第91話 シェロの試練
シェロは壁に耳を付けコンコンと叩く。
「ふむ……どうやら構造的に迷路になっているようだね。それも、上下左右、縦横無尽に道が走っている。そして……」
シェロは目の前にあるレバーを引く。すると、どこかでがちゃんと扉が開いた音が聞こえてきて、同時に、自分の周囲にカチカチと音が響いている。
「この音が鳴り終わる前に次の扉をさがせばいいわけか。」
――試しの間の攻略はシェロが一番楽。
――迷路はルート知ってれば攻略できそうだものね。
シェロは迷いなく右に進み穴を下りる。2メートルほど降りた先は3本道に分かれており、左に進む。左に進むと正面上の天井側にも通路が続いており、水平と垂直の二股に通路が分かれている。シェロは垂直の壁の凹凸を掴んで登り上への道を進む。その先は三叉路となっており、左へ進む。すると直進と下降の2種類の道に分かれており、下降して、その後右へ進むと、鉄格子のかかっていない開いた扉に到達した。
シェロがマネキンのある部屋へ入ると、シェロに対してスポットライトが当たり、影が蠢きマネキンに絡みついてシャドウシェロとなってシェロに襲い掛かる。
「全身真っ黒とは、ずいぶん不格好な僕の姿だ。」
シェロはパンツ一丁のまま相手の姿を不格好だと罵る。
――ツッコミ待ちかしら?
――シェロはイケメン枠なのになぁ……
シェロは強化アサルトナイフを抜刀し、右手の逆手に構える。シャドウシェロはいきなり3体に分身し、素早い動きでシェロに襲い掛かる。シェロはその攻撃を逆手に構えたアサルトナイフでいなしていく。そしてタイミングを見計らい前方ステップで自ら距離を縮め、一体のナイフ攻撃をナイフで受け、もう1体の攻撃を背を逸らして躱し、最後の一体を手首をかち合わせて自分にナイフが届かないように攻撃を弾く。
シェロはナイフで受けた攻撃を、敵のナイフの背で流し、切り上げて敵の首を切り落とす。
そしてすぐにバックステップで距離を取り、体勢を整える。首を落とされたシャドウシェロはその場で膝から崩れ落ち、霧となって霧散した。シャドウシェロの頭上にあるライフゲージが3分の1ほど減少した。
――
シャドウシェロの2体は、シェロに向かって影の投げナイフを投げつける。シェロはその影の柄を掴んで投げてきたシャドウシェロへ投げ返す。シャドウシェロの片方にカウンターのナイフを集中させる。
――タラサの弾幕避けとは違ってこっちは相手の攻撃をそのまま返すっていうアクションだからちょっと面倒。
シェロは次々と飛んでくる投げナイフを掴んでは投げ返す。下半身に飛んできたのはステップで躱し、上半身に飛んできたものだけを柄を掴んで投げ返していく。投げ返す矛先は一体に集中して攻撃を行い、各個撃破を狙う。
投げナイフの応酬の末、一体のシャドウシェロが剣山に突き刺さったように大量のナイフでその身を刻まれ、黒い霧となって霧散した。
残りのシャドウシェロは腰を深く落とすと、その場から消えた。消えたと思った次の瞬間、シェロの後ろにジャンプしてナイフをシェロの頭部に突き立てる。シェロはそれを体を回転させて攻撃を見ずに躱し、ナイフでシャドウシェロの頭部を切り落とそうと刈り掃う。ズンッ……っとシャドウシェロの首にナイフが滑り込み、シェロはナイフを引き切る。そしてシェロがナイフを鞘にパチンッと納めた瞬間、ボトッ……とシャドウシェロの首が落ちた。
「誰にも僕たちの邪魔はさせないよ。」
シェロは首の落ちたマネキンを一瞥し、部屋の外へ出ていく。部屋の外にはワープホールがいつの間にか設置されており、そのワープホールに入ると迷路の入り口までワープした。
――これは時間内に迷路をクリアできなかった場合、どこからか現れるワープホールだ。――どこから?
――どこからか。
シェロはJ達のいる大回廊に帰ってきた。
シェロはJに近づき手を肩の上にあげハイタッチする。
「シェロお帰りなさい。」
「あとは私とJだけだね。次私が行こうかな。」
「気を付けてね。ロージナ。」




