第70話 VSケッツァーケルベロス
周囲の人型ケッツァーの残骸が1か所に集合していき、ケッツァーの核が溶けて4つの巨大な球体となり、それを中心に人型ケッツァーの球体と三角柱が溶けて巨大な体のパーツの一つとなっていき、それらのパーツが複数生成されとげとげしい4足の犬の下半身を形作っていく。ただ、犬との違いはその頭部が3つあり、頭部の脳があるであろう箇所に1つずつケッツァーコアがくっついていき、胸部にも1つケッツァーコアがくっついていく。
『どうやらここの番犬のようだな』
「うん、そうみたいね。やるしかなさそう。」
3つ首の犬型ケッツァー『ケッツァーケルベロス』。地獄の番犬がJとロージナに襲い掛かる。
『ロージナ!動きを止めてくれ』
「了解!J君!私が動きを止めるから攻撃して!魔人族の私の固有魔法!見せてあげる!
」
――仲間キャラに動きを止めてもらうこと多くない?
――それが一番効率的だから……
ロージナは固有魔法の詠唱を始める。
「猛き雷よ、我が武器に宿りて痺害を与えよ!ブリッツフラゲルム!」
ロージナの手から雷がほとばしり、ロージナは自分のウィップロープとドラゴンクロウに雷を纏わせる。ロージナはその雷をまとったウィップロープでケルベロスの足を拘束し電流を流し動きを封じる。Jはその間にハンマーを下段に構え動きが止まっているケルベロスの胸部のコアめがけてハンマーを振り上げる。コアに打撃を受けたケルベロスは機械音の叫び声をあげ頭を垂らす。Jは振り上げたハンマーを自分の方に回転して回し上げ、ケルベロスの向かって右の頭部へ叩きつける。
ケルベロスはギャォオオンッと叫び声を大きくのけぞる。ケルベロスは暴れてロージナのロープを足から外し、中央の口からJに向けて雷のビームを放つ。
「ロージナ!避雷針に!」
「任せて!」
Jは雷のビームを前方ローリングで躱しケルベロスの懐に潜り込む。ロージナはケルベロスが吐いている雷ビームにウィップロープを伸ばし、もう一本のウィップロープをケルベロスに向かって投擲する。するとドラゴンクロウがガブッとケルベロスの右の首に噛みつき、雷のビームが左手のウィップロープ、ロージナの体を経由して、右手のウィップロープの先のドラゴンクロウからケルベロスに返される。
「んぁあああああああああああッ!」
自身の雷ビームをその身に受けたケルベロスはビリビリと震えダウンする。Jはその隙を見逃さない。Jはハンマーを振り上げ向かって左のケルベロスの頭部に振り下ろした。
「ギャオンッ」とケルベロスはダメージを受け悲鳴を上げる。ケルベロス頭上の体力ゲージは大きく減少した。
プスプスと少し焦げ付いたロージナはケルベロスに向かって右掌を向けドラゴンクロウの付いたウィップロープを自身の腰から地面に食いつかせ、詠唱を始める。
「喰らったら思いついたわ!祖を焼き尽くす轟雷の嘆き!点と点を結ぶ一筋の雷光!一閃招雷!グロムレイ!」
ロージナの右掌からケルベロスが放射した雷ビームと同様のビームがケルベロスに向かって放たれる。ケルベロスはその光線を胸部のコアにくらい、後ろにのけぞる。体力ゲージはやや減少している。ケルベロスはJに向かって突進を行う。Jはそれを前転ローリングの無敵時間を利用し、ケルベロスに向かってローリングしダメージを回避する。ケルベロスのターゲットがJに向かっている間に、ロージナは雷光線グロムレイをケルベロスに照射しつづける。ダメージは微弱ながら、連続でのダメージが入るためケルベロスの体力ゲージはどんどん減少していく。ケルベロスの体力ゲージが半分を切ったところで、ケルベロスの左の口からは冷気が、右の口からは熱気が漏れ始め、氷のビームと熱のビームが左右の口から放たれ、Jとロージナを挟み込むように冷線と熱線が2人に迫ってくる。
ロージナは右にステップの無敵時間を利用して熱線回避し、Jは左にローリングの無敵時間を利用して冷線を回避した。
Jはダッシュで冷線、熱線を吐き続けるケルベロスに近づき、ハンマーを左頭部に叩きつける。ケルベロスは大きくのけぞり、冷線が天井を凍結させ、熱線が周囲の棚や椅子、机を炎上させる。あたりは炎に包まれ、近寄るだけで延焼ダメージを負ってしまう。天井からは凍結した氷柱が落下してきて、直撃したらダメージを負いそうだ。Jはロージナに雷ビームを撃つように指示を出す。
『ロージナ!グロムレイを撃て!』
「あいさっ!祖を焼き尽くす……」
ケルベロスは走りながら3本の首から冷線、雷線、熱線をロージナの詠唱中にJはケルベロスの懐に潜り込んで、両前足にひたすらハンマーで殴りつける。ケルベロスの体力ゲージがだんだんと減っていき、ケルベロスは両前足の蓄積ダメージに前足が破壊され、前方に頭を垂らす。そしてJはパイルバンカーを胸部のコアに押し当て、手首を捻り、パイルバンカーを発射する。
「ギャォンッ!」
っとケルベロスは悲鳴を上げる。頭部のコアが粉砕され体力ゲージも大きく減少しあとわずかだ。Jは立ち上がろうとするケルベロスの後ろ脚の隙間から出てケルベロスの尻をハンマーで殴る。ケルベロスはグァッとJの方へ体を捻り0距離からビームを放とうとするが、Jはそれを待っていたと言わんばかりにハンマーをかち上げケルベロスの顎をハンマーでアッパーする。そして振り上げたハンマーをケルベロスの頭部、中央のコアに叩きつける。そしてコアは砕け散りケルベロスの体力ゲージは0となった。
「グルルルルルォオオオオオッ!」
ケルベロスは断末魔を上げ、暴れ狂い、体を周囲の壁に叩きつける。その叩きつけにより、上階へ向かうシャッターが破壊され、ケルベロスは動きを停止した。そして頭部から残ったコアがガラガラと落下していき、体のパーツがバラバラになる。
「……終わったね。」
『ああ、帰ろう』
Jはケルベロスから落ちたコアを回収しバックパックに入れる。そのまま離れていたロージナと合流し階段を後にする。左右がガラスのような透明な壁の開いたシャッターを通り先の階段にすすむ。こうして帰りの道をひたすすみ屋上へと到達する。
「J君!帰り道は任せてよ!ロージナお姉さんが案内してあげる」
――任せられない。また迷うことになる。




