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第86話 VSケルベロス

「J様!魔力源を破壊したのですね。こちらでも観測できました!残るは後一つですが、巨大な岩が邪魔をしていたところを破壊する準備が整いました。そちらまでお戻りになってください。」

Jはパーティメンバーをドールハウスに入れ、もと来た道を引き返す。スルトと戦った円状の広場を後にし、薄暗い洞窟を登っていく。ジグザグに道を登っていく最中、ギャォオオオッとヘルカイトの鳴き声が聞こえる。どうやらヘルカイトが起きたようだ。Jは王城前の城に到達すると、ヘルカイトの視界に入らないように岩の影に隠れながら反対側の通路を目指す。

――ヘルカイトの視界に入ると火を噴かれて継続ダメージを喰らってしまう。それにバリアのせいで今は戦うのは無理だ。もう一つの魔力源を破壊しないとな。

――戦うのが面倒なときは隠れるのが基本なのね。今更だけど。

ヘルカイトに見つからないように岩陰に隠れながら反対側の通路を目指す。すると、目の前に巨大な岩が通路を塞いでいた。その岩の前に着くとシスネから通信が入る。

「J様、これより大岩の撤去を行いますわ。危ないですので、少し離れていてくださいまし。」

Jはシスネの指示通りにその場を離れる。

 Jが大岩から離れた次の瞬間、大岩の頭上からドリルのような物体が地面を貫通して落下していき、一瞬のうちに大岩を粉砕した。タラサがドールハウスから出てきて目を輝かせる。

「すごーい!これ私のロケットの先端につけたいー!」

「タラサ様、後で技術提供致しましょうか?」

「え!?ほんとにいいの?やったー!」

「J様、樹上世界より地下世界まで魔法装置により物資を送ることが可能となりました。補給の際は私に連絡をくれれば、所定の位置まで物資をお送りいたしますわ。ただし、魔王城は城壁が硬くお送りすることができませんの。気を付けてくださいまし。それと、大事なものが。そのドリル式の魔法装置を見てください。」

――これ樹上世界から地下世界まで到達してるってことは下層世界を貫通してるのよね?そんなに送ったら穴だらけにならない?それに家とか人に当たったらヤバそう。

――そこはうまく回避してるんじゃないかな。

――というかこれ新しい兵器ね。

Jは粉砕された大岩の中心にある魔法装置に近づく。すると、魔法装置がパカッと開き中から鞘に納められた剣のような物体が納められている。

ウィレナがドールハウスから出てきてシスネに質問する。

「これは?」

「お姉さま、それは『不死殺しの刃』。我が父王が対レーヴェリオン王のために作った不死の魔法を解除する刃ですわ。それを使えば死なずの者を殺すことが出来ます。もしレーヴェリオンが父王と同じように不死となっていたら、それを使ってほしいと生前おっしゃられておりました。」

Jはその凝った装飾の剣を腰に巻き付け、先へ進む。

――これルート分岐のキーアイテム。素で使っても強いから装備していく。

スルトと戦ったバトルフィールドとは線対象になるような薄暗い通路を進んでいくとこれまたスルトと戦った場所と同じような溶岩の湖に浮かぶ小島のような開けた場所に到達した。奥には同じようにバリアを張るための魔力源となっている魔力水晶が鎮座している。

Jはその魔力水晶に向かって歩を進めると、頭上から狼の遠吠えのような音が聞こえてきたと思うと次の瞬間。炎と雷と氷のブレスがJの頭上から降り注いだ。Jはそれを間一髪躱すと、魔力水晶の目の前に身の丈4メートルほどの立派な鬣を生やした三つ首の番犬、ケルベロスが行く手を阻んだ。

――前に会ったやつとは別個体。

――いっぱいいるのね。

Jはロージナを呼び出し、タラサ、ウィレナとともにケルベロスに挑む。

ケルベロスから向かって右の口からは稲妻を、正面の口からは炎を、左の口からは冷気を吐き出し、その鋭い爪で地面を踏みしめJ達に突撃する。

右の頭部が冷気を吐き出しJたちの足元を凍結させる。Jはバックステップで冷気ブレスを躱す。ウィレナ達も同様に回避行動を行い凍結を免れる。だが、Jたちの足元は凍結によってつるつると滑る床になってしまった。

「……っく!動きにくいわね……!」

「J君!タラサちゃん!ウィレナちゃん!大丈夫?」

「つるつるして転びそうだよー!」

『ウィレナ!タラサは攻撃しろ!ロージナは回避に専念!』

Jは素足の裏に冷たい感触を感じながら、慣性の聞いた床面を滑るようにケルベロスの懐に潜り込んで頭上のケルベロスの腹部に向かってパイルバンカーを打ち込む。ギャインッとケルベロスは後ろにバックステップを行うが、Jは氷の上を滑るように移動し、ケルベロスの右肩に向かって不死殺しの刃を突き立てる。ケルベロスの皮膚は固く先端しか刺さらない。Jは不死殺しの刃を手放し、ケルベロスと少しだけ距離を取る。そしてハンマーを携え、不死殺しの刃に向かってハンマーの平坦を叩きつける。ズブリッと不死殺しの刃がケルベロスに対して根元まで突き立てられ、ケルベロスの体力ゲージは大きく減少した。そしてケルベロスは右回りにJに攻撃をしようと稲妻を吐き回転する。Jはその回転に合わせて同じく右回り、反時計回りにケルベロスを軸に歩いて攻撃を躱す。タラサは離れたところからグレネードを、ウィレナはJと同じように接近して切りつける。そして稲妻を吐いたタイミングでロージナに攻撃の指示を出す。

『ロージナ、避雷針だ!』

ロージナはウィップロープをケルベロスの前足に絡みつかせ、吐き続ける右側のケルベロスの雷に身を乗り出す。 

「んっ……くぅ……!」

ケルベロスから吐き出した雷を全身に受けたロージナはウィップロープを強く握り自身の体を雷の通過点としてケルベロスへ返した。

自身の雷撃を受けたケルベロスはビリビリと痺れて動けなくなる。

『今だ!畳みかけろ!』

「いっくよー!」

タラサは爆砕弾をケルベロスの頭部めがけて発射する。命中した爆砕弾はその場で弾け、爆発した破片と爆風が炎を吐く頭部に襲い掛かり、ケルベロスはたまらず火を吹き出し首を回す。ケルベロスにダメージが入り、一気に10パーセントほど体力ゲージが減少した。そうしてその炎によって地面の凍結が融解しウィレナ達は自由に動けるようになった。

ウィレナは『聖剣:レリジョンスパーダ』に魔力をエンチャントし、ケルベロスに向かって突撃する。

「はぁあああああっ!」

ウィレナの連撃によりケルベロスの肉にレリジョンスパーダの刃がするりと入り込み斬撃ダメージを与える。傷口はすぐに塞がるが、ケルベロスの体力ゲージが5パーセントほど減少する。

ケルベロスは一連の総攻撃を喰らいたじろぐが、すぐに体勢を立て直しバックステップを行いJたちと距離を取る。そして炎と冷気の混合ブレスを首をスウィングさせ扇状に放射する。Jはその攻撃をブレスがやってくる方向に突撃し、前転ローリングで回避してケルベロスの方向へ移動する。ケルベロスはやって来たJに対して足元へブレスを行い放射状に炎、冷気、雷を吐き出す。Jは前方ステップでケルベロスの右前足斜め後ろに回り込む。ケルベロスのブレスは自身の足によって阻まれた箇所があり、完全に同心円状には広がらない。Jはブレスの死角となった足裏でハンマーを取り出し、棘部分を上に向け力を溜める。そしてブレスが終わったタイミングで思い切りハンマーを振り上げケルベロスに向かって振り下ろした。

「ギャキィッ!」

ケルベロスは大きく後ずさりしよろめく。すかさずウィレナとロージナが細剣とドラゴンクロウで追撃を行い、タラサは遠距離からグレネードを連射する。全攻撃が命中し、ケルベロスの体力は残り30パーセントを切っていた。

「グルルルルルルォオオオオオオオオオオオンッ!」

ケルベロスはバックステップし大きく咆哮を上げると、全身の筋肉が隆起し爪が伸びJ達の周囲をぐるぐると回り始める。そしてその回転のまま時計回りに円柱状の壁を遠心力を利用するように走りはじめ、Jたちへ冷気ブレスを吐き出す。Jは難なくそれを躱すが、ウィレナ達は凍結した地面に足を取られてうまく動けない。ケルベロスはその強靭化された膂力を用いて壁を蹴り、壁からJ達に向かって体当たりを仕掛ける。Jは難なくその突進を躱すが、ウィレナとロージナは足が滑って回避行動をとることが出来ず、直撃してしまう。

「きゃあっ!」

「いだっ!」

ロージナとウィレナの頭上の体力ゲージが減少する。

Jはタラサに水晶髑髏の憑依アイテムを使用し、タラサに憑依する。タラサの足元は凍結しておらず、ウィレナ達に比べてまだ自由が利く。ケルベロスは再びJ達の周囲の壁を地面と水平にぐるぐる回りはじめ、6つの目玉でJ達にターゲットを合わせている。タラサ(J)はグレネードランチャーに触手弾を装填してケルベロスに向かって照準を合わせる。ケルベロスの移動先を予測して偏差射撃を行う。見事、ケルベロスの一歩先の地点に触手弾が命中し触手が展開され、ケルベロスの足に触手が絡みつきケルベロスは転倒して溶岩に落下しそうになる。ケルベロスは落下中に壁を思い切り蹴り、溶岩への落下を回避する。が、落下し転がった先には憑依を解除したJがため攻撃の準備を行っている。そしてJはその場所にウィレナとロージナも呼び寄せていた。

「一斉攻撃だ」

Jはハンマーを叩き下ろし、ウィレナは細剣で切り刻み、ロージナはウィップロープで滅多打ちにした。

「ギゃオォオオオンッ!」

――フルボッコタイムね。

残りライフの少なかったケルベロスは一気にライフゲージを減少させ、0となった。

ライフが0になったケルベロスは、大暴れし、J達を吹き飛ばす。そして暴れたまま魔力水晶に向かっていき、魔力水晶に激突して魔力水晶が粉砕される。魔力水晶に激突したケルベロスはそのまま右に倒れていき、溶岩の湖に沈んでいった。


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