第44話 4つ目のフラグメント
ウィレナは大粒の涙をこぼす。Jの後ろからタラサがひょっこり顔をウィレナにのぞかせウィレナに話しかける。
「J、この人がウィレナ姫なの?綺麗……!初めまして!アタシ、タラサ・ティール!Jの仲間だよ!」
「お初にお目にかかります。ウィレナ姫。僕はシェロ・キャッシャー。縁あってJと行動を共にする、しがない盗賊です。」
「そう……よろしく。それと私は姫じゃないわ。ウィレナで結構よ。」
『ウィレナ、何があったんだ?』
「私も分からないの。ジマリ村で捕まってすぐにここに連れてこられて後はそのまま……分かっているのは私が本物の姫じゃないらしいってことと後数日で処刑されることくらい……。」
「すぐにここから脱出しようよ!ねぇシェロ!ウィレナの鍵開けられる?」
「ああ、任せて。ウィレナ、足枷から外すよ。」
シェロはどこからともなくピッキングツールを取り出し、ウィレナの足かせを外していく。足かせが外れた後は両手の鎖を外し、ウィレナは自由となった。
「ありがとう、シェロ、タラサ。ねぇJ、私の従者として、いや、もう従者じゃないわね。」
『いや、従者でいい。もしウィレナが嫌なら、仲間として接しよう。』
「ええ、そう。J、ありがとう。仲間としてお願いがあるの。私、お父様に会いたい。会って話がしたいの。どうして私が偽物扱いされなきゃいけないのか。私、聞きたいの。」
「アタシ、賛成だよ!お父さんとじっくり話した方がいいと思う!」
「僕はJについていくよ。Jが賛成なら、僕も賛成だ。」
『ああ、国王に会いに行こう。』
「ありがとう、J」
ウィレナが仲間に加わった!
Jは再びシェロと精神を入れ替え、Jとタラサとウィレナをドールハウスに入れた。Jはウィレナの牢を出てまっすぐ進み、右手に入って来た階段を見ながらさらに先に進む。するとドールハウス内の会話が頭の中に響いてきた。
「ねぇタラサ、シェロ、二人はどうやってJと出会ったの?」
「そういえば、僕もタラサがJとどういう経緯で知り合ったのか知らないな。」
――ある程度メンバーがそろってきたりして、一緒に行動したりドールハウス内に一緒にいると会話イベントが発生する。
――移動中暇じゃなくていいわね。
Jはウィレナたちの会話を聞きながら牢屋エリアを進んでいく。
――ヌル、途中の牢にはフラグメントが隠されている。どうする?回収するか?
――そうね。フラグメントにはまだ謎の部分があるわ。回収してみた方がいいと思う。
Jは奥に見える扉3つ手前の左手の扉を鍵開けピッキングスキルを利用し開け、ベッドの下に潜り込む。ベッドの下には発光する水晶のかけらのような物体が宙に浮いており、Jはそれに手を伸ばす。するとJの視界が暗転し、目の前に映像記録が映し出される。
白く清潔感のある大学のゼミの研究室のような光景が目の前にあり、白衣姿の研究者らしき人影が右へ左へ行ったり来たりしている。そこにはホログラムや何かのプログラムのコードのようなものが壁にプロジェクターで投影されている。奥の扉から派手な髪色の白衣姿の女が部屋に入ってくる。
「あ、目覚めた?おはろん♪じゃあ今日の実験始めちゃおっか。○○はまだ来てないっぽいし、じゃあ今のうちにウチが昨日書き上げたこのコード試してみるっしょ。」
ぱっと見ギャルっぽいその女は手元のキーボードをカタカタと入力し、マウスをカチカチとクリックする。
「もぉ○○はこんなにきゃわわな子作っておいてぇ……大事なこと忘れてるし、あれだ、「魂作って仏入れず」……あ逆か。まぁウチが魂入れてあげるし!ほーら!ウチがママですよっと!」
ギャルっぽい女は元気よくエンターキーを押した。
すると目の前が急にチカチカとしはじめ、ギャルの周囲をきょろきょろと見回す。
「ほーら!やっぱり自分で動いた方が可愛いって!あとで○○に報告しよ!じゃあ今のうちにインプリインプリっと♪」
ギャルはさらにキーボードにコードを書き込んでいく。
Jの意識はここで薄れ目の前の映像が明るく真っ白になっていき、気づくと牢屋の中のベッドの下に戻っていた。
Jはベッドの下から這い出る。
――これは何かの映像記録だな。ギャルっぽい女は前に見た地味な女の子と一緒にいた子だろう。
――なぜ今になってこんな映像がゲーム内に流れるようになったのかしらね。J、あなた心当たりはない?
――ないな。おそらく他のフラグメントにも似たような映像が記録されているんだろう。おそらく今までのと繋がるはずだ。移動経路にフラグメントがあれば逐次回収してみよう。
――そうね。それがいいと思うわ。




