16話 初の社交イベント“春の夜会”に招待される
そんな学園生活の中、1年生として初めて大きな社交イベントに顔を出す機会が巡ってきた。
「春の夜会」と呼ばれる貴族社交界のパーティーで、本来は上流階級の大人が集う場所なのだが、学年行事として1年生も見学が許可される……という形だ。
「セレスティア様、パーティードレスはもうお決めになりました?」
朝のHR前、取り巻き令嬢ズが浮き足立って尋ねてくる。
「ええ……母がすごく派手なドレスを用意してくれたみたいで……ちょっと困ってるのよ」
「いいじゃないですか~! ド派手に登場して“ざまぁ”感を出しましょうよ!」
「いや、‘ざまぁ’って誰に対して……」
そもそも夜会では、ヒロイン役であるアニーや、他の令嬢たちも参加する予定。私はてっきり「悪役令嬢が豪華ドレスで現れ、平民出身のヒロインを見下す」みたいなイベントが起きるかもしれないと思うが……どうせアニーは腰が低いし、私もわざわざいじめる気はない。
「ねえ、ここで悪役っぽい振る舞いをしたら、嫌われるのかしら?」
私がこっそり取り巻きに尋ねると、彼女たちは「うーん、軽めのイヤミならウケるかも?」などと盛り上がる始末。
また、リヒト殿下も「ここで派手に婚約破棄を宣言すれば、一気にイベント達成!」と密かに意気込んでいるらしい。
(ああ、やっぱりまた婚約破棄を狙ってくるのね……。でも、私は果たしてどう動けばいいの?)
昼休み、廊下でアニーにも会ったので、何気なく「あなた、夜会に来るの?」と尋ねると、
「はい……貴族の方々のパーティーなんて初めてなので緊張します……。セレスティア様、変なご迷惑をおかけしないといいのですが……」
相変わらず腰が低い。
「あ、ああ、別に気にしなくてもいいんじゃない? 私にできることがあれば声をかけて……」
「そんな! セレスティア様にご面倒をかけるわけには……! いえ、でもありがとうございます!」
——これ、普通に仲良しだわ。悪役令嬢とヒロインがこうも打ち解けてるなんて、本当に良いのやら悪いのやら……。
そんなこんなで、初の社交イベント春の夜会に向けて、私たち1年生の緊張と期待は高まっていく。
私自身は、「悪役令嬢として大恥をかかないように」と身構えつつ、同時に「婚約破棄が強行されるのでは?」という不安も捨てきれない。
(……まぁ、取り巻きもいるし、レオナルトもいるし、いざとなったら何とかなるかしら?)
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