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第67話 廃病院

「うん、終わったことくよくよしても仕方ないね!よし、J君行こう!皆を助けよう!」

Jに操作が切り替わる。Jは通路を進む。左手に個室の部屋入り口を見ながらヌルとの思考会話で説明を行う。

――ここは樹上世界の廃病院で、全5階の横幅広のビルになっている。目的の魔力調節の装置っていうのは1Fにある。3~5Fはケッツァーが徘徊していてバトルエリアになってる。

1、2階は手術室や診察室、受付になっていてそこの受付に目的の装置がある。

――バトルエリアはスルー安定ね

――RTA攻略的にいえばそうなんだけど……

Jは通路の先にある大部屋に入る。大部屋と言っても、個室の壁や通路が崩壊して柱だけを残して置くの部屋までひとつながりになっている。あたりにはベッドや棚が散乱しており、人型のケッツァーが複数体徘徊している。

――なんだけど?

Jは視線を人型のケッツァーに向ける。

人の関節の箇所に球体があり、手足の先に向かって骨の位置に本来あるべきであろう骨の大きさの三角錐が伸びており、背骨は太い三角錐、頭部は巨大な三角錐が天井向いている。

その胸部には肋骨のように三角錐と三角柱が組み合わさっているが、心臓があるであろう場所には、青色に光り輝く球体が浮遊している。

――あの青色の球、通称「ケッツァーコア」がエネルギー元として1階と2階のギミックを解くのに必要なんだ。

――倒す必要があるのね。

――理解が早くて助かる。

――ムフーッ

ヌルがドヤ顔でJを見下す。ヌルがだんだん感情的になってきている気がする。

Jは視界内に3体の人型ケッツァーをいれ、倒す順番を脳内でシミュレートする。

Jはまず散乱しているベッドの影に隠れ、徘徊して近づいてくるケッツァーをベッドの影に引きずり込み、右手で肋骨の下からケッツァーコアに手を伸ばし掴んで一気に引き抜いた。ケッツァーはじたばたと手足を動かして暴れるが、Jはがっちりホールドして放さない。

そしてコアを引き抜いてすぐにケッツァーはその行動を停止した。

――その球は持ちっぱなし?

――いや、この先でバックパックを手に入れる。タラサを仲間にしてない場合、カルトゥムも居ないから基本バックパックにアイテムとかを入れることになる。俺はそれを下層世界で入手してないからな。この先で初めてのバックパックを手に入れる。

――もし誰も仲間にしてなかったらどうなるの?

――落石でウィレナが頭を打ってそれの治療薬を探しに来る。

――なんだか間抜けね。

――そう言いなさんな。

Jは中腰の体勢になると、ロージナも背後を付いてくる。棚の影まで中腰で移動し、ケッツァーの正面、つまり視界に入らないように移動し、2体目のケッツァーに近づく。だが、ケッツァーはJから3メートルほど離れたところできょろきょろと周りを見回し、その場から動かない。Jは棚の影から少しだけ顔のぞかせ、ケッツァーにターゲットを取る。そしてロージナに指示を出す。

『ロージナ、あいつを掴め。』

「あいさー!」

ロージナは小声で了解の合図を出す。そしてロージナは腰からぶら下げているウィップロープの付いたドラゴンクローをケッツァーに向かって投げた。するとドラゴンクローの口がガバッと開きケッツァーの足首に噛みつく。ケッツァーが何事かと足を見ようとした瞬間。

「それっ」

と、ロージナは思い切りウィップロープを引っ張った。するとガチャンと音が鳴りケッツァーは尻もちをついてロージナの下へ引きずられる。そしてJの下へ引きずられたケッツァーの胸部に腕を突っ込み再びコアを引き抜いた。

 Jはコアをウィレナに持たせ、残りの1体を隠れながら視界に納める。先ほどのしりもちの音に反応してあたりを見回し警戒している。Jは散乱した棚やベッド、まだ完全に崩れていない壁を隠れ蓑にして近づいていき、道中、棚に入っているガラスの小瓶を手にとり哨戒しているケッツァーの背後に向かって投げつける。ケッツァーは投げつけられて割れたガラス瓶に反応して後ろを振り向く、Jはその隙にケッツァーの背後に回り込み肋骨の下から手を入れコアを引き抜く。コアを引き抜かれたケッツァーはシュゥウウンという音とともに活動を停止し、膝から崩れ落ちた。部屋内にいた3体の残骸を見てロージナは言葉を漏らす。

「この子たち……人間がいなくなった後もずっとここを守っていたんだね……」

Jは吹き抜けとなった大部屋を進み左手奥の扉に手をかけ開ける。そこは事務机やロッカーがあり、屯所と似たような雰囲気になっていた。

「ここで職員が着替えとかしていたのかも……」

ここはロッカールームのようだ。Jは壁にもたれかかった右から3番目のロッカーを開く。

するとそこにはウェストポーチ型のバックパックがあり、Jはそれを背負う。そしてロージナが両手に持つコアとJが持つコアをウェストポーチの中に入れる。

Jは入って来た扉と反対側の奥の扉を開ける。向かって右手には上下に向かう階段があるが、上に行く階段は雪雲の土砂で埋まってしまっている。Jは下に向かう階段を下りていくと、踊り場から奥に向かうケッツァーの影が見える。その影は人型の上半身に以前戦ったセンチピードの下半身を併せ持つムカデ型のラミアのような影だった。その影はかさかさと部屋左手の扉に進んでいく。

Jはその部屋に入るとすぐに振りむく。するとそこには今にもJに襲い掛かろうとするラミアケッツァーがいて、Jはラミアケッツァーの胸部のコアに向かってパイルバンカーをあてがい、打ち込んだ。ガキィンッという鈍い高音が部屋に響き渡りラミアケッツァーは活動を停止する。が、コアは一つだけではなかった。ムカデタイプの下半身にもコアがあり、上半身と下半身が分離し下半身だけで襲い掛かってくる。

『ロージナ!拘束しろ!』

Jはロージナにドラゴンクローウィップを使うように命令を出し、ロージナは指示に従いウィップでムカデの下半身を拘束する。その下半身内でゆっくりと前後に移動するコアに狙いを定め、背骨部分の上からJはハンマーの棘部分で殴りつける。ハンマーの棘がコアを打ち抜きラミアタイプの活動は完全に停止した。Jは上半身のコアと下半身のコアを回収する。

「J君、私驚いたよ。急に襲い掛かってくるんだもの。でもよく対処出来たね。えらいえらい。」

――知ってたし。

ロージナはJに背伸びして頭をなでる。頭髪がないその頭をなでるのは正直馬鹿にしているとしか思えないが、そういう会話イベントだから仕方ない。


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