第97話 レーヴェリオン戦②
「ヌゥウウウンッ!」
レーヴェリオンは咆哮とともに再び素早く剣を振り上げ、振り上げると同時に光線の斬撃を放った。Jは再び前転ローリングで近づきながら回避し、タラサは今度は横に回避し、ウィレナはレーヴェリオンに近づき、マウガンは再びガードを行う。続いて連撃の如くレーヴェリオンは斬り下ろし、斬り上げを行い、その都度J達は回避やガードを行い、J、ウィレナ、タラサは近づいていく。そしてレーヴェリオンに近づいたJはパーティメンバーに号令をかける。
『ウィレナ、タラサ、攻撃をよけて隙を見て攻撃しろ!』
レーヴェリオンはJ達が近づいてくると上下の縦斬りをやめ、横なぎの攻撃を仕掛けてきた。
――大きな団扇仰いでるみたいね。
――攻撃もほぼほぼ真空波だしな。
Jは団扇を仰ぐような横なぎの往復攻撃を躱し、躱したらハンマーで小突いてレーヴェリオンの体力ゲージを削っていく。ウィレナとタラサは前後にローリングやステップを行い真空波を躱していく。そしてレーヴェリオンの斬り終わりの隙に細剣と爆砕弾で攻撃を入れていく。
「フハハハハハッ!よいぞ!この血の高ぶり!久しく忘れていたわ!」
レーヴェリオンの体力ゲージが半分を切り、レーヴェリオンの動きが高速化した。レーヴェリオンは回転斬りを行い、Jたちを吹き飛ばそうとする。マウガンは近づき、タラサとウィレナはバックステップを行い距離を取る。Jは前転ローリングで攻撃をすり抜けた。
Jはタラサをドールハウスに入れ、ロージナを呼び出す。レーヴェリオンは天井に向けて剣を掲げる。すると、その剣が天井の黒雲から雷を呼び寄せるかのように避雷針となり、雷がその剣に落雷する。剣は帯電され、小さな電流が周囲にバチバチと放電が発生する。
「ライオ・アルマ・クレスト。」
レーヴェリオンは大剣を顔の横で手を交差させ、剣先をJ達に向ける霞の構えをして、その構えからJたちに向け連続突きで空を切り裂いた。その切っ先からは雷がレールガンのように射出され、空間をゆがませる。Jはそれを側転ローリングで回避し、バックステップでレーヴェリオンから距離を取る。レーヴェリオンはそれを見逃さず、Jに向かって霞の構えからの乱れ突きをお見舞いする。Jはそれを側転ローリングで反時計回りに回避し続ける。
――防戦一方ね。
――下手に攻撃に移ると黒焦げになるならな。
ウィレナ、マウガン、ロージナはJの回避によるレールガンの巻き添えになりライフを減らしていく。そして最後の一撃と言わんばかりにレーヴェリオンは体内に電力を溜めていく。
『今だ!総攻撃!』
Jはパーティメンバーに号令をかけ、レーヴェリオンに総攻撃を仕掛ける。レーヴェリオンは攻撃を喰らいながらも、体にバチバチと帯電させていく。そして数秒の攻撃が行われると、Jはふたたび号令をかける。
『ウィレナ!マウガン!回避に専念しろ!ロージナ!避雷針になれ!』
「了解!耐えてみせるよ!」
ロージナはウィップロープをレーヴェリオンに巻き付ける。レーヴェリオンは溜めた電力を解放するかの如く、地面に大剣を突き刺し、地面に蜘蛛の巣状に雷を展開させた。Jはロージナの背後に回り込み、ロージナに憑依した。ロージナ(J)は体に受けた雷をウィップロープをアースにしてレーヴェリオンへ返す。レーヴェリオンは自身の雷を受け、痺れている。
『行くぞ!一斉攻撃だ!』
雷を躱したウィレナ、マウガンとともにレーヴェリオンへ最後のラッシュと言わんばかりに総攻撃を行う。ロージナは通電の影響で膝をついて立てなくなっていた。
「レーヴェリオン王、いえ、お父様。この技はお父様からお教えいただいた魔法です。」
ウィレナは詠唱を始める。その魔法は、Jが初めて見た魔法でもあり、ウィレナが覚えた最初の魔法だった。
「ヴォラルネイル!」
光の刃がレーヴェリオンを突き立てる。ウィレナはその刃がぶれているように見えたが、それは瞳に浮かべた涙のせいだった。
「グァアアアアアアアアアアアアアアッ!」
レーヴェリオンが膝をつく。ウィレナはレーヴェリオンに近づき、話しかけた。
「レーヴェリオン王、私たちの勝利です。これ以上の戦闘はお父様の命に関わります。私たちは命まで奪うつもりはありませんわ。」
「ハァ……ハァ……余が負けたというのか……?暴力の限りを尽くした余が……」
「我が弟よ、貴様は道を違えたのだ。暴力は何も生み出すことはない。それに気づかなかったことが貴様の敗因だ。」
「フハハハハハハ!余が敗者だと!面白いことを抜かしおる!」
「敗北を認めてください。レーヴェリオン王。私たちは一人一人はあなたの言う弱者です。一人ではあなたに勝つことは出来なかったでしょう。」
――ちなみに一人プレイのレギュレーションもあって勝てると言えば勝てる。
――いいシーンなのに台無し。
「ですが、弱者どうし、力を合わせればあなたのような強者にも勝てる。それが平和なのです。弱者も強者も存在しない。世の中は力の均衡が保たれるように出来ているのです。」
「余はまだ負けておらぬ……!魔王としての我の力……!受けてみるがいい!」
突如、レーヴェリオンは叫びだし、ウィレナはレーヴェリオンを制止する。
「レーヴェリオン王!?一体何を……!」
「グルルルルルルァアアアアアアアアアアアアアッ!」
レーヴェリオン王の姿が異形の魔物へと姿を変える。背中からは6枚蝙蝠の翼を生やし、ライオンのような肢体と頭部に四肢の尖端はトカゲのような鱗が生え、しっぽは蛇。爪が刀のように伸び体全体が巨大化した、まるで……。
「キマイラ……!」
ウィレナは驚愕する。その姿はまさにモンスターの王にふさわしい出で立ちだった。そして胸部にはヴォルクルプスの首が埋め込まれている。
「なんとおぞましい……!」
「余が敗北するなどあり得ぬ……!この血の巡りが止まるまで、余は戦い続ける……!」
「何度だって打ち倒してみせるわ!レーヴェリオン!」
「行くぞ!小童ども!我が覇道の礎となれ!」
レーヴェリオンは6枚の翼を交互に羽ばたかせ、一気に飛翔していく。その勢いはすさまじく、風圧でJたちは吹き飛ばされてしまった。そして天井を突き破り、魔王城の外へと飛んでいく。天井が崩れ去りその風圧で瓦礫が吹き飛ばされ天井が吹き抜けになる。そしてレーヴェリオンは魔王城を飛び出し、魔王城の周囲を周回し始めた。Jはマウガンをドールハウスに入れ、シェロを呼び出す。レーヴェリオンは魔王城の外側から窓ガラス越しに体液を燃焼させた火球を口から吐き出した。火球は魔王城の壁を破壊し、Jたちに襲い掛かる。
「これは無茶苦茶だね……!」
Jたちはこれを避ける。レーヴェリオンは魔王城を中心に旋回し、火球を連続で放っていく。Jたちはこれを避け続けるしかない。
――これジリ貧ってやつじゃない?
――大丈夫。壁が全部崩れたら行動が変わる。
魔王城の壁が火球により木っ端みじんとなり壁の外側の通路と、そこに設置されたバリスタが姿を現した。崩れた瓦礫の一部はスゥーっと消えていった。
――なるほど。
Jたちはバリスタに駆け寄り、レーヴェリオンを狙撃する。Jはレーヴェリオンの進行方向の空間に照準を合わせ、バリスタを発射する。Jがバリスタを発射すると同時に、レーヴェリオンがJに向かって火球を放つ。バリスタの矢と火球が交差し、バリスタの矢がレーヴェリオンの胴体に命中する。Jは飛んできた火球をバックステップで躱し、火球がバリスタに命中する。バリスタは少し焦げただけで破壊はされないようだった。
――バリスタが壊れたらマジで手も足も出なくなるからな。
レーヴェリオンは勢いよくJ達に向かって滑空からの急降下を行い、勢いよくJ達にタックルを行う。Jはシェロに憑依し、シェロはこれをローリングで側転ローリングで回避する。Jも同様に回避した。シェロは回避したと同時に、レーヴェリオンの腹の毛にしがみ付く。そしてレーヴェリオンとともにシェロは飛翔していった。シェロは空中で腹の毛から背中にしがみ付き、レーヴェリオンの背中にまたがった。そして羽の付け根にナイフをザクザクと突き立てる。シェロの体に返り血が纏わりつく。




