14話 小テストでアニーが首席! 本来なら嫉妬イベントが起きるのに…?
学園に入学して最初の小テストが終わり、成績表が掲示される。
結果は、
1位アニー
2位セレスティア
3位アレクシス……
といった順。
正直、私は勉強にもそこそこ自信があるほうだが、アニーは平民でありながらコツコツ努力しており、結果を出すタイプのようだ。
「す、すごいわね……アニー、全科目トップとは……」
私が少し感心してつぶやくと、掲示板前にいた取り巻き令嬢ズが「え~っ、セレスティア様、もっと嫌味言ってくださいよ!」と口を揃える。
「嫌味って……何を言えばいいの? アニーは頑張ったんですもの、素直に褒めてあげるべきでしょう?」
「そこをグッと堪えて“あなた、どこの馬の骨かわからないくせに生意気ですわね!”とか言っちゃうのが悪役令嬢の王道じゃないですか!」
「そ、そう? でも……そんなの私には無理よ」
取り巻きたちは「ええー…」と落胆する。
一方、私の耳元で義弟レオナルトがこっそり囁く。
「姉上、無理に悪役をしなくてもいいんですよ。破滅フラグを回避したいなら、むしろ褒めて伸ばしたほうが安全かと……」
「そうよね……」
アニー本人は少し離れたところで「きゃ、わたしなんてまだまだです!」とクラスメイトたちにお礼を言いまくっている。
本来なら、“平民が首席になった”と妬む貴族令嬢たちがいてもおかしくないのに、誰もそんなムードにならないのが不思議だ。
……考えてみれば、クラスメイトに他の転生者が多いからか、「これってお約束の学園イベントだね~」という雰囲気で、むしろみんな面白がっている感じ。
「はぁ……結局、悪役令嬢としての見せ場は今回もゼロですか」
私が苦笑していると、背後からひそかな声が聞こえる。
「……ふん、2位なんざ大したことない」
振り向くと、アレクシスが腕を組んでこちらを見下ろしていた。
「あなた、3位なのに随分と自信たっぷりね?」
「ちっ、俺は勉強なんて本気でやってないだけだ。闇の研究が忙しかったからな……」
アレクシスは相変わらずクールを装っているが、やや悔しそうな表情を浮かべている。
「なら勉強に力を注げばいいじゃない。せっかく頭も良いんだから」
「ふん、俺は学園など余興だ。闇魔法こそが真の……」
——とか言いながら、アレクシスがそっと成績表に目をやり、ほんの少しだけ肩を落としているのを私は見逃さなかった。
(……結局、アニーがトップ。私は惜しくも2位。アレクシスは地味に3位って、これが今の学園序列なのかしら? でも誰も喧嘩しないし、私がアニーに嫌味を言う展開もなし。ホントに平和ね……)
こうして“小テスト成績発表による嫉妬イベント”も不発に終わる。
取り巻き令嬢ズはガッカリした様子だが、私は「こんなことで破滅フラグ立てられても困るし……」と密かに胸を撫で下ろすのだった。
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