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第30話 VS料理人

奥の部屋から腹をでっぷりと膨らませた大柄の男が巨大な肉塊を持って声を荒げて指示を出している。「うォラァッ!なぁにちんたらやってるだァ!そんなんじゃお前らからひき肉にしちまうぞォ!」

大柄の男はドガッと肉塊を調理台に乗せ、鉈よりも大きな包丁でドカドカ肉を裁いていく。

――恐ろしいパワハラね。

――ここの調理場のボスシェフの『コション』だ。

――宝物庫の鍵はグルニが一つ持っていて、スペアキーがもう1本ある。そのスペアはグルニの直属の部下のここの調理場のボスである『コション』、使用人長である『マヤレ』、警備兵長の『シュヴァイン』が分割して持っていて、3人の鍵を合成するとスペアキーが出来る仕組みになってる。そして宝物庫にはスライム魔法が組み込まれている落果遺物がある。

――確かに、コションの首に何か金属片がぶら下がってるわね。あれが鍵か。

Jは調理台の影に中腰のまま移動し、コックに見つからないようにコションの近くに移動していく。道中、見つかりそうな個所では、調理台の上の果物を行きたい方向の反対側に投げ、コックの注意を逸らしてその後ろを抜けて移動していく。

コションの近くまで移動すると、コションは次に捌く肉塊を取りに隣の部屋に移動した。Jはその後を追い、部屋の中に入っていく。すると、扉がばたんと締まり、コションが振り向く。Jは吊り下げられた肉塊の影に隠れてやり過ごす。Jはそのまま天井から大量の肉が吊り下げられた部屋の奥へと移動していく。部屋の中は冷気が充満しており、Jの口から白い吐息が流れ出る。

――コションは他のやつと同じように締め落とすの?

――いや、無理だ。あの首の肉が邪魔で手が回らない。……このあたりまで近づくと……

Jがコションの1メートルほど後ろに近づくと、背後のぶら下がっている肉がどさっと落ちた。

するとコションが勢いよく振り向き、ぶら下がっている肉を手で押しのけ肉がレールに沿って左右に開かれる。部屋の中央に半径数メートルの空間が出来上がった。コションは大股でJとの間合いを詰め、Jの首をつかんで持ち上げる。

Jは苦しそうに足をじたばたさるが、コションは意に介さず口を開く。

「お前ェ……客じゃねぇなァ……?どうやら調理場に悪い獣が入り込んじまったらしい。ちょうどいい、今日のメインディッシュは獣のジビエ料理にすっぺなぁ!」

コションはJの首を落とそうと鉈包丁を振りかぶる。Jは近くの肉を蹴り肉が持ち上がりそして勢いよくコションに激突し、コションはJを落とす。

「悪ぃ獣だァ!いっぱい叩いてやっこい肉ぅにしてやるべ!」

――戦闘開始だ。

Jは立ち上がる。そしてすかさず肉の壁の裏に移動する。

「隠れても無駄だべぇ!すぐに見つけ出してやるからなぁ!」

 肉の壁に沿ってコションを中心に回り込み、背後から後頭部めがけてハンマーの平坦部分を叩き下ろす。ゴォンッと鈍い音が部屋中に響き渡り、コションが振り向く。

「痛ぇなぁお前!」

コションは前のめりになるが倒れずに振り向きながらその勢いのまま鉈包丁で薙ぎ払い攻撃を仕掛ける。Jは肉をスライドさせ、その鉈包丁を肉の壁に突き刺させる。

「むぅ!骨に引っかかったか!」

コションが両手で鉈包丁を引き抜こうとして足で突き刺さった肉塊を蹴る。片足立ちになった瞬間に、Jはコションに足払いをかけ、コションにしりもちをつかせる。すかさず腹部に右手を添える。

――パイルバンカーを使ったら殺しちゃうんじゃない?

――こいつは腹の脂肪が厚くてパイルバンカーの杭が致命域まで届かない。ただし衝撃は届くから体力ゲージの方が大きく減る。

Jは手首を捻りパイルバンカーを射出した。

「どぶぅぉおッ!?」

コションの巨体がくの字に曲がり地面で跳ねる。Jはパイルバンカーの発射衝撃により後方に後ずさりし、ハンマーを持ち替えた。コションは腹を抑え立ち上がり、激昂する。

「兄ィちゃんに殴られた時より痛ってぇ!許さねぇ!おいらの腹に穴ァあけやがって!」

コションは両手を広げJに掴みかかる。Jは体勢を中腰にして前転でコションの股下を抜け、すぐさま振り返りコションの背後を思い切りハンマーで殴った。コションは肉の壁に突っ込みうめき声を上げる。

――ここまでボコボコだとちょっと気の毒ね。

「ぬがぁアアアアアッ!」ッと肉の山の中からコションが雄たけびを上げ立ち上がるが、Jはそのままコションの頭部にハンマーを叩き下ろす。コションの頭部が肩の高さと同じくらいまで凹み、コションは気を失った。

 Jはコションの首元から鍵のパーツ①を入手し、部屋を後にする。

――あれで死んでないっていうのが驚きね。

――丈夫な人間なんでしょ。多分。

帰り道も行で来た時と同様、調理台の上に載っている果物を進行方向反対側に投げ、調理場で作業中のコックたちの注意を引き調理場を後にする。階段を登っていくと、Jが締め落とした使用人が起き上がろうとしており、Jは再び起き上がったばかりのその使用人を絞め落とした。

――可哀そう。

――俺もそう思う。

Jは続いて階段を登りバルコニー下の部分に出る。バルコニー下は通路になっており、広間とは柵を隔てている。Jは警備兵が右から左に移動したのを確認して右手へ中腰のまま進んでいく。突き当りの部分で少しだけ待機し、使用人の視界に入らないように横をすり抜け、左手へ曲がる。そして大広間の扉から玄関ホールへ抜けると、正面玄関の扉を横幅のある兵士の服を来た大男が外に向かって出ていった。背中には大きなハンマーを携えている。

――私分かったわ。あいつが警備兵長の『シュヴァイン』なのね。

――正解。

 Jは外に出ていったシュヴァインの後に続いて玄関外へ出る。玄関外はロータリーになっており、中央に噴水があり、その向こうの門の外へ馬車が出ていくところだった。シュヴァインと部下の警備兵2人はそれを手を振って馬車を見送っている。シュヴァインが振り返るとJと目が合い一瞬の間の後にシュヴァインが口を開く。

「あれ?お客様か?なぁこの人お客様か?違うよなぁ?おいら今日こんな人見てねぇし、何よりそんな恰好が貴族サマなワケねぇべ!」

シュヴァインは警備兵2人にJのことを客かと聞かれたら警備兵は二人とも「違います」と答える。

――ここは『貴族服』以外で来るとこういう反応になって戦闘になる。貴族服は金をためて町の服屋で買える。貴族服を着て鍵を見せてもらって返すときに偽の鍵を渡せばいい。

――そういってもパンツ一丁がお客様な訳ないじゃない

――その通りです。


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パンイチwww
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