冬の氷解②
ワタシはやっぱり困惑した。
それがワタシにとって生まれて初めて受ける告白だったから、というのもあるけど、そもそもコジマは――
「……ウソだ」
「え?」
「ワタシが好きなんて、ウソだよ! だってコジマはツムと付き合ってんじゃん!」
「ッ⁉︎」
ワタシがそう叫ぶと、コジマは驚いたように目を丸くした。
「ちょっと待て。オレとツムが付き合ってるって……なんでそんな話になってるんだ?」
「ワタシ、偶然見ちゃったんだ……。ツムがコジマと<MAIN>でやり取りしてるのも、この前2人がショッピングモールでデートしてたのも」
「ッ‼︎」
コジマは再び目を丸くした後に、ハァッと大きくため息をついて言った。
「そっか……だからお前の様子がおかしかったのか……」
そしてワタシの肩から手を離すと、
「あのな、それは全部誤解だ。たしかにオレとツムは<MAIN>で連絡取り合ってたし、ショッピングモールにも一緒に買い物に行った。でもな、オレたちは付き合ってなんかいないぞ」
絡まったヒモをひとつひとつ解いていくように、コジマは言う。
「え?」
今度はワタシが目を丸くする。
「そこまで知られたから素直に白状するけどな……。実はオレ、お前にいつか告白しようと思って、ツムにいろいろと相談してたんだ」
コジマは照れくさそうに頭をかきながら語り出した。
「沈んだままのお前を見たくない。昔のように情熱を取り戻して欲しい。そのための力になりたい、って。それで今年の夏休み前くらいに<MAIN>のアドレス交換して、いろいろ助言をもらってたんだ」
やっぱり、3人でひさしぶりにもんじゃ焼き屋に行ったその前から、ツムとコジマは連絡を取り合ってたんだ。
「もんじゃ焼き屋でお前をからかっちゃったことがあったろ? 恋愛小説読んでるなんてらしくない、って。あん時も注意されたけどさ、実はあの後もツムから<MAIN>でダメだしくらったんだ。そんなこと言うもんじゃない、って。そんで、すぐにフォローしろって言われてお前に<MAIN>したんだ」
たしかにあの時、家に帰るとすぐにコジマから<MAIN>で謝罪のメッセージが届いた。まあ、その後の余計なひと言が全部を台無しにしてたような気もするけど。
「夏祭りの時も、ツムから教えてもらったんだ。お前たちが<バーグ>の前にいるからそこに来い、って。そしたら一緒に祭りを回れるようにするから、って言って」
そうそう。たしかにあの時、ワタシたちが待ち合わせしているところに都合よくコジマたちが現れて、ちょっと不審に感じてたんだ。
コジマたちと一緒に行くようにそそのかしたのもツムだったし。
「それと、お前が浴衣を着て来るから褒めてポイントを上げろ、とも言われてたんだよ。だけど結局お前は浴衣を着てこなかったからさ、オレもツムもあん時は肩すかしくらったんだよなぁ」
そう言ってコジマは笑う。
たしかにあの時、ツムは<MAIN>でやたらと浴衣を勧めてたんだよね。
それに、花火を見る時もツムは強引にワタシをコジマの隣に立たせた。
そういう裏事情があったからなのか、とワタシはようやく納得する。
「秋に一緒に帰ったコトがあったよね?」
「ああ。お前と話がしたいと思ってさ。ツムが気を利かせてくれたんだ」
いつも一緒に帰っていたハズのツムが、あの時だけは用事があるって言って先に帰って、駐輪場に行ったらコジマが待ってたんだよね。
「東京で柔道の大会があった時、ツムが迷わずにコジマの居場所まで連れて来てくれたのも?」
「オレが<MAIN>で居場所を教えたんだ」
そういえばその時、コジマはワタシたちの姿を見てもあまり驚かなかった。ワタシたちが来るコトを最初から知ってたんだ。
これまでの出来事を改めて振り返ってみると、ワタシはツムの手のひらの上で踊らされていたんだなぁ、とつくづく感じる。
ツムはホントに策士だったんだ。




