第十五話・双子の真実
前回のあらすじ
双子のピエロは人間とエルフのハーフエルフだった
日が昇り空はぼんやりと明るくなってきて俺たちは出発した。
また木々が生い茂り日の光が入らず暗い森の中、舗装などされていない根っこがむき出しの道を進む。
昨日野営するまでは襲ってきた魔物を倒したらそのまま置きっぱなしにしていたが俺がアイテムボックスを使えると知ってからは魔物を倒してはアイテムボックスに放り投げるを続けた。
あとでギルドで買い取ってもらおうってことらしい。
そして、これまたどのくらい歩いたかわからないくらいの時間が経ち森が開けたところにエルフの城があった。
しかし、ちょっと急いで今日の夜に着くんじゃなかったか。
そんなに急いだ感じしなかったんだが。
空は日が落ち暗くなっていたがエルフの城は光り輝いていた。
何であんなに光ってんだ?
「エルフの城は光陽樹という枯れるまで光り続けるという大樹を元に城を作ったんだよ」
「へぇ」
そういえば、お城だけで城下町ってのが見当たらないな。
「町は城と一体化してて一階が城下町になっているんだよ」
「へぇ、そうなんですね、、、」
ガイエンさんよ、あんた俺の心の声聞こえるのかい?
と思いながら城門に近づいていく。
城門前に一人立つ門番がこちらに気付き笑顔になり
「ミルシィヌ様とガイエン様、ご無事のお帰りお待ちしておりました」
と言い頭を深々と下げていた。
うーん、様ってどういうことだ?
この二人もしかして高い身分なのか?
それがなんで大道芸人兼冒険者なんかやってんだ?
「そいつは途中で会った助っ人だからこのまま連れてくから」
「はっ!!」
敬礼をしている門番の横を進んでいく。
樹の中に城と街があるので空はないが光陽樹の中も光っていて明るい。
逆に明るすぎて時間の感覚がおかしくなりそうだ。
真っすぐ階段へ向かいそのまま二階へ。
「ミルシィヌ様、ガイエン様。陛下はお部屋でお待ちしております」
二階へ上がったと同時に声をかけてきたのは老エルフ。
見るからに位が高そうな感じ。
そして、
「ビグリオン、やっぱりあれか?」
「はい。あとは陛下からお聞きください」
んっ?ミルの言うあれとは?
ビグリオンと呼ばれた老エルフの後に続いて入った部屋は飾り付けもなく大きな机が一つあるだけの質素な部屋だった。
そこにいたのは金髪で長い髪の美しい女性。
この人がエルフ族の長なんだろうな。
「叔母上、ただいま帰りました」
えっ?ミルさん今叔母って言った?
「二人ともよく無事に帰ってきました」
「叔母上、あたい達を呼び戻したのはデストレントが復活したってことでいいですか?」
「その通りです」
叔母って言ったのに驚いているのに今度はデストレントって何なのよ。
「あの二人の話で気づいたと思うが俺たち二人には王族の血が入っている。あの人はエルフ族の女王ニルベールナ。俺たちの母親は女王の妹だ」
小声でガイエンが俺に教えてくれる。
「それでデストレントって何ですか?」
「デストレントはトレントっていう木の魔物の上位種なんだがその凶暴さに加えそのままにしていると周りの木をデストレントに変えてしまうという凶悪な魔物だ。そして、俺たち父親の仇でもある」
これって間違いなくヤバいことに関わることになっているな。
「これは聞いた話だが100年前に一度デストレントが現れた。討伐隊に参加した父はデストレントをあと一撃というところまで追い詰めた。だが、その時には父や討伐隊にデストレントを倒す力が残っていなかったそうだ」
・・・父親が100年前に討伐に参加ってこの二人いくつよ。
「このままではデストレントが再び増殖してしまう。そこで父が最後の力を振り絞りエルフ族に伝わる封印の魔法を使いデストレントを封印した。俺たちが冒険者になったのはデストレントが復活した時倒せる力をつけるためなんだよ」
父親の仇を討つために強くなるってベタな話だな。
だけど、ホントにこの二人いくつだよ。
しかし、、、
「ガイエンさんってハーフエルフでしたよね?」
「そうだ」
「お母さんが女王陛下の妹って言ってましたが」
「あぁ、父親が人間なのさ」
「へぇ」
父親が人間。
人間なのにエルフ族に伝わる魔法使えるってどういうことだ?
いや、もう考えるの疲れるからやめとこう。
「今デストレントは北西部にて魔術師団によって結界の中に閉じ込め増殖しないようにしています。その周りにはいつ出てきても討伐できるように戦士団を配置してます」
「それじゃあ、あとはあたい達に任せてもらおう」
「ところでミルシィヌ、ガイエンの隣の人間は誰ですか?」
そうね、まだ自己紹介もしてないよね。
そして、そんな睨まないでくれよ女王さま。
「こいつはリュウセイ。期待の新人さ」
「新人?新人冒険者が役に立つのですか?」
女王様の言うこともごもっとです。
普通はそう思いますよね。
「実力は折り紙付きだよ」
「ミルシィヌ、あなたが言うのであればそうなのでしょう。しかし、三人で倒せますか?」
その言葉にミルは二ッと笑う。
「叔母上、何を言ってるのさ。倒すんだよ。今度は復活なんかしないようにね」
その言葉の後ガイエンがコクッと頷く。
「心強いですね。あなたたちにお任せします」
ミルとガイエンは頷き俺もその後頷いた。
「あなたたちに精霊王のご加護を」
女王は胸の前で両手を握り祈った。
「叔母上、今から行くよ」
「休まなくて大丈夫ですか?」
「ホントは休みたいとこだよ。でも、今魔術師団が持ちこたえてくれてるんだ。早く行って休ませてあげないとね」
「そうですね、よろしくお願いします」