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第78話 世界構築

王の間は学校の体育館程の広さで、奥にまで広大なレッドカーペットが敷かれており、階段の上には玉座が二つ、その裏には神話をモチーフにしたようなステンドグラスが神々しく光を透過している。

 その玉座には、一人はシスネが。もう片方には、ぼさぼさの銀髪の頭に王冠を被り、白いマントを方からたなびかせ、きらめく装飾が飾られた純白の王族衣装を着た、やややつれた印象を持つ初老の男がこちらを彫の深い目でこちらをぎょろりと見つめている。その手には銀色の装飾が施された杖を持っている。杖の先端には虹色に光る水晶玉が浮遊している。

J達が部屋の中央あたりまで歩を進めると、ドールハウスからタラサ、マウガン、シェロが飛び出てきてJの後ろに付く。

その姿を見て、シスネは驚き口を開く。

「お姉さま!?どうやってここに……!?それにその方たちは……!?」

「私の仲間達よ、シスネ。あなたが拒絶したタラサ、マウガン、シェロもここにいるわ。」

「ヒィッ!」

シスネは青ざめて座っていた椅子の裏に隠れる。どうやら、下層世界の人間が本当に怖いらしい。

「これこれ、シスネ。お客人を前に隠れるとは無礼であるぞ。」

初老の男はシスネに対し礼を欠いたことをするなと窘める。

「はい、お父様」

と、シスネは返答する。

「あなたが……ヴォルクルプス……!」

「そうとも、ウィレナ・ラグナ・ハクバード・ティーアよ。よくぞここまで来た。そして、ロージナ、タラサ、マウガン、シェロよ。歓迎しよう。ようこそ我が城へ。Jよ、任務ご苦労であった。」

「!」

「おかしいね。何故僕たちの名前を知ってるんだい?」

「我はヴォルクルプス。この樹上世界の王の王であり樹上世界において全能の神にも等しき存在なり。故に、貴様らの樹上世界での所業は全て我の手中にある。」

「うわぁ。この人自分で自分のこと神とかいっちゃってるんですけど……」

タラサは仲間にしか聞こえないくらいのひそひそ声でぼやく。

「タラサよ。」

「はいっ!」

タラサは不意にヴォルクルプスに名前を呼ばれてびくっと背を伸ばす。

「我はこの世界の全てを知っている。故に我は我のことを神と呼んでも差し支えあるまい?」

「この世界を知っている……?どういうこと……?」

「言葉通りの意味だ。はじめ、世界はこの樹上世界一つだけだった。下層世界から来たのだな?なら見せてやろう。この世界の成り立ちを。」

ヴォルクルプスはこつんと杖で地面を鳴らす。するとそこから波紋が同心円状に広がり、階段を降りJたちの足元に到達しJたちは、ぼちゃん!と液体の中に落ちる。

「むがっ!?ごぼぼぼぼぼッ!」

タラサは溺れないようにに必死に液体をかく。

「落ち着くがよい。呼吸は出来る。」

「おぼっ!?んんっ……すーっ。はーっ。あ、ほんとだ。というかヴォルクルプスの声が頭の中に響いてくる……」

「これは心伝の魔法?これが出来るのは王家でもレーヴェリオン王くらいだったけど……」

「レーヴェリオンか……懐かしい名だ。世界ははじめ一つだけ、この樹上世界のみで、下層は溶岩蠢く死の大地だった。」

Jたちの目の前は過去の樹上世界から下に視点が移動し、世界樹の周辺に溶岩があたりから噴き出す暗い洞窟のような世界がひろがっていく。その視点は再び樹上世界に昇って行ったが、そこでは戦が起きていた。

「今から1000年前、大きな戦争が樹上世界で起こった。平穏を望む兄王、ヴォルクルプスと、進化を望む弟王、レーヴェリオン王の戦いだ。」

「レーヴェリオン!?お父様が!?いえ、でも1000年前って……。」

目の前の戦に決着がつく。レーヴェリオンが下層世界に落下していく。そして溶岩にまみれた下層世界に対し、空中で魔法を使い、溶岩を固め世界樹の幹を伸ばし、大地を作った。レーヴェリオンやレーヴェリオンの兵たちはそこにゆっくりと着地した。

「勝ったヴォルクルプス王は1000年の平穏を望み樹上世界を魔力で覆った。それが結晶となり魔力水晶が各地に散らばっていったのだ。一方、負けたレーヴェリオン王は穴を掘り、部下の兵たちとともに下層世界へと落ちていった。その部下の兵たちの末裔が其方ら下層世界の住民たちだ。」

「僕らはもともと樹上世界の人間だったと言うことかな……?ではなぜ魔法が使えない……?」

「それは魔力水晶がないから、魔力を含んだ食べ物を食べて、母体から魔力の継承が行われていないから……そうでしょ?シスネ。」

「はい、その通りですわお姉さま。」

地下世界に落下したレーヴェリオンは部下たちに看取られ死に絶えた。

「王様……死んじゃったよ……?」

「今生きているレーヴェリオンはこのレーヴェリオンが転生したものだ。世界の改変に魔力の殆どを使い切り、元の力を失っていた。レーヴェリオンは幾度も転生を繰り返し、力を取り戻していったのだ。」

レーヴェリオンの死体から血が流れ下層の大地に染み込む。そしてその血はどんどん下に行き、世界樹の根に到達した。そこで世界樹の根をからし、枯れた世界樹の欠片がモンスターに変化し始めた。

「これはどういうことだ?まるでレーヴェリオン陛下が世界樹を蝕みモンスターを生み出したように見えるが……?」

「その通りだマウガンよ。レーヴェリオンはまず魔物を作り魔王となった。そうして長い年月をかけて魔物の軍団を作り、魔力を魔物に分け与えていった。そうして魔物の軍団を自身の兵の末裔たちと戦わせ、より強いものだけが生き残る世界を作っていったのだ。」

「そんな……嘘よ……お父様がそんなことするわけない。」

「嘘ではない。」

Jたちの目の前のでは、魔物と人間の軍が戦い、下層世界の半分は魔物の住処となった。そこに、少年がたった一人で殴り込みをかけて、魔物に捕まった人々を奮起させ魔物に反旗を翻した。そして徐々に勢力を拡大していき、少年が大人になるころには魔物を地下世界に追いやっていった。

「これがティーア皇国の建国の流れだ。そして魔族の王と人間の王、両方を兼任してモンスターと人間を戦わせることにより、双方が強くなるように仕向けて行った。魔人族はその際に出きた副産物。魔力を持ったモンスターと人間のハーフなのだ。」

「なるほどねぇ、筋は通ってる。私が聞かされてきた建国の伝承にそっくりだ。確かに、争いは種の強化に必要かな。だけどいけ好かないね。」

「そうだ、レーヴェリオンが転生を繰り返したならヴォルクルプス王、あなたも転生を繰り返しているのですか?」

シェロはヴォルクルプスに疑問を投げかける。

「我は転生等しておらん。不老の魔法により生きながらえているにすぎん。」

「これが……世界の成り立ち……」

「にわかには信じられないわね。」

――今明かされる衝撃の事実!

――わっ。急に大声出さないでよ。


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