第57話 5つ目のフラグメント
J達はマウガン邸の玄関前にて集合した。屋敷のメイドや執事たちも送り出し(見送り)に参加する。
ミランとソーコルはマウガンへ別れの挨拶をする。マウガンは重厚な鎧に背中には装飾が施された大剣を背負っている。
「マウガンさん、お達者で!私たちはちゃんとこの家を守りますね!」
「俺はマウガンを超える立派な闘士になるぜ!」
「ああ、よろしく頼む。期待しているぞ。」
マウガンはJたちの方に振りむく。
「さぁ行きましょう。ウィレナ様、J殿」
「私はもう姫じゃないから「様」なんてつけなくていいって。」
「いえ、私にとってウィレナ様はウィレナ様です。」
「これからよろしくね!マウガン!」
「ええ、よろしく、タラサ君。」
「マウガン、君の強さは心強い。頼りにしてるよ。」
「弱体化したとしてもこのマウガン、同志の頼みを無碍にはしませんぞ。よろしく、シェロ殿。」
ソーコルとミランは手を振りマウガン達を見送った。
タラサは大きく手を振り、マウガンは腕を高々と上げる。
マウガンが仲間になった!
――ちなみに、コロシアムも解放されてて、コロシアムの全難易度をクリアすると、ソーコルとミランがコロシアムのラスボスとして出てくる。
――あの子達そんなつよいのね。
「J殿、ウィレナ様、樹上世界を目指すなら世界樹の登頂関所を訪ねるとよいかと思われます。関所はここから東に進んだ場所にあります。」
「そうね。まずはその登頂関所に行きましょう。」
Jはメニュー画面を開く。
――マウガンも半裸にするのね。
マウガンの装備をドールハウスのクローゼットに入れ、マウガンはふんどし一丁になった。
パーティーメンバーが5人となった。
――パーティーメンバーは同時に行動できるのは4人までなんだ。だから残りはドールハウスに入っててもらうが、移動の手間を考えて俺以外全員入っててもらう。
Jはドールハウスに、ウィレナたちを入れた。Jは街の入り口まで走っていき、馬貸屋に金を払い馬を借り再びマウガン屋敷の方向、もといコロシアムまで馬で移動する。
――コロシアムの旗の上にフラグメントがある。せっかくだから回収していこう。
コロシアムの旗は、主催者席の上に、バルバロ共和国とコルヴォ家の家紋の2旗が掲示されている。Jはコロセウムの階段を登っていき、主催者席の部屋へ入っていく。そして窓から身を乗り出し、窓の手すりを乗り越え、レンガ造りの隙間に手をかけ上へと登っていく。主催者席の屋根の上まで登り、バルバロ共和国の旗を掲示している棒を登っていき、その先端でふわふわと浮いているフラグメントに手をかけた。すると目の前が暗転していき、視界に映像記録が映し出される。
映し出された場所は、以前に見た研究所のようなオフィスルームで、目の前には以前見た地味子がやや成長した面持ちでこちらに向かってタイピングをしている。地味子が首から下げている名札には、『沖兎月音』という名前が表示されている。その月音に対し、後ろに向かって座っている男が月音の方に振りむき話しかける。
「ねぇ沖兎さん、ちょうどいま開発中のセキュリティソフトに対するウィルスプログラム組んだから、デバックも兼ねて対決しない?君の組んだセキュリティが勝つか、俺のウィルスが勝つか勝負しようよ。」
月乃は振り向き返事をする。
「おっ今日は勝てるといいねー。」
視野角の外からギャルっぽい子の声が聞こえる。それに対して月乃とその男は返事を返す。
「亀井さんも見ててよ、今日こそは俺のウィルスが勝つからさ!」
「えー……じゃあアタシは月乃が勝つほうに今日の昼ご飯を賭けるぜ!」
「そんなー」
男は肩を落とす。亀井と呼ばれたギャルっぽい子に月音は叱責をする。
「日葉、私は賭け事の為にこの子を作ったんじゃない。」
「いいじゃんいいじゃん。どうせ勝っちゃうんだし。賭けにもならないでしょ。アタシと月音の子だよ?負けるわけないじゃん。」
「いいや、今日こそは勝って見せる!今日の昼飯は二人におごってもらうぜ!データ送信ッと!沖兎さん、テストプログラム実行してよ。」
「了解。ポチってね。」
月乃はエンターキーを押す。画面外から日葉がこちらを覗き見て、二人の隙間から男がこちらを見ている。
ここで画面が暗転し、Jは気づくと旗を掲げる鉄の棒にしがみついていた。
――このゲームの開発者なのかな?それをカメラで記録を保存しながら間違えでそのデータがフラグメントのプログラムと紐づけされちゃったとか……?
――シナリオが進むにつれてこの映像記録も時間が進んでいるようね。J、道中フラグメントを見つけたら回収をお願い。私はこれの続きを見なきゃいけない気がするの。
――まあ全クリまでのついでと言うことでいいかな。
Jはそのまま鉄棒からコロシアムの闘技場の中に飛び降り、スライムキューブを投げそこに着地した。Jはそのまま闘技場の観覧席に駆け上がり出口へ向かう。そして出口で待機していた馬に乗って街の出口まで走っていく。Jは街を出て左手、南東へ進む。
Jは砂漠地帯を馬で駆ける。道らしい道はないが、旅人が通った足跡に沿って移動していく。道中、オアシスがあり、行商人や旅人が天幕を張って休憩しているのが見て取れる。Jはそこに立ち寄り、焚火の近くの椅子に座り、休息兼今まで戦ってきた敵を倒してレベルアップして手に入れたステータスポイントを割り振っていく。生命力にはポイント振らず、体力と膂力にパラメータを振っていく。
――これで『巨人の小槌』の性能を100%発揮できるようになった。
――今までは弱体化してたのね。
Jは椅子から立ち上がり、馬にまたがってオアシスを去る。そして遠景に見える世界樹に向けて砂漠地帯を直進するのだった。




