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約束果たせず

 百合の間に挟まろうとする男を殺すマンな俺としては、これ以上は百合鴎とツインテ少女の仲を邪魔をするつもりはない。

 俺としては。だ。


 「あら野間くん、おはよう」


 翌日。

 生徒会業務のため朝早くから通学している最中、俺は百合鴎と出会った。


 「あ、ああ……おはよう」


 横からふいうちぎみに話しかけられてしまし、つい挨拶を交わしてしまう。

 昨日忠告を受けたばっかでさっそく百合鴎と親しげにしてしまった。

 まあ挨拶くらいならいいだろう……そんな俺の考えは甘かった。 

 ふいにプレッシャーを感じた。

 プレッシャーの先は俺たちの目的地である学園から。

 100mほど先の校門から俺たちを睨む2つの目が……ツインテ少女が門に隠れて(おそらく向こうはバレてないと思ってる)こちらをガン見して圧をかけていた。

 ああ、見てる。俺が百合鴎と親しげにしてないかどうか見てやがる。

 このままでは約束を反故してしまう。すでに反故してるだろうが今からならまだ間に合う。

 あいさつするだけしてこのまま1人我関せず学園に向かおうとするが、俺の心を知ってか否か先手を打たれる。

 

 「奇遇ね、こんなところで出会うなんて」

 「そうだな奇遇だな」


 話しかけられてしまったとなっては応じるしかなかった。

 奇遇もなにも校門に通じる道はここしかない。通学するなら避けては通れぬ道だ。


 「しかも朝早くだなんて。私はこれからテニス部の朝練があるのだけど、野間くんは?」

 「……生徒会の仕事がな」

 「大変なのね、全生徒のためにごくろうさまね」

 「…………労ってもらえてありがたい」

 「あら?考え事でもあるかしら?よかったら相談にのるわ」

 「できれば相談にのらないでくれれば助かる」


 お前のせいで困ってる、なんて本人を目の前にして言えるわけがない。

 このまま俺はズルズルと会話を続け、百合鴎とともに通学するのであった。




 昼休み。

 昼休みが始まってしばらくすると俺に対するプレッシャーを感じたので、おびき出されるようにプレッシャー元を辿っていくとそこには仁王立ちしているツインテ少女がいた。


 「よく逃げずにきましたね、その勇気は賞賛にあたいします」


 ふんぞり返りながら偉そうにいう少女。

 プレッシャーを感じれる俺もだが、自由自在にプレッシャーを放てる彼女も賞賛にあたいするだろう。おびき出されるというより、ここまで誘導されたようなもんだし。


 「ガン見されながら飯を食えるほどキモはすわってないからな。どうせ食べるならゆっくりしたい」

 「食事くらい自由にしてもらってかまいませんが、これ以上先輩に近づかないって約束しましたよね?」

 「ああしたな」

 「どこをどう約束を守ってたんですか?」

 「むこうから話しかけてきたんだ、見てたんだからわかるだろ?どうしろと」

 「あなたには先輩とこれ以上仲良くしない努力義務があるんです、他人に頼らずあなたのほうで考えてください」

 「思考を放棄してるのは君のほうだと思うよ」


 なぜ俺は名もしらぬ少女からこうして無理難題をふっかけられて一方的に叱られないといけないのだろう。

 あれか、百合鴎とこの子に関わってしまった罰だろうか?触らぬ百合にたたりなし、と。


 「まったく、せっかく校門で待ち伏せして偶然を装うとしたのに、あなたのせいで計画がおじゃんですよ」

 「ガバガバな計画を立ててるごようすで」

 「朝早くから1時間も待ってたのに」

 「君はバカなのかね?」

 「はい?よく聞こえませんでしたが、なんか私を罵倒しました?」

 「いいえ、なにも言ってございません……わかったよ、百合鴎と極力仲良くしないように努力する」

 「偉そうに言わないでください。社会人なら約束をしたこと守るのはとうぜんのことです」

 「まだ学生なんだが」

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