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キラめき一閃!  作者: チーム奇人・変人
2→3年 春
63/66

春のあけぼの⑥

 そして迎えた大将戦。

 すでに二中の敗退は決定したけど、だからといって捨ててイイ試合じゃない。

 次に――最後の夏につなげるための大切な試合だ。


 こちらの大将は、シーコ。四中の大将は、リンリンこと姫神(ひめかみ)凛音(りんね)だ。


 一昨年の個人戦全国優勝者と、毎年全国大会に出場している強豪チームの部長との試合とあってギャラリーの注目度も高く、試合コートの周囲には人垣ができていた。


 こんな大観衆が見守る中で試合をするなんて、きっと緊張するだろうなと思う反面、スゴくうらやましくも感じてしまう。


 ワタシはこの戦いを目に焼きつけなければならない。

 戦いたい――勝ちたいと願うヒトたちの、その一挙手一投足を。


「はじめッ‼︎」


 主審が高らかに告げる。


「ヤァァァァァッ‼︎」


 リンリンの気合いがこもった声がこだまする。

 シーコとの対戦を切望していたハズの彼女にとっても、この勝負を決して消化試合とは捉えていないだろう。


「キイエェェェェェッ‼︎」


 だけど、それ以上に気合いを発していたのはシーコだ。


()ェェェェェンッ‼︎」


 そして、先に動いたのもシーコだった。

 いつもとは違う積極的な動きにワタシたちは驚いたけど、リンリンもそれを受けるのが精一杯という感じで戸惑っているように見えた。


 その後(つば)迫り合いになって少しは落ち着くかと思われたけど、


()ォォォォォッ‼︎」


 シーコはすぐさま後ろに下がりながら胴打ちを放ち、間合いを取る。


「小手ェェェェェッ‼︎」


 そしてまた切りこんで行ってはすぐに離れて行くという、ヒットアンドアウェイ戦法を展開する。


 こういう試合運びも出来るんだ、と驚く反面、なんでシーコはそういう戦い方をしているのか、その真意までは掴めなかった。


 だけど、その動きはどこかツムを彷彿とさせるものだった。


 業を煮やしたリンリンは、その小技を持ち前のパワーでねじ伏せようと剛打を仕掛ける。


 すると、シーコはさっきまでの動きをピタリと止めて、リンリンの攻撃を同じようにパワーで押し返す。鍔迫り合いになると相手を完全に押さえこんでコントロールして、相手の体勢が崩れたところに力強い一撃を浴びせる。


 こういう戦い方は、トモっちのものに似ている。


 力技が通用しないと悟ると。リンリンはスピードを上げて小技を仕掛けるようになる。


 するとシーコは、なんと両腕を頭上に掲げ挙げて上段の構えを取るのだった。


 場内がどよめく。

 ワタシたちも驚いたし、何よりも対面しているリンリンが一番面食らっているだろう。


「……一体どういうおつもりですの?」


 思わずリンリンの口からそんな言葉がもれる。内心穏やかじゃないのは、誰の目から見ても明らかだった。


 それもそのハズだ。

 本来、上段の構えは上背のあるヒトが相手を圧倒する時に用いられるのが定石で、リンリンよりも身長の低いシーコがその構えを取るコトに何のメリットも見出せないのだ。


「小手ェェェェェッ‼︎」


 (たけ)り狂ったように、リンリンが攻撃を仕掛ける。


 バシィィィィィッ‼︎


 その瞬間、シーコが上段から振り下ろした剛撃が相手の竹刀を大きく弾き、


()ェェェェェンッ‼︎」


 そこからさらに切りこんで行く。


「くっ!」


 間一髪竹刀でそれを受け止めるリンリン。


 今までシーコが上段の構えで戦うところは見たコトなかったけど、彼女は普段やらないその構えでも充分戦えるコトがわかった。


 ――もしかして……


 ワタシはここで、あるひとつの可能性に気づいた。


 それは、シーコはワタシたちそれぞれに戦い方を身をもって教えているのではないのか、というコトだ。


 最初のスピード重視の戦い方はツムに。パワー重視の戦い方はトモっちに。そして上段の構えは、長身のメイに向けた戦い方のレクチャーだったのではないだろうか?

 


 

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