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第29話 潜入グルニ邸

――通常プレイなら、まず使用人たちの話を盗み聞きして屋敷の地図を入手する。その後、使用人室に移動する。そこで使用人の服を手に入れれば屋敷内を自由に移動できるようになるからだ。

――今回のプレイなら?

――使用人の服は取らない。使用人と巡回兵のルートは全て頭の中に入っている。

Jは幅3メートルほどの通路を走り、丁字路の突き当たりの壁手前にたどり着くと、壁に背を向け、丁字路右手からくる使用人を自分の方に引きずり込み締め落とした。締め落とした使用人を両肩で担ぎ上げ、そのまま使用人が来た方向へ移動する。すると大広間のような箇所にでる。

そこは中央に大きな階段があり、階段中央丈夫に大扉がその口を閉じている。その手前から両端へさらに中くらいの階段が続き、そこから同室内のバルコニーが伸びており、その両側のバルコニーからは奥、中央、手前に階段が続いている。両端のバルコニーに巡回兵がそれぞれ2人、大広間の下部分ではパーティーが開催されており、ドレスやスーツ、タキシードを身に纏った貴族たちが立ちながら何やら会話をしている。天井にはきらびやかなシャンデリアがいくつも吊り下げられている。

階段上部の大扉がバタンと開き、中から太った初老の男性がタキシード姿で出てきた。初老の男性はくるりと巻いた髭を生やし眠そうな目つきをしており、その初老の男が出てくると先ほどまでにぎやかだったパーティー会場がスンッと静かになる。男の背後には黒いフードを目深に被った傭兵のような風貌をしており、Jと一瞬目が合ったような気がした。Jは頭をスッとひっこめる。

――『使用人服』とか『貴族の服』を手に入れると下の使用人達から話を聞ける。あのフードの男は『エイナス』。シェロパートのボスキャラだ。

――あの太っちょがボスじゃないんだ。

その初老の男がばっと両手を広げ、会場全体に聞こえるような声で話し始めた。

「やぁやぁ皆様方!今宵も私、グルニ伯爵の絢爛たる宴へようこそ!」

グルニと名乗った男は階段上から会場を見下ろし言葉を続ける。

「ぶひゃひゃひゃ!この度!私めは、王都の貴族を脅かすシェロ盗賊団壊滅させ!さらに頭領であるシェロ・キャッシャーを捕らえ、その首に縄をかけてラトロ監獄に収監した次第にございます!皆様の財産!家族は今後盗賊団の影に怯えることのない生活を私が保証致しましょう!」

――こいつ嘘付きだけどな

――どの辺が嘘?

――盗賊団に怯えることないって話。

グルニは階段を下りながら演説を続ける。

「この度!私めは盗賊団に盗まれた落果遺物『モロ』を一度は取られるも!モロは自ら助けを求め、見事、駆け付けた警備兵により、シェロ盗賊団盗まれた落果遺物『モロ』を取り返し、さらに団長シェロを捕らえた次第にございます!」

場内で拍手が沸き起こる。グルニは両手を広げその太った全身に拍手を浴びる。やがて拍手が鳴り終わるとグルニは両手を顔の横ではたき使用人を呼びよせる。使用人は土偶のような見た目の落果遺物を持ってきて、それを階段上の大扉前に台座を用意し、その上に乗せた。グルニは踵を返し階段を登り、その落果遺物に話しかけた。

「モロ君。会場の皆様に挨拶なさい。」

すると、モロは片言の言語で喋り始めた。

「レディースアンドジェントルメン、コヨイハ、グルニサマノパーティーニオアツマリイタダキマコトニアリガトウゴザイマス。」

「いいぞ!モロ君。ちゃんとご挨拶出来たな。」

「ハイ。グルニサマ。オホメイタダキタイヘンコウエイニゴザイマス。」

会場内からどよめきが起こる。

「すごいわ!あの落果遺物!自分で考えて喋れるのね!」

「なんてレアな落果遺物なんだ!さすがはグルニ殿!王都随一の落果遺物コレクター!」

「盗賊団を壊滅してくれてありがとうございます!さすがはグルニ殿!」

「すごいメェ!あの落果遺物自分で喋れるんだメェ!」

――ギャグかしら?

「カルトゥムの方がすごいもん!喋れるし浮けるんだもん!」

ドールハウスの中からタラサがやきもちを焼く声がする。

グルニは片手を上げ場内のどよめきを制止する。そしてにたりとした自慢顔で話し始めた。

「皆様、ご静粛に、さて、今宵皆々様にお集まりいただいたのは、別の報告があるからにございます。この度、私、グルニ中級伯爵は、盗賊団を成敗したという実績から皇帝陛下より直々に上級伯爵への昇級を進められ(位を進められ/上級伯爵への昇級を勧められ)、晴れてグルニ上級伯爵となった次第にございます!」

場内からさらなる拍手が沸き起こる。

「それでは皆々様、今宵も盛大なパーティーをお楽しみください!」

グルニはそういうと振り向いて階段上部の大扉を開け中に入っていく。

Jはその間に、向かって担いできた使用人を投げる。投げられた使用人はバルコニーの柵に当たって止まった。バルコニー上で近くを巡回していた警備兵は、投げられた使用人に向かって小走りで走ってくる。

「おい!どうした!何があった!?」

使用人に声をかけようとしゃがんだ警備兵の首根っこを掴みその場でチョークスリーパーをかけ警備兵を絞め落とす。Jはそのまま向かい側の警備兵に手で合図を送り、異常を感じた警備兵を他の2人同様にそれらを寄せ餌にし締め落とした。バルコニー上部の警備はこれで壊滅となった。

Jは壁にある突起を掴み壁を登り、天井に吊り下げられているシャンデリアに向かって壁を蹴りジャンプした。シャンデリアの上部につかまると、シャンデリアはぐわんと揺れる。

Jはシャンデリアによじ登り、隣のシャンデリアに飛び移る。再びシャンデリアが揺れ、シャンデリアをどんどん飛び移っていく。そして反対側のバルコニー部分に着地し、ローリングで落下の衝撃を吸収し、スッと中腰の体勢に移行する。

奥の通路には警備兵が丁字路の左右を行き来しており、警備兵が左手に移動したのを見計らってギリギリかすめる距離をすり抜けて右手へ移動する。移動した先には使用人が奥に向かっており、その手前側左に上下に向かう階段があり、Jは下への階段を(ローリングで?)駆け下りる。更に下に続いており、Jは下へとさらに降りていく。すると階段下からオードブルをトレーに乗せた使用人が上がってきており、Jは階段の手すり部分に腰をかがめ使用人を待ち構える。使用人がこちらに体を向けた瞬間、Jは右手を使用人の首に回し左手をトレーに携え、速やかに使用人を絞め落とす。トレーが落ちて周囲に気づかれないようにそっとトレーを床に下ろす。そして使用人が来た方向へ振り返り階段を降り進むと、扉があり、『厨房』と書かれたプレートが扉の上部に張り付けてある。

Jはその厨房の扉を開け中に入る。

厨房ではコック姿の使用人達があくせくと材料を煮込んだり切ったりしている。


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