第98話 レーヴェリオン戦③
「グルルォオオオオオオオオオ!」
レーヴェリオンはたまらず落下していき、Jたちのいる王の間へと墜落した。レーヴェリオンはのそっと起き上がりJたちに向けて咆哮する。シェロは背中から飛び降り、Jたちと合流する。
『隙を見て攻撃しろ!』
Jはシェロから憑依を戻し、ハンマーを担ぎ構え、レーヴェリオンにターゲットを合わせる。レーヴェリオンは地上に降りても火球を吐いてJたちを牽制する。Jは火球に向かって前転ローリングの無敵時間を利用し突っ込む。他のパーティメンバーたちは左右に回避しながらターゲットに近づいていく。
「氷の山よ我が前に現れよ!シルトイスベルク!」
ウィレナはレーヴェリオンに近づき、氷山魔法を繰り出す。樹上世界でのシンミャ戦で盾として使ったこの魔法だが、此度はレーヴェリオンの胸部を突き上げる。Jとシェロはその氷山を駆け上がり、Jは頭部にハンマーの棘を、シェロは足にナイフを突き立て切り刻む。
「雷よ。我が体に宿りて放射せよ。ケラヴノス!」
ロージナは翼にウィップロープの先端についているドラゴンクロウをレーヴェリオンの翼に食いつかせ、通電魔法を行う。レーヴェリオンは痺れて氷山にうずくまり、魔法の効果が切れて氷山がなくなった。レーヴェリオンが通電して動けなくなっている隙にウィレナも攻撃に加わる。が、それも長くは続かなかった。
「グルルルルルルォオオオオオオオオオオオンッ!」
レーヴェリオンはけたたましい咆哮を行い、その音波の衝撃でJたちは吹き飛ばされた。Jたちが体勢を整えようと立ち上がると、レーヴェリオンは翼で飛翔しJ達に向かって滑空を行う。Jはこれを前転ローリングで躱すが、残りのメンバーがダメージを負ってしまった。そしてウィレナの体力ゲージが0になり、その場に倒れ込む。
――ウィレナ死んじゃった?
――いや、気絶しているだけだ。その場で放置しても回復し続けるが、ドールハウスに入れれば回復スピードが上がる。
Jはレーヴェリオンの隙を見てウィレナに駆け寄り、その体を担ぎ上げ、カルトゥムのドールハウスへ入れる。Jがドールハウスの扉をつまみ開けるとウィレナの体が光の粒子となってドールハウスに入っていく。そしてドールハウスから光の粒子が出てきてマウガンの姿が形作られた。マウガンの体力ゲージは入室時より20パーセントほど回復していた。『回避に専念しろ!』
レーヴェリオンは翼を羽ばたかせホバリングを行う。その風圧でJたちは吹き飛ばされ、
体勢を崩す。そこにレーヴェリオンは火球を放ってきた。Jたちはローリングを行い何とか回避する。が、回避した先にはホバリングによる風圧で火球の方向へ吹き飛ばされてしまう。Jは命からがら、火球をバク転で回避し続けた。やがてホバリングがやみレーヴェリオンは着地するとJは一気にレーヴェリオンに近づき、レーヴェリオンを中心に反時計回りに回り始め、レーヴェリオンの背後に回り込んだ。レーヴェリオンのしっぽの大蛇がJに向かって噛みつき攻撃を仕掛けてくるが、Jはこれをサイドステップで流麗に躱してハンマーでレーヴェリオンの臀部を攻撃し続けた。マウガン、ロージナ、シェロはそれぞれ右わき腹、左わき腹、正面を攻撃している。
――股下や背後に隙があるから、そこを重点的にしばき続ける。
――背後をとってもしっぽで攻撃されるのが厄介ね
レーヴェリオンは体を回転させ、その刀剣のような鋭い爪で切り裂き攻撃を仕掛ける。が、Jは攻撃が来た方向とは反対側に回り込むため、その攻撃は空を切るばかりだった。レーヴェリオンはバックステップを行い、Jたちに向かって突進攻撃を仕掛ける。Jはこの突進攻撃をローリングで躱すが、無敵時間を経過した後の突進と羽ばたきの風圧で吹き飛ばされてしまう。Jはその攻撃を読み、瓦礫の反対側に吹き飛ばされるように計算して吹き飛ばされた。レーヴェリオンは吹き飛んだJに向かってふたたびの突進攻撃を行うが、瓦礫に直撃するだけでJには攻撃は届かない。瓦礫に突撃したレーヴェリオンは頭部を強打した影響でふらついてしまう。J達はその隙に攻撃を畳みかけた。
「グガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
レーヴェリオンの体力ゲージが半分を切った時、傷ついたレーヴェリオンは玉座に手を伸ばした。そこにあるヴォルクルプスの首が宙に浮き、レーヴェリオンへと飛んでいく。そして空いた手で自身の胸部に手を突っ込んだ。そして心臓を引き抜くと心臓の代わりと言うようにヴォルクルプスの首を心臓にあてがった。
「Jさま!レーヴェリオンはお父様の首を魔力源に力を活性化させています!お気をつけて!」
ヴォルクルプスの首から血管のようなものが這い出てレーヴェリオンの体を伝播する。その管は鼓動を打つかのようにドクンドクンと脈打ち中を青白い光が全身に運ばれていく。レーヴェリオンの体が青白く発光され、まるでウィレナの魔法のような、体そのものに魔力がエンチャントされたような姿だった。レーヴェリオンに取り込まれたヴォルクルプスの首がJ達に向かって話しかける。
「Jよ。ウィレナよ。我ごとレーヴェリオンを討て。」
ウィレナがドールハウスから出てくる。まだ傷は癒えていないようだ。
「お父様、よろしいのですか!?」
「よい、この出来の悪い弟は我が責任をもって連れて行こう。」
「お父様……お父様のお覚悟承知致しましたわ!お姉さま!レーヴェリオンの弱点はお父様の首です!そこに魔力が集中しているようですわ!」
「グォオオオオオオオオオオオオンッ‼」
レーヴェリオンは咆哮を上げ頭部を地面に向け、口から青白い炎のような魔力の塊を吹き出し、Jたちに襲い掛かった。ウィレナはドールハウスの中に戻る。
――不死殺しの刃をヴォルクルプスに刺すかレーヴェリオンに刺すかでとエンディングが分岐する。
――トゥルールートはどっち?
――ヴォルクルプス。
――じゃあそっちに刺しなさい。
――ちょっと長くなるから嫌なんだけどな。
――刺しなさい。
――……はい。
Jたちの周囲が魔力の青白い炎によって取り囲まれる。
――ここからは時間との勝負だ。炎のスリップダメージが入る。
J達の体力ゲージがわずかずつだが減少していく。
「この炎、なかなか厄介そうだね……!」
シェロは纏わりつく炎を振り払うような素振りを見せる。レーヴェリオンは鬣を逆立てそれをガトリング弾のようにJに飛ばしてくる。Jはそれを歩いて躱していく。自機狙いの弾は偏差射撃をしてこない限りこのように躱せるとJは説明していた。そしてJは鬣ガトリングを躱してレーヴェリオンに近づく。レーヴェリオンは浮遊して火球を撃とうとする。Jはその行動を読んで、ホバリングするレーヴェリオンの真下についた。
――ホバリングは真下部分だけ吹き飛ばされない仕様になってる。
レーヴェリオンはマウガン達に向かって火球を放つ。マウガン達はそれを回避して攻撃の隙を伺うが、Jはレーヴェリオンの後ろ脚に向かってハンマーをひたすら連打していた。ホバリングが終わり、Jの頭上からレーヴェリオンが落下してくる。Jはそれをバックステップで躱し、レーヴェリオンの顎下をゴルフスイングの如くハンマーでかち上げた。レーヴェリオンの胸部のヴォルクルプスの頭部が埋め込まれた箇所が露出する。Jはそこにパイルバンカーをあてがい、射出した。
「グルギャァアアアアアアア!」
レーヴェリオンは断末魔のような叫びをあげ横になって倒れ込む。Jたちはアタックチャンスとばかりにレーヴェリオンの頭部へラッシュをかける。ほんの数秒のダウンだったが、レーヴェリオンの体力ゲージを大きく削るのには十分だった。その後、レーヴェリオンはガバッと立ち上がり、Jに向かって状態を起こした鍵爪による切り裂き攻撃を仕掛ける。
――その攻撃を待っていた。
Jは前方ステップでレーヴェリオンに近づき、露わになった弱点部位を再びパイルバンカーで打ち抜く。レーヴェリオンは斬りさき攻撃をキャンセルし、バックステップで距離を取る。が、Jはさらに前方ステップを繰り返しレーヴェリオンに近づき距離を取らせない。
レーヴェリオンはしっぽの蛇を触手のように伸ばしJに大蛇の牙をお見舞いする。Jはその攻撃をしっぽが来た本体の反対方向へ、レーヴェリオンの胴体の下をローリングで潜り抜け回避する。そして立ち上がると同時にハンマーを振り上げ胸部についているヴォルクルプスのコアを打ち上げた。レーヴェリオンの体力ゲージはあとわずかだ。
『一気に終わらせる!』
コアを打ち抜かれてダウンしたレーヴェリオンにJたちは怒涛の猛攻を仕掛ける。Jは頭部を連撃し、マウガンは巨大剣で胴体を滅多切りに、ロージナはドラゴンクロウで翼を引き裂き、シェロはナイフで胸部を突き刺した。数秒後、レーヴェリオンは起き上がり、Jたちにかみつき攻撃を仕掛け金剛のような歯牙がガキガキと音を鳴らしながらJたちに迫る。
Jはこれを正面からハンマーの横薙ぎで顎を打ち抜き、レーヴェリオンの脳を揺らす。そして再びのダウン。仰向けで露わになったヴォルクルプスの首にパイルバンカーをあてがう。
――『これで終わりだ。』
Jは右手首を捻りパイルバンカーのトリガーを引く。仕込まれたバネと火薬が爆裂し、撃鉄が鉄杭の尻を穿ち、終末の一撃をその眉間に炸裂する。
「ギャガァアアアアアアアアアアアアア‼」
「ぬうううううん!」
レーヴェリオンの体力ゲージが0になると同時に、レーヴェリオンはその場に横向きにうずくまる。Jは背中に背負った不死殺しの刃を逆手に持ち、近づいていく。ウィレナ、タラサがドールハウスから出てきてJたちに合流した。シスネから通信が入る。
「レーヴェリオンは不死と化しました。弱ったその体に不死殺しの刃を突き立てれば。魂まで滅却することが出来ましょう。」
Jがレーヴェリオンの眉間に不死殺し刃を突き立てようとすると、ヴォルクルプスが制止する。




