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第十八話・サーユを求めて

前回のあらすじ

精霊王はミルとガイエンの父親だった

「ちょっと、ミルさん」

「どうした?リュウセイ」

「なんで、全力で走ってんですかぁぁぁ」


精霊王の館で女王と別れ、俺たち三人はサジル村になぜか走って向かっていた。


「精霊王の館からサジル村までは一日ぐらいだから走っていけば日が落ちる前に着くだろうさ」


早く行きたいことは行きたいがこんな全力で走って行きたいとは思ってないんだけどな、、、。

そんなこんなでサジル村に着いたのは日が落ち暗くなってからだった。


「ミルさん、どこが日が落ちる前に着くだろうですか」

「ハッハッハ、ごめんごめん」

「もう疲れたんですけどこの村は宿あるんですか?」

「それは大丈夫さ、村の奥に村長の家あるから」


・・・はい?何が大丈夫なの?そこ宿屋じゃないでしょ。

そう言ったミルは村の中にズカズカ入っていき奥の大きな家のドアを叩いた。


「じいちゃん、元気かーい?」

「ちょっとミルさん」

「リュウセイ、姉ちゃんに任せていいから」

「ガイエンさん」


うるさいのぉと言って出てきた背が低い男性の老エルフ。

この人が村長なんだろう。


「なんじゃ、ミルじゃないか。元気じゃったか」

「あぁ、元気だよ。ところでじいちゃん今日泊めてくんない?」


村長に急に無理難題ってやっぱりこの人すごいな。


「久々に来たかと思えば急に何を言っておるんじゃ、、、んっ?人間と一緒とは珍しいな」


ども、って感じで頭をコクッと下げた。


「仕方がないもうこんな時間じゃ中に入るがよい」

「ありがと、失礼しまーす」


フレンドリーすぎるがこれでいいのか?


「あらあら、ミルちゃん、ガイエンちゃんじゃないの」


中に入ると奥からは女性の老エルフ。


「ばあさん、茶と寝床を用意してやってくれ」

「はいはい」


入口を入ってすぐ大きなテーブルがある。ダイニングキッチンといったとこか。

俺たち三人は横に並び出されたお茶をすすった。


「それでなんのようじゃ?頼み事はしてないはずだが」

「今日はあたいというよりこっちなんだ」

「初めまして、アルガスト王国フランローズ領フランフォートで冒険者をしています。リュウセイと言います」


立ち上がり深く頭を下げた。


「ほう、冒険者にしては珍しく礼儀正しいな」

「そうだろう、こいつ面白い奴なんだよ」

「それでリュウセイ殿、わざわざ遠くから何をしにこちらへ」

「今フランフォートで名物となる料理を製作しているのですがこちらで作られているサーユが必要でして安定した供給をするためにできればサーユの作り方を教えていただければと思っています」

「サーユの作り方か、、、」

「はい、村の特産品ということは分かっているのですかどうかよろしくお願いします」


俺はまた頭を下げた。


「リュウセイ殿、頭を上げてくだされ。教えてもいいが正直なところ教えてもこの村、いやこの大陸以外では無理なんじゃよ」

「無理?」

「それは明日の朝教えよう。もう遅い今日は休みなさい」


この日は村長の家で休ませてもらい日が昇り始めた頃、村の奥にある畑へとやってきた。


「これがサーユの原料のサジル豆じゃ」


畑一面に生えていた豆。見た目は完全に大豆だな。

しかし、無理な理由って何なんだ?


「この大陸の土は精霊王様の魔力を帯びている。当然この畑の土も精霊王様の魔力を帯びていてそれがサジル豆の成長に欠かせないものなのじゃ」

「だから、この大陸じゃないと無理だと言ったんですね」

「そうじゃ」

「そんな」

「とは言うもののサジル豆は今。絶滅の危機になっているのじゃがな」

「えっ!?絶滅ですか」

「この畑は今デストレントに汚染されている。この汚染された畑ではサジル豆が育つことはない。今育っているサジル豆が最後の豆になるのじゃよ」


なっ、なんだってぇぇ!!

そんなことになったらラーメンなんか作れなくなるじゃないかぁぁ!!


「長老、どうすれば治るんですかぁぁ?」


俺は長老の両肩をつかみ思いっきり揺らす。


「ゆっ、揺らすんじゃない」

「すっ、すみません」

「さっきも言ったが精霊王様の魔力がこの畑には帯びていたが今はデストレントの邪悪な魔力に汚染されている」


畑の土はどす黒い色をしていた。


「だから、精霊王様の魔力が戻ればまた育つようになるのだがな」


精霊王の魔力が帯びるようになれば、、、、って精霊王の魔力の話をどっかで聞いたような。

そうか、これだ。

俺は精霊王の印を手に取る。


「そっ、それは精霊王様の印ではないか!?」

「そうですけど」

「それを早く言わんか。精霊王様の印ならこの畑も助かるぞ」


やっぱり、そうなんだな。


「その印を握り魔力を込めて汚染されている土に触れることで元の土に戻るはずじゃ」

「わかりました。やってみます」


俺は印を握りしめ魔力を込め土に触れる。

どす黒い色をした土が明るい茶色に変わっていく。


「おぁ」


と長老の顔が明るくなっていく。


「、、、、おぉ?」


土はどんどん明るくなっていく。


「おい、リュウセイ」


うーん、どこまでやればいいんだろうか?


「おい、リュウセイ」

「はい?」

「やりすぎじゃあああああ!!!!!!」

「えぇぇぇ!?ってどこがやりすぎなんですか?」

「これを見てみるんじゃ」


俺は、長老が指したサジル豆を見ると


「なんか大きくなってますね」


さやの大きさが一回りいや、二回り大きくなっている。

本当にどうなっているんだ?


「お主が魔力込めすぎなんじゃ、、、そうは言ってもこんな魔力がお主にあるとは思いもしなかったがな」


んっ?最後小さくて何言ったかわかんなかったが。


「とは言えだ。これでサジル豆も安泰じゃ」

「それは良かったです」

「お礼にサジル豆の栽培方法とサーユの作り方を教えよう」

「ホントですか!?」

「さっきも言った通りサジル豆の栽培には精霊王様の魔力が必要じゃ。この畑を見ればお主が精霊王様の魔力を帯びた畑を作れる。そうなればサジル豆を栽培する環境は作れるわけだからな」

「はい」

「ただし、一つ注意することがある。この地は精霊王様の魔力を元々帯びているからお主が魔力を多く注ぎ込んでも大丈夫じゃが精霊王様の魔力を帯びていない他の地で大量の魔力を注入するとそこを中心に周りの大地の魔力を吸収していき近くに森があるならばその森が枯れていくだろう」

「そっ、それは危険ですね。ところでどれくらいなら、、、」

「そうじゃな、今注入した魔力の半分、いや三分の一ぐらいでいいのではないかと思うぞ」

「三分の一ですか、、、分かりました。ありがとうございます」

「ふむ、後はサーユの作成方法じゃな。それは家に戻って説明しようかの」

「はい」


長老の家に戻りサーユの作成方法を教えてもらいサーユの生産が安定するまでのサーユを大量に買い俺たちはサジル村を後にした。

さて、帰りはというと全速力で港へと向かい港へと着いた頃には空には満天の星が光っていた。


「ミルさん、なんで帰りも全力なんですか?」

「早く帰りたいだろう?あの時間に村を出たなら全力でくれば今日中に来れると思ったからな」

「はぁ、そうですか」


とは言うものの夜が明けないと船が出ないんだけどね。

港町へ入ると酒場へとミルの足は向かいその後をガイエンと俺は付いていく。

酒場へ着き今回の慰労会と称して宴会が始まった。

さて、明日の出航時間に間に合うかな、、、。

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