第五話・魔法の練習はしんどい!?
前回のあらすじ
俺ってやっぱりチート能力でした
翌日から授業が始まるわけだがさすがにリリアンは連れてこなかった。
いや、付いてこようとしてたが領主にさすがに止められていた。
さて、アリスに案内された教室には机とイスが一つ、、、えーっと、生徒は俺しかいないのか?
「はい、座って」
すでに教壇に立っている所長。
俺は、一つしかないイスに座る。
「よし、それでは授業を始めようか」
「所長」
「なんだ?」
「私一人しかいないんですけど」
「そりゃそうだ、お前しかいないからな」
マジか、所長とマンツーマンって。
「それじゃ始めるぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください。なんで私しかいないんですか」
「そりゃあ、領主様から頼まれたら一対一でやるしかないだろ」
「は、はぁ」
「つべこべ言わずに始めるぞ」
そして始まった最初の授業の内容は冒険者の心得、生き方。
冒険者は死と隣り合わせの仕事もあるからその覚悟はしておくようにと。
でも、その話の後お前には無意味だと思うがなと言って笑う所長。
次にこの世界の情勢などの話。
この世界のことはリリアンに聞いてはいたがこの国の情報しか聞いていないから他の国のことを聞けるのはありがたい。
この世界はこのアルガスト王国の他に
ヴァナヘイト帝国
ミズガルト公国
ニザリール神皇国
妖精国アルフェイル
ドワーフ国ウテルム
スヴァール獣王国
の六国があるらしい。
妖精にドワーフ、獣王国ってことは獣人だろ。
いろんな種族がいるなんて行ってみたいに決まってるじゃないか!!
やっぱり冒険者になってこの世界を旅したい!
とワクワクしながら授業は進んでいった。
午前の授業が終わり昼食を食べ終えて訓練場へ移動する。
午後は実技の授業となるのだが魔法の授業がメインとなるらしい。
「さて魔法の実践をしていくわけだが最初に覚えたい属性は何がいい?」
「私が決めていいのですか?」
「全属性適正がある奴なんて見たことないからな。好きなのを選べばいい」
「それじゃあ、火属性から教えてください」
「よし、わかった。それではまず、、、」
所長の説明によると適性がある属性は自分が考えれば自由自在に出せるらしい。
それって好き勝手にいろんな魔法使えるってことでいいんだよなと考えるとスゴイというしかない。
リリアンが言っていたように適性が無い人は魔法名を詠唱しなければいけないようだ。
適性が無ければ想像したとしても細かく操れないということで属性の放出方法や形などを表している魔法名を詠唱するようだ。
そして、魔法の威力は魔力の量で変わるという。
簡単に言えば蛇口をひねれば水が出るがひねり方で水の量が変わる。
それと一緒ということみたいだ。
「自由自在かそれなら、、、」
俺は目を閉じながら手のひらを上に向け前に出し火を手のひらに出すイメージする、、、。
「おい、、、おい、リュウセイ、リュウセイ、、、」
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「んっ?ここは?」
周りを見るととそこは領主の館の客間。
ベッドに横になっていたようだ。
俺、訓練所にいたよな?どうして客間にいるんだ?
と考えているとドアが開きリリアンが入ってきて俺の顔を見るなり安堵の顔を浮かべていた。
「リュウセイ様、目が覚めたのですね」
「リリアンさん、私はどうしてしまったのですか?」
「所長が仰るには火の魔法を使った瞬間に倒れてしまったそうです。魔力切れではないかと」
「魔力切れですか、、、」
全属性適正あるのに魔法一回使っただけで倒れてしまうなんて思ってなかったよ。
というよりそれしか魔力が無いなんて全適正が宝の持ち腐れじゃんか。
なんかテンション下がるな。
「よいしょっと」
俺はベッドから起き上がる。
「動いて大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。なんともないですね」
腰を回したり腕を回したりしてなんともないことをリリアンにアピールした。
「リリアンさん、私はどのくらい気を失っていたのですか?」
「二時間ほどでしょうか?」
「そうですか」
一回使って二時間のダウンか、、、コスパ悪すぎ。
いやいや、一回使って倒れんだからコスパ悪いどころじゃないな
うーん、ここでやってもすぐ部屋連れてこられる環境だしこれは練習あるのみだな。
よし、もう一回やってみよう。
「リリアンさん、庭でもう一度魔法を使いたいと思うので見ていてもらいますか?」
「だっ、大丈夫ですか?」
「えぇ、倒れたらよろしくお願いしますね」
と言ったらリリアンはえっ?と口を開けながら驚いた後苦笑いをした。
中庭に移動した俺は訓練所でやった目を閉じながら手のひらを上に向け前に出し火を手のひらに出すイメージする、、、すると、、、
「リュウセイ様」
目を開けると
「おぁ、火出てる!!!」
俺の手から、、、火が出ていた、、、小さいけど。
でも、自分の手から火が出てるなんて信じられない。
それに熱くない。
これが魔法か、、、ってそういえば倒れなかったな。
うーん、これってまさか、、、。
次に俺は水を出すイメージをする。
そして、意識がなくなった。
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目を覚ましガバッと身体を起こす。
俺の部屋だな。
倒れた俺をリリアンが連れてきてくれたんだろう。
最初は一回使って倒れて次は二回使って倒れた。
ってことはだ。
次は四回使える、、、かもしれん、、、、。
よし、また中庭に行こう。
走って中庭に向かっているとリリアンとすれ違う。
「リュウセイ様、お身体は大丈夫なのですか?それより、どちらへ?」
「リリアンさん、また中庭へ」
「まもなくお食事の時間ですよ」
食事時間ってことはさっき倒れてからまた二時間ぐらいだな。
食事時間は気になったが無視して中庭へ向かい着いてすぐ魔法を三回使って四回目を使わず食事に行くことにした。
やっぱり三回は使えた。
四回目使ったら倒れんだろうな。
しかし、さっきまで無かっただるさを感じる。
最初より魔力が増えたからだるさを感じるぐらいの魔力量になったのかな。
食事をとりリリアンを連れてまた中庭へやってきた。
「リュウセイ様、また行うのですか?」
「はい、また倒れると思いますのでよろしくお願いします」
俺の言葉にリリアンはもはや呆れていた。
さてリリアンはほっといて魔法を使おう、、、、3回目をつかったところで俺の意識はまたなくなった。
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「うーん」
目を覚ますとまた俺の部屋
3回目でぶっ倒れたかぁ。
食事で一応魔力は回復したみたいだがもうちょっと使えると思っていたのに。
考えていたのは使った分使える魔力が増えるってことだったけど違ったってことか、、、
いや、待てよ。
まさか、魔力が空になってぶっ倒れたら増えるってことか?
それって瀕死状態から回復したらパワーアップするサ〇ヤ人みたいじゃんか!!・・・まぁ、それは置いといて今は8回使えるってことでいいんだよな、、、。
それならまずは魔法使って倒れまくって魔力上げていくか。
と、また中庭へ行こうとしたが窓の方を見ると外はもう真っ暗。
さっき倒れたのも夕飯食べた後だしあの時でもうっすら暗くなってきてたからそりゃそうか。
それなら部屋でできることをやってみるか、、、。
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「おい、大丈夫か?」
「だっ、大丈夫です」
所長が心配してくるのは当然だ。
昨夜から朝にかけ魔法を使ってはぶっ倒れを繰り返し続けていて寝た気がしない。
だから、疲れた顔をしている俺を所長は心配してきたわけだ。
一先ず50回ぐらいは使っても倒れることはなくなった。
しかし、50回ってどのくらいの魔力なんだろうか??
「それならいいがそれでは授業を始めようか」
「お願いします」