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第47話 負けイベント

レーヴェリオンは右足を少し浮かせ、ゴツンと床にたたきつけ床を鳴らす。するとその床から放射状に水晶の結晶のような形状で虹色の物体が四方八方に広がり、一瞬であたりは虹色の結晶の洞窟が出来上がった。結晶が扉や窓を多い外部への脱出路を塞いだ。

「この国を興して数十年と幾月。久しく滾ることのなかった我が闘志。貴様らがどれだけ燃やせるか見せてもらおう。かかってくるがよい。」

レーヴェリオンは右手を後ろに、左手を曲げ指をクイッと自分の方へ何度か曲げそのままの意味で「かかってこい」とジェスチャーをする。

「後方の扉も塞がれた。どうやらレーヴェリオン王をなんとかしないといけないみたいだね。」

「陛下、陛下に刃を向けることをお許しください。」

「よーし、アタシ頑張る!」

Jはレーヴェリオンに走って近づき棒立ち状態になる。

――なぜ攻撃しないの?

――これ負けイベントで、こっちのライフが全員が残り1になると強制的に次のイベントに進むからな。攻撃しても全部バリアで弾かれる。防具を付けてなければ一撃でライフが1まで減らされる。

レーヴェリオンは棒立ち状態のJに向かって掌底を打ち付ける。Jが後方に大きく吹き飛び、ライフが1になり前かがみで腹を抑える。

――待って、割と痛い。

――耐えなさい。

Jは憑依のアイテムを使いタラサ、シェロ、ウィレナと連続でレーヴェリオンに近づき攻撃を喰らう。レーヴェリオンは、、1瞬で3人それぞれに近づきタラサには裏拳、シェロには前蹴り、ウィレナは首をつかみ持ち上げて床にたたきつけ、ウィレナたちのライフは一瞬で1となった。

――このための下着装備。

――嘘でしょ。半分性癖でしょ。

――……違うよ……?

「くっ……強すぎる……」

「はぁ……はぁ……もう動けないよ……」

「これが陛下の力……」

レーヴェリオンは何もない空間に剣を構えるように中段の構えを取った。するとその両手から青緑色のオーラが放出される。そのオーラはレーヴェリオンの手元から形を帯びて剣状に形成されていく。ものの数秒でその青緑色の大剣となった。

「我が葬魂の剣にてその命を絶たせてもらう。」

「まずいね……あれを喰らったらひとたまりもない……!」

「……くっJ、何とかならないかな!?」

『一か八かだ……!』

「ヌゥウウウウウウンッ!グランツ・エスメラルダ!!」

レーヴェリオンは剣を振り上げ、Jたちに向かって一歩足を踏み出し剣を振り下ろした。

青緑色の衝撃波がJ、タラサ、シェロに追尾して襲い掛かる。衝撃波によって床が割られ結晶があたりに飛び散る。

『全員!ドールハウスへ!』

Jは3人をドールハウスへ入室させる。

「J!あなたは⁉」

『こいつを使う!』

Jは球体の落果遺物、ワープホールを取り出し地面にたたきつける。

そして、次の瞬間、J達は衝撃波に巻き込まれ、その場から消滅した。

 玉座の間に再びの静寂が訪れる。

 その沈黙を破ったのはフェレスだった。

「あの……お父様、ウィレナまでいなくなってしまいました……これでは3日の処刑の儀が行えなくなってしまいます……」

狼狽するフェレスを尻目にレーヴェリオンは玉座へ向かう。そしてこつんとかかとを床に鳴らすと、玉座の間を覆っていた虹色の結晶が消滅して、元の玉座の間の姿に戻った。

 レーヴェリオンは玉座に座ると肩肘をひじ掛けにつき頬杖をついてウィレナに話しかける。

「案ずるなフェレス。やつらは死んではおらぬ。ウィレナの仲間……Jと言ったか……そ奴が我の攻撃が当たる直前に転移の落果遺物を使用してこの世界のどこかに飛んだのであろう。」

「では、すぐに捜索隊を各地へ派遣して……」

「それは必要ない。やつらは必ずここへ戻ってくる。それまで処刑は延期だと各所へ通達をしておけ。」

 こうして、ティーア皇国からJたちの姿は忽然と消えうせたのだった。


「うわぁああああああああああああああ!」

ウィレナ、タラサ、シェロはドールハウスの中を転がりまわっていた。

レーヴェリオンの一撃はドールハウス内にも衝撃が通っていたため、中で衝撃の奔流が渦巻き、ドールハウス内はぐちゃぐちゃに散乱していたのだ。その中でウィレナたち3人は上下左右に吹き飛ばされ体のあちこちを家具にぶつけ、そのたびに悲鳴を上げる。

――さっきまでライフ1だったのによく平気ね。

――イベントダメージは別扱いだから……。

しばらくするとドールハウス内の衝撃波が収まり、3人は家具のがれきの下からのそのそと這い出る。シェロが外に出てみようと提案する。

「このまま中にいてもしょうがない、部屋の整理は後回しにしていったん外に出よう。Jの様子も気になるしね。」

「そうだね。ワープホールを使ったなら今まで行ったところのどこかにいるはずだし。」

「そうなの……ともかく外に出てみましょう。私達もほとんど瀕死に近い……どこかで休める場所を探しましょう……」

ウィレナたち3人はドールハウスから外へ出る。

すると、見覚えのない景色が広がっていた。どこかの屋内のようだが、タラサには何も見覚えはなかった。

「アタシJとこんなところに来なかったよ。こんなところにワープホール設置した記憶ないもん。」

 そこは、天井は草で覆われており土を押し固めた壁、日当たりは悪いがカラッとした空気に、地面は砂が敷き詰められた、というか砂の地面の上に土の箱状の家が建てられているようだった。

「カルトゥム。ここはどこだい?」

「ボクにも分からないメェ。多分レーヴェリオンの攻撃の衝撃でワープホールの座標軸がずれちゃったんだと思うメェ。」

「あれ?Jはどこかしら?」

ウィレナはあたりを見回すが、Jの姿が見当たらない。すると、土づくりの建物で、ドアがない扉からボロ布をまとった老人が出てきて3人に話しかけた。

「おや、本当に人間が3人、現れおった。ようこそ。ゼクスト村へ。わしは村長のアードラというものですじゃ。お三方はJ殿のお連れの3人と聞いておる。ささ、こちらへどうぞ。」

3人は村長に連れられ、隣の部屋に移動する。そこには、全身を包帯でぐるぐる巻きになったJが椅子に腰かけていた。

「Jよかった!無事……とは言えないみたいだけど……生きててよかった……!」

「本当……一時はどうなるかと思ったわ……J……助けてくれてありがとう……」

「ささ、お三方も椅子にお座りください。詳しい話はJ殿からお聞きしました。さぞ大変だったことでしょう。傷が癒えるまで、ここでゆっくりお休みになられるといい。幸いここはティーア皇国の王都から大分離れたところにありまする。王に命を狙われたと言うことは我らと同胞も同じ、バルバロ共和国の者として皆様を歓迎致しますぞ。」

「バルバロ共和国!?アタシたちそんなに飛ばされたの!?」

「にわかには信じがたいが、この家の窓の外の砂だらけの光景。これはティーア皇国にはない景色だ。バルバロ共和国で間違いなさそうだね。」

「Jはまだバルバロ共和国について何も知らないわね?」

3人は椅子に腰かけた。ウィレナがJに説明を始める。


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