしれない……そんな予感が走る。
すると、アレクシスが昼休みにひょっこり姿を現し、予想通りぼそりと告白した。
「うん、ちょっとな……試しに小型の闇モンスターを召喚してみたんだが、思いのほか制御が難しくて、校内を彷徨ってるかもしれない」
彼は自分自身が一種の闇属性を扱い、それを極めることで何か面白い展開を起こそうと画策している節がある。
前世でハード系ファンタジーをこよなく愛し、この学園でも闇魔法ルートに突き進むのが“しっくり来る”と思っているらしい。しかし誰もが転生者のため、周囲はわりと“ああ、やっぱり”と受け止めるから、そこまで恐れられないのだ。
「ちょっと、アレクシス! あなた、まさか学園にモンスターを放ったりしてないわよね?」
私が呆れて問い詰める。
「すぐに見つけて回収するつもりだったが、深夜の校内は意外と広くてな……まだ見つけられていない」と素直に認める。
なるほど、それで噂が広がったわけだ。別に学園を破滅させたいわけではなく、ただ“闇魔法を研究してみたかった”だけという単純な動機なのだろうが、これは迷惑でしかない。
「やめてよ、そんなトラブルを起こすなんて……私たちが責任取る羽目になるじゃない!」
私が心底困り顔を見せると、アレクシスは頰をかすかに緩め
「いや、だって誰も本格的に俺を恐れてくれないし……闇ルートを確立しても事件にならないから、試しに小動物サイズを出してみた。ちょっと騒ぎになると思ったが、意外と地味で……すまん」と悪びれもなく言う。
取り巻きたちが「もう、アレクシス様は闇遊びが好きなんだから……」とあきれつつ、「でもモンスター召喚って少し面白そうですよね?」などと興味を示している。
私は「面白いわけないでしょ!」と突っ込みたくなる。
アニーが「い、一応危険なので早く捕まえてくださいね!」と震えながら言うと、アレクシスは面倒そうに「分かった。校内を夜に捜索してみるよ……」とつぶやいた。
しかし、夜間パトロールを始めたのはレオナルトやガイら騎士科の人たちであり、彼らが姉上を危険にさらさない!と勝手に乗り込む形になって、余計に話が大きくなってしまう。
結果、いざ夜の校内で小動物モンスターが見つかったときには、ガイが「よし、俺が倒す!」とRPGのようなテンションで声を張り上げ、大立ち回りを披露。
私も「危ないから気をつけて!」と焦って駆けつけたが、ガイが剣をぶんぶん振るううちにモンスターに追い詰められてしまった。
(なんで突っ走ったのよ......)
とここでその場で私が杖を握り、本能的に“光魔法”を放ってしまっう。
モンスターが眩んで一瞬ひるんだため、ガイの剣であっさり捕獲完了。
アレクシスの予定では「闇のモンスターを相手にクラスメイトが騒ぐ→アレクシスが冷酷にアクション→悪役感アップ」かもしれないが、実際は私が光魔法でサポートしつつガイが撃破する流れに落ち着き、さらに学園中の皆が「あ、セレスティア様が手伝ってくれた!」と拍手までしてくれる。
どこにも悪役シーンなんて存在しない。
「光属性……お前、そんな力があったのか? 本当に闇を苦手とする……」
アレクシスが呆気に取られたように見つめてくる。
「いや、私も詳しいわけじゃないのよ。でも何か出せるらしいの」と苦笑する。
周囲の生徒は「すごい、セレスティア様が眩しい光でモンスターを退けた!」と感動しており、リヒト殿下は頭を抱えて「これ、また断罪する雰囲気じゃないな……」と嘆く始末。
「ごめんね、あんたの闇魔法計画をぶち壊した形?」
と思いつつ、止められなかった仕方なさを感じるしかない。
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