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第46話 VSジラフィム

「ウィレナ殿…お覚悟を」

「来るよ!」

ジラフィムは剣を頭の横で構えたまま突進してくる。Jの目の前に来た瞬間にJ達に向かって大剣を振り下ろす。Jはすぐにタラサ、シェロをドールハウスに入れ、自分はその場を回避する。

ドゴォッ!と、大剣が大理石の床をたたき割り、その衝撃によってウィレナが吹き飛ぶ。

「きゃあっ!」

Jはウィレナと距離を取り、ジラフィムの攻撃範囲に自分だけが来るようにする。

――ジラフィム戦のジラフィムは、ジラフィムの近くにいるウィレナ以外のキャラを狙って攻撃してくるからタラサとシェロはドールハウスにいた方がいい。

――王様に攻撃しに行くのは?

――発想が物騒。それは出来ない。王様の魔法で玉座周辺にバリアが展開されている。

Jに向かってジラフィムは剣を横に薙いで攻撃してくるのを、Jはしゃがんで回避する。

ジラフィムの剣の軌跡からかまいたちのような風切り刃が飛び周囲を切り裂く。

ジラフィムの攻撃の振り終わりにJはハンマーの平坦をジラフィムの顔面に叩きつける。

「ぐぅぉッ!」

600という数値とともにジラフィムのライフゲージがやや減少した。

――ジラフィムのライフは約15000。そろそろ敵も固くなり始めるシナリオの進行度だ。

ジラフィムは剣を片手で振り払いJを攻撃する。Jはハンマーの柄で大剣の攻撃を受け流し、ジラフィムに右手拳を当てる。

――パイルバンカー

ヌルが口ずさんだ瞬間、ジラフィムは空いた片腕でJに左フックの攻撃を仕掛ける。

――こっちの方が早い。

ジラフィムの攻撃が当たる直前、Jはパイルバンカーの拳を引き鉄杭をジラフィムに打ち込んだ。

ジラフィムの体が後退し、膝をつく。

『ウィレナ!魔法攻撃を!』

「任せて!炎熱の球体よ、爆ぜよ!フレイムスフィア!」

ウィレナの指先からサッカーボールほどの炎の球体がジラフィムめがけて飛んでいく。その球がジラフィムに接触した瞬間、一瞬周囲の空気を吸い込んだのち爆発を起こす。

「がはぁ!」

ジラフィムの体がやや焦げ付き、300程度のダメージが表示される。

Jはジラフィムが体勢を整える前に、大理石の床に向けて飛び出たパイルバンカーの鉄杭を押し込み鉄杭をリロードした。

「オオオオオオオオオオッ!」

ジラフィムは咆哮を上げ立ち上がり、その場で剣を高速で振り回した。剣先からは真空の刃がJとウィレナに飛んでいく。Jは速やかにメニュー画面から憑依頭骨をウィレナに使い、ウィレナと精神を入れ替える。ウィレナに乗り移ったJは、真空のかまいたちをジャスト回避で躱していく。

「くっ……!」

Jに乗り移ったウィレナも間一髪のタイミングで真空のかまいたちで躱す。何発か体に当たったようでJの体力ゲージが減少する。

『ウィレナ!回復しろ!』

ウィレナはJ本体の後ろを浮遊しているカルトゥムの壺から回復薬を取り出し飲み込んだ。みるみる傷がふさがっていき、体力ゲージが全回復となった。

――憑依のことと言いウィレナは動じないのね。

――ドールハウス内で今までのいきさつとか聞いたんでしょ。

Jはウィレナの体を操作し、魔法を使用する。

『フリーズリュミエール』

左の掌をジラフィムに向け右腕で左手を支える。手の中心部分から太いレーザー光線のようなものがジラフィムの足に照射され、次の瞬間、ジラフィムの足に氷がまとわりつき、ジラフィムの動きを固定した。

「小癪な……!」

Jは素早く憑依を解除し、ジラフィムへ突撃する。ジラフィムは腰の入らない両手振りで斜めに袈裟斬りを試みるが、Jは難なくそれを躱しジラフィムに密着、パイルバンカーを打ち込んだ。1250のダメージをたたき出し、足が固定されているため、後ろには吹き飛ばず、その場でジラフィムの上半身は大きくのけぞる。

のけ反った状態のジラフィムにハンマーの平坦を思い切りたたきつけ、ジラフィムを大の字で床にたたきつけた。Jはバックステップを行い距離を取る。

足の氷が砕け拘束が解けたジラフィムは一気に起き上がり、剣を下段後方に構え、ショルダータックルの体勢でJに突っ込む。Jはそれをジラフィムの方向にローリングしてジラフィムの横をすり抜ける。するとJの後方でジラフィムが剣を斬り上げ、天井に真空のかまいたちが突き刺さる。

『ウィレナ!衝撃魔法!』

「振動よ、閃光となりて打ち抜け!ショックブリッツ!」

ウィレナの周囲の空間がトーラス状に歪みそれが一気に周囲に拡散する。触れたものを吹き飛ばすその衝撃波がジラフィムを通り抜けるとジラフィムが後方に大きく吹き飛んだ。

そこに待ってましたと言わんばかりに、ハンマーを脇に構えたJが飛んできたジラフィムの背中を叩きつけ、ジラフィムは衝撃波の反対方向へ吹き飛ばされる。

――毎回思うんだけどJの戦闘ってサンドバックを殴ってるみたいね。

――攻撃を受けずに効率化を求めるとどうしてもこうなるんだ。これでも気を抜くと防具つけてないからほぼ即死なんだぜ?

ジラフィムのライフが半分を切り、ジラフィムは剣を支えに立ち上がる。シェロとタラサがドールハウスから出てくる。

そのジラフィムを見てレーヴェリオンは口を開いた。

「貴様らのことを侮っていたようだ。ジラフィム一人で相手するには荷が重いようだな。」

「陛下、私はまだやれます!」

「よい、下がれ、ジラフィム」

「……はッ……!」

レーヴェリオンは玉座からスッと立ち上がり、重厚な足取りで玉座前の階段を下りていく。

全身をマントで覆ってはいるが、ちらりと見える隙間からは重厚な鎧を着こんでいるのが見て取れる。1歩、レーヴェリオンが歩を進めるたび、ガチャリと言った金属音のみが玉座の間に響き渡り、そこにいた全員の瞳がレーヴェリオンに向けられていた。

タラサとシェロ、ウィレナの額からスーッと汗が滴る。ここにいる全員が瞬時に理解した。

レーヴェリオンは今まで戦ってきたどの敵よりも強い。

「これがお父様……いえ、たった1代でこの皇国を築き上げたレーヴェリオン陛下の重圧……」

「やば……!のどか乾くし、めっちゃ手震えちゃってるし……」

「ああ、気を引き締めた方がいい。油断すると一瞬でやられるぞ。逆に隙を見て逃げ出した方がいい。」

だが、レーヴェリオンが階段を降り終わるまでそこにいる誰一人、ピクリとも動けなかった。

「余から逃げれるなどと思わないことだ。」


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