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第十七話・精霊王

前回のあらすじ

デストレントをぶっ倒した

目覚めてから二日。

俺たちは精霊樹のふもとに建てられている館へとやってきた。

この館の大きさはフランフォート領主と同じ、いや、それよりも小さい?

精霊王ってこの国の王様だよな。

そんな人がこんな館でいいのか?


「ここに精霊王が?お城じゃないんですね」

「そうみたいだな」

「俺たちも初めてここに来たからわからん」


ミルとガイエンも緊張した面持ちだ。

館の前には執事服を着たエルフが立っている。


「エルフ族女王ニルベールナ様、デストレント討伐者リュウセイ様、ミルシィヌ様、ガイエン様、お待ちしておりました。精霊王様の元へご案内いたします」


そう言ったエルフは扉を開ける。

エルフの後に続き館に入り見回してみると、、、普通。

キレイな飾り付けとされているわけではなく質素な内装だ。


「それではこちらでお待ちください」


通された部屋にも装飾品が全く飾られてなく長テーブルが一つ置いてあった。

内装は質素で一国の主がいるところなのかとホント思ってしまう。

イスに座ろうと近づくとガイエンに座ってはだめだと言われ四人横に並ぶ。

こういう場で王を待つときは座って待つのはマナー違反なんだと。

ふむ、王族とのマナーを覚えるのは大変だな。

数分が経ち入ってきたドアとは反対のドアが開きさっきのエルフが入ってきた。


「お待たせしました。精霊王様がお入りになります」


その言葉で三人は片膝をつき頭を下げる。

俺もそれを見て少し遅れ同じ体勢をとる。

コツコツと靴音が近づき俺たちの前に立った。


「四人とも表を上げよ」


力強い声に俺は顔を上げる。

そこに立つ精霊王は年寄りだと勝手に想像していたが屈強な戦士という感じ。

ていうかこの顔って、、、。


「「父上」」


えっ!?父上?

そうかガイエンにどこか似ているんだ。

ミル、ガイエンを見るとその眼にはうっすらと涙が浮かんでいるように見えた。


「ミルシィヌ、ガイエン。大きくなったな」

「「父上」」


ミル、ガイエンが精霊王に抱き着く。

精霊王の姿は子供をあやす親だった。


「父上は亡くなったはず。どういうことですか?」

「そうだな、ミル。詳しい話は座って話そうか」


長テーブルをはさみ精霊王と俺たち4人は向き合うように座った。


「どこから話すかな」


そう切り出し話し始めた精霊王。

簡単に言うと100年前のデストレントとの戦いで精霊王は確かに命を落とした。

しかし、デストレント討伐を頼んだ前精霊王がデストレント封印の褒美として前精霊王の命と引き換えに生き返ったらしい。


「何でそのことを私たちに教えてくれなかったのですか?」


ミルって父親の前では礼儀正しくなるんだな。


「それはすまないことだと思っている。だが、精霊王が顔を見せるのはエルフ族とピクシー族の王と認めた者だけ。いくら血のつながった子だとしても精霊王になればその関係も切ることになる。それがこの精霊王になるための掟だ」

「叔母上は知っていたのですか?」

「あぁ、すまないね。こればかりはこの国の掟だったからね。申し訳なかったね」

「・・・そう言われてしまったら仕方ありませんね。でも、生きていてくれて本当に良かったです」


ミルの目からスーッと涙が流れるのが見えた。

二人ともよかったな、、、ところで何で呼ばれたんだ?


「さて、本題に戻ろう。冒険者リュウセイ、ミルシィヌ、ガイエン。私が倒しきれなかったデストレントの完全討伐、よくやってくれた。今回の褒美として三人に精霊王の印を授ける」

「精霊王の印?・・・それってSランクになるための?」


無言でうなずく精霊王。

おいおい、マジかよ。こんな簡単に認められちゃうの?

いや、デストレントなんて普通に考えたらレイド組んでやるもんだろ、そう考えたら簡単ではないか。


「ちなみにこの印には私の魔力が込められている」

「・・・込められているとどうなるんですか?」

「その印を持ちながら魔力を込めると君の魔力が私の魔力と同等の性質を持つようになる」

「そうなんですねぇ、、、」


そう言われても精霊王の魔力になるからってどうなすればいいんだかわからんのだが・・・まぁ、なんか役に立つんだろうな。


「これで私の要件は終わりだ。リュウセイ、他に何かあるかな?」

「私は大丈夫です。ですが、二人は、、、」


俺はミルとガイエンの方を見る。

せっかく会えたのにこれで終わりならまた会えなくなるだろう。

二人とも話したいことは色々あるはずだし。


「それは、大丈夫だ。二人には今後この館への出入りの自由を許可する」

「「えっ!?」」

「本当ですか?父上」


ミルが勢いよくテーブルに手をつき立ち上がった。


「こらこら、お前の力だったらそんな勢いよくやったらテーブルが壊れるだろ」

「すみません」


小さくなりながら座るミルを見ていると今まで見ていた豪快なミルとは違く面白い。


「精霊王の印を渡したってのもあるがあとは親としてか。精霊王失格ではありそうだがな」


と言って豪快に笑う精霊王。

精霊王に似たんだなミルは。この親にしてこの子ありってことだな。


「話は変わるがリュウセイはデストレントを討伐するためにこの国へ来てくれたわけではないだろう?この国へ来てくれた本当の理由はなんだ?」


勘が鋭いな。それとも何の理由もなしにこの国へ来るわけないと思っているのかな。


「サジル村にあるサーユの作り方をご教授願いたいと思いまして」

「ほう、サーユか。確かサジル村の特産品だな。だが教えを乞いに行くとは言っているが果たして教えてもらえるかどうか」

「それはどういうことですか?」

「行ってみればわかるだろう」

「はぁ」


なんか含みがある言い方だが行くのは変わりない。

しかし、寄り道しすぎたかな。

早くサーユの作り方を覚えて戻らないとな。

精霊王との謁見を終え俺たちは館を後にする。


「よし、このままサジル村行こうか」

「えっ、このまま行くんですか?」

「あぁ、今まであたい達の用事に付き合ってくれたんだ。今度はあたい達がリュウセイの用事に付き合う番だよ」

「ミルさん」

「それにあたい達がいないと無事にサジル村行けないだろ?」

「そうですね。よろしくお願いします。」


こうしてサジル村へと向かう俺たちだった。

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