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第十三話・双子のピエロ

前回のあらすじ

領主にラーメン作りの協力を取り付けた

「やっぱり、海は広いなぁ」


現在妖精の国アルフェイルへ向かう船の甲板。

フランフォートを出て3日で港町へ船に乗って4日が経とうとしていた。


「それより、暇すぎる」


今乗っている船はこの世界では大型船の部類に入る船なんだろうが俺の世界の豪華客船を知っていると娯楽施設などがなく華やかさが感じられない。

だから、海を見つめることしかない。

それに異世界物としてはこういう時って海の魔物に襲われるってのが定番だと思うんだが全然襲ってくる気配もない。

本当に平和な海だ。

天気もいいしこれは寝るしかないな。

甲板にあるビーチチェアに横になり眠りにつく。

目を覚ました時、日が暮れ辺りが暗くなってきているところだった。

そして、周りが騒がしい。

騒がしかったから目を覚ましたってのもある。

騒がしかった原因は人だかりができていたからだった。


「あの人だかりは何ですか」

「大道芸人が乗っていたみたいですよ」

「へぇ」


大道芸人ってこの4日も乗っていて一度も見たこと無かったがどこに隠れてた?

そんなことを考えつつ人だかりへ向かう。

人だかりの中央ではピエロの格好をした男女二人がナイフでジャグリングをしたり風船を頭に乗せナイフ投げをしたりといった芸をしていた。

さすが異世界、レベルが高すぎる。

芸を見せる二人に歓声が上がる。


「次の演目ですがこの中から大人の方でお手伝いをお願いしたいのですがいらっしゃいますか?」


女ピエロが手を上げながら見回す。

だが手を上げる人はいない。

何をやるのか言っていないしわからないから手は上げにくいよな。

と呑気に見ていると


「それでは、、、そちらのお兄さんお手伝い願いますか?」


と女ピエロが俺を指す。


「えっ!?私?」


マジか、なんで俺指すんだよ。


「こちらへどうぞ~」


女ピエロに誘導され観客の前に出ると風船のついた棒を両手に持たされ


「えっと、、、これは?」

「最後にこれを咥えてください」


と口に両手に持っている棒と同じものを突っ込んでくる。

いやぁな予感がするんだけど、、、。


「皆さま、これから最後の演目となります。こちらのお兄さんが両手に持っている風船と口に咥えている3つの風船目掛けてナイフを投げて割ります」


やっぱりそう来たか。

しかし、男ピエロに正面に向かって立っているってことはナイフが外れたら当たるよな。


「絶対動かないでくださいね」


女ピエロが小声で言ってきたのが恐怖を倍増させるのだが。


「それでは、お願いします」


男ピエロは右手にナイフを3本持ち胸のあたりに構えている。

うーん、片手で一気に投げるわけじゃないよね、、、いや、投げるか。

不安でしかない。

男ピエロは右手を振りかぶりナイフを投げる。

三方向にある風船に向かうナイフ。

パンパンパンと風船が割れナイフは棒に刺さった。

その瞬間、観客の歓声が上がった。


「それではこれにて終了です。ご観覧ありがとうございましたぁ」


大歓声の中ピエロたちの大道芸は終了し観客は散っていった。


「お兄さん、手伝いありがとねぇ」

「もう恐怖でしかなかったんですが」

「アッハッハ、ごめんねぇ。でも、あんた冒険者でしょ?」

「なんでわかるんですか?」

「そんなに魔力を垂れ流しみたいに出してたら高ランク冒険者なら感じることができるさ」


高ランク冒険者なら魔力を感知することができるのか、、、って俺の魔力駄々洩れなの?抑える方法なんて知らないけど、、、っていうか。


「あなたも冒険者なんですか?」

「そうだよ。あたいたちは大道芸をしながら旅してる冒険者のミルシィヌ。ミルって呼んで。あっちが双子の弟のガイエン」

「よろしく」


と男ピエロ・ガイエンは右手を上げる。


「職業は、旅芸人ってとこかな」

「私は、普段はフランフォートを拠点にしている魔闘士のリュウセイと言います」

「んっ。フランフォート、魔闘士、リュウセイ、、、、、あぁ、あんたが噂の」

「噂の?」


噂ってどういうことだ?


「あぁ、新しい職業が誕生したってちょうどあたい達がギルドにいた時にギルドが騒いでいたからね」

「へぇ、そうなんですね」


ギルドで騒ぐことなのかよ。

それじゃ全世界のギルドで騒いでるってことか?

それにもう俺のこと知られてるってことじゃないか。


「それにオークの棲家を潰したんでしょ。Fランクの初心者がいきなりオークをやっちまうんだ気になるに決まってるでしょ」


おう、そこまで知ってんのかい。

もう俺の安息の地はないのか?


「えっと、それって新人つぶし的な?」

「アッハッハッ、面白いこと言うねぇ。そんなのはランクを上げられず腐っていった奴らがやることさ」

「高ランク冒険者なら新人のことなんか気にしたことない。まぁ、君みたいな新人の情報が入ったなら別だが」

「高ランクって、お二人のランクは?」

「Aランクだよ」


まさかこんなところでAランク冒険者に会うとは。


「ところでリュウセイ。このあと時間あるかい?」

「はい、大丈夫ですが」

「これから食堂行くんだけど一緒にどうだい?」

「いいんですか?お願いします」

「よし、そんじゃあたいたちは着替えてくるから30分後に食堂集合で」

「はい、わかりました」


双子のピエロは船内へと向かっていき俺は、時間まで甲板で過ごすことにした。

_____________________________


30分が経ち食堂へとやってきたが双子の姿が見えない。

まぁ、あの二人の素顔見てないからわからんが。


「悪い、待たせたかい?」

「あっ、大丈夫です、、、」


俺が振り向いた時そこにいたのは上はビキニ、下はショートパンツ姿の美女。

そのビキニでどうやって支えているのだろうと思うほどの立派な胸。

そして、誰?

っていうかその姿、公然わいせつにならんのか?


「えっと、、、」

「あたいだよ」

「あっ、ミルさん」


ピエロ姿から変わりすぎだろ。

ましてやなんて素晴らしいものを隠していたのやら。


「待たせた」


ガイエンもその後ろからやってくる。

席に着き


「エール3つ」


と注文をするとすぐジョッキに入ったビールが届く。

この世界でもビールは作られてたんだなと思いながら三人で乾杯をした。


「かぁ、仕事の後の一杯は美味いねぇ」


ジョッキに入った酒を一気飲みしたミルはただのおっさんにしか見えん。


「お兄さん、もう一杯」


うーん、酒場ではないはずなのだが酒場のノリだな。


「すまんな、姉ちゃんがこんな調子で」


こんな姉だから弟の方がしっかりするのだろうな。

運ばれた料理を食べながら色々な話をしていく。


「ところで、リュウセイ」

「何ですか?」

「あんた、アルフェイルに行って何するつもりなんだい」


フランフォートを拠点にしているFランクが妖精の国に向かう船に乗るなんて普通はありえないか。


「サジル村にある調味料、サーユの作り方を教えてもらうためにこの船に乗ってます」

「はぁ?」


キョトンとした顔をする二人。


「えっと、何でそんなことするのか聞いてもいいかい?」

「今フランフォートで新しい料理を開発してるんですけどそれにサーユがどうしても必要なんです」

「それは何かのクエストで?」

「そうですね、クエストと言えばクエストですがほとんど私がやりたいがために色々進めた勢いに周りの人が巻き込まれた感じです」


キョトンとしていた顔からミルは腹を抱えて笑い出した。


「なんかおかしなこと言いましたか?」

「いやいや、ごめんごめん。あんまお金にならなそうなことを自分がやりたいから進めるってそんな冒険者聞いたこともないから笑ってしまったよ」


とんこつラーメンを食べたいがためとは言えないが。

ミルは二杯目のビールを飲み干しジョッキを勢いよくテーブルに置く。


「よし」


何が「よし」なんだ?


「リュウセイ、お前に付いて行こう」

「はい?」

「ちょっと、姉ちゃん。何言ってんだよ。いいのかホントに?」

「いいんだよ、あたいが気に入った」

「しかし、、、」


なんか姉弟げんかが始まってしまったのだが。


「いいから行くんだよ」

「はぁ、もうこうなったら姉ちゃん言うこと聞かないんだから」


ミルの勝ちみたいだな。


「ところでお二人はどこへ行く予定だったんですか?」

「エルフの城だよ」

「エルフ!?」


二人に付いて行けばエルフに会えちゃうのか。

でも早くサーユの作り方聞きたいしな。


「エルフ、見たことないのかい?」

「はい」

「エルフなんか港に着けば嫌になるくらい会えるよ」


そうなのか普通に会えるのか楽しみだ。


「エルフの城はサジル村の途中なんだ。よって行かないか?」

「はい、よろしくお願いします」


Aランク冒険者との旅も何か学べるところがあるかもしれない。

だが、一つ心配なのはこのチート能力があるってことで学ぶことがあるのかってところなんだよな、、、。

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