第48話 バルバロ共和国
「バルバロ共和国っていうのは、もともとこの大陸には小国がたくさんあったの。」
――ここからイメージ映像。
世界樹を中心としたドーナツ状の世界地図が表示され、今Jたちがいるバルバロ共和国砂漠地帯のゼクスト村やその周辺が目の前に映像として映し出される。
「その小国同士がその昔、たくさんの戦争があって、大陸の東側を統一したのがお父……今のレーヴェリオン皇帝。」
目の前の世界地図の東側が赤く塗りつぶされ、「ティーア皇国」と表記される。
「そしてあまりにも強大だったティーア皇国に対抗すべく残りの小国が一丸となったのがバルバロ共和国。」
世界地図の西側が黄色く塗りつぶされ、「バルバロ共和国」と表記された。
「この2国間は、私が生まれる前は戦争が行われていたらしいの。」
凸の字の物体がティーア皇国、バルバロ共和国から移動してきてぶつかり合っている。
「私が生まれるちょっと前、20年ほど前から両国は休戦協定を結んで今は戦争は終わったようなの。それ以来、互いに旅人が行き来することはあっても大きな関りは持たずに今日に至っているわ。」
「みんな仲良くすればいいのにねー。ね、カルトゥム。」
「そうだメェ。喧嘩するのは仲いいとは言えないメェ。」
「大人の世界はそんな簡単にはいかないんだよ、タラサ。」
シェロがタラサを嗜める。タラサはツンと口をとがらせるが、すぐに笑顔になる。
「まぁでも皆無事でよかったよ。あの王様、すっごく強かったし!」
「ええ、そうね。皆怪我はしたけど、命があってなにより……ッ……痛ッ……!ごほっごほっ!」
ウィレナは喉を抑えてせき込む。シェロはそんなウィレナを見て村長に願い出た。
「村長さん、僕たちは見ての通り、けが人ぞろい。もしよろしければ数日匿っていただけないでしょうか?」
「ええ、もちろん。こんな辺境まで飛ばされてさぞお疲れでしょう。この村には娯楽が少ない。皆様の旅の話などを聞かせていただければ結構ですよ。狭く埃っぽいところですが、先ほどの部屋をお貸ししましょう。傷が癒えるまでゆっくりと静養なさるといい。」
「村長さん。ありがとうございます。」
ウィレナは深々と頭を下げる。
『初めて会ったときから大分変ったな。ウィレナ。』
「もう守られる王女ではないもの。当然よ。これからは自分の力で生きていかなきゃ。」
その後、村長宅で夕食をご馳走になり一行は数日間この村に滞在することになった。
そして数日が過ぎ、全員の傷が癒えたころ、Jは出発の為に、村の各地にいる残りの3人に話しかけに行かなくてはいけない。
まず村は四角い白い土の家がそこら中にたてられ、メインストリートにはそこから天幕を引いて日除けとし、露天商が店を出している。
タラサはそこの露天商の落果遺物を扱っている骨董商の場所で店主と話していた。
「だーかーら!カルトゥムはあげないって言ってるでしょ!いくら積まれてもダメ!」
「頼むよ嬢ちゃん!そんな自立する落果遺物珍しいったりゃありゃしねぇ!」
「そうだメェ!ボクはこの世でただ一人の考える落果遺物だメェ!そんなはした金じゃボクは買われないメェ!」
「違うの!カルトゥム!お金でカルトゥムは売りません!って言ってるの!」
「金じゃねぇならここにある落果遺物全部と交換ならどうだ?都市部で仕入れた珍しいモンもいっぱいある!」
「ふんだ!そんなガラクタ、ウチにたくさんあるもん!」
「何ィ!俺の落果遺物たちがガラクタだとォ!?」
これ以上言い争いが発展すると面倒になりそうだ。と、Jはタラサに話しかける。
「あ!J!起きたんだ!何々?出発の時間?オッケーすぐに村長さんち行くよ。」
「ああ!ちょっと待ってくれ、ここにある落果遺物の他にも裏にいろいろあるんだ!よければ見てってくれよ……!」
『悪いな、カルトゥムは大切な仲間なんだ。売り物じゃない。』
「そうか……俺も興奮しすぎた。何か落果遺物が入用ならいつでも行ってくれよ。」
「アタシもごめんね。おじさん。またね!今度は落果遺物マニア同士お話しようよ!じゃ、いこ!J!」
タラサが仲間に加わった。
――ちなみに邪ゲージに振っていいならこの店のバックヤードから落果遺物のアイテムを盗み出すことも出来る。
――外道プレイね。
――次は通りをちょっと言ったところにある女性の人だかりのところにシェロがいる。
黄色い歓声を浴びて女性たちと握手や投影保存の落果遺物を利用した写真撮影のようなものを行っている。
「キャーシェロ様―こっち向いてー!」
「ありがたやーありがたやーこんなイケメンが我が村に来て下さるとはー」
「はぁ~……眼福過ぎて目玉飛び出しそう」
――パンツ一丁のくせに。
『シェロ、そろそろ行くぞ。』
「ああ、J、元気になったんだね。よかった。それではお嬢さん方、いつかまたどこかでお会いしましょう。」
黄色い歓声を背中に浴びながらJたちはその場を後にする。
『ずいぶんとモテモテじゃないか』
「あれがモテるということかい?女性たちは僕の見た目に騒いでいたが、それに関して僕は何の努力もしていない。褒められてもあまりピンとこないな。」
――こんなセリフでも嫌味に聞こえないのか性格もイケメンなのね。
――生まれる境遇さえ違えば人生も違うっていうキャラクターだからな。
シェロが仲間になった。
『残るはウィレナだけだな。』
ウィレナは、郊外の高台から町を見下ろして黄昏ていた。Jはタラサとシェロをドールハウスに入れ、その高台のがけ下からロープフックを利用して素早く高台下から上へ移動した。
「これが……呪い……」
『ウィレナ?』
ウィレナにJが近づくとウィレナは驚いてJの方を向く。
「J!?あ……あの……体は大丈夫なの……?」
ウィレナは以前には身に着けていなかったマフラーを首に巻いている。
『ああ、問題ない。それよりウィレナはどうだ?』
「え、ええ……私も問題ないわ。出発するの……?行きましょう。」
――ちなみに問題ないは嘘で、後で分かるけど、喉に呪詛刻印が刻まれている。
――何それ?
――レーヴェリオンがウィレナにかけた呪いで、解除できるのはレーヴェリオンだけだ。放置すると死ぬ。レーヴェリオンを倒せば解除される。
――ますますレーヴェリオンのとこに行かなきゃいけなくなるわけね。
ウィレナが仲間になった。




