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第26話 タラサ、剥かれる

――フタロイの村に行く時よりは次の目的地であるラトロ監獄に向かう。ただ、その前に王都に寄って行く。

高速移動しながらJは装備メニューを開く、装備メニューを開きながら行商人や、たまに道に転がっている岩、木々を回避しながらウィンドウで操作していく。と思ったらタラサの服をウィンドウ上で脱がし、脱がした服をドールハウスのクローゼットに押し込んだ。

「J!何をする!アタシの一張羅なんだぞ!大事に扱えよ!」

タラサはスポーツブラにドロワーズの格好でJとともに高速移動している。

――この子も脱がすのね。

――装備重量が軽いほうが早く移動できるし、衣服のコリジョンで意図しないバグが起きないようにするためにな。

――意図するバグはバグじゃない。仕様よ。

下着姿の一行は通り過ぎる人々に奇異な目を向けられながらしばらくスライド移動を続け、やがて煉瓦によって舗装された立派な道路にたどり着いた。

――道中で通行人に話を聞くと、この先のラトロ監獄に、「王都を騒がせたカルエム義賊団の団長が幽閉されている」とか、「同業の盗賊や悪徳貴族からしか盗まない」とか「その義賊団は壊滅した」「姫の処刑の前座で処刑される」「かつて王城に盗みに入って捕まったやつもいるとか」とか話を聞ける。

――鼠小僧的な奴なのね。

――鼠小僧か。よく知ってるな。それの盗賊団版ってところだ。

――AIだもの、私のアーカイブを舐めないで頂戴。

――この盗賊を仲間にする。

――愉快なパーティーになってくるわね。

行きかう人々に激突しないようにすり抜け、堀に囲まれた牢獄の周りにある堀に沿ってスライド移動し、崖に激突して停止した。

ラトロ監獄。フタロイ村から王都へ向かう途中にある牢獄で、ティーア皇国全土から野盗、盗賊、詐欺師、強盗、殺人犯等、大小さまざまな罪を犯した悪人が投獄されている。

それ故、中から決して脱獄者を出さないように5メートルもの高い塀で囲まれており、塀の上部にはびっしりと剣山のような細い棘が無数に突き出している。唯一の出入り口らしき跳ね橋は今は上がっており、中に入ることが出来ない。監獄の周囲は切り立った崖に囲まれており、中からの脱獄をさらに厳しいものとしている。ラトロ監獄前は、刑期に服している囚人たちが開拓した土地や道路が整備されており、王都までレンガ造りの道路が続いている。

――中への侵入方法は、①:崖の上からダイブ。②:囚人として潜入。③:王都の刑務官として派遣される。④:運搬用の馬車に乗って密入所する。の4つがある。

――今回はどれをするの?

――①の崖の上からダイブを行って潜入する。②と④は正邪ゲージが邪の方に行ってしまうからRTA向きじゃない。③は正ゲージが増加するけど、イベントに時間がかかる。①のダイブするやつなら、今後必要になる装備も手に入れられるし、一石二鳥だ。

――崖から飛び降りるなら前に秘密基地のところから降りるときみたいにちょっとずつ岩壁を掴んで降りていけばいいんじゃない?

――牢獄脇の壁はオーバーハングしていて手を離すとがけ下まで一気に真っ逆さまだ。だからその手は使えない。

 岩壁に手をついてJはタラサに指示を出す。

『崖を登るからドールハウスの中に入っててくれ。』

「分かったわ。カルトゥム。お願い。」

「了解だメェ!」

タラサはカルトゥムにドールハウスを預けドールハウスの扉を開ける。するとタラサは光の粒子となってドールハウスの中に吸い込まれていった。

「今後ドールハウスはボクが運ぶメェ!仲間を呼び出したいときは僕に言うといいメェ!」

Jは崖に手を伸ばして登り始める。振り返ると後方にカルトゥムがふわふわ浮いてついてきている。

――崖のぼりの要領はタラサの秘密基地で登ったやり方と一緒だ。どの岩壁にも途中で休憩できるポイントが設けられている。

Jはまるで壁を歩くようにすいすいと壁を登っていく。

――サイバークロプスを倒したことによってレベルが上がって体力上限が増えたから大分楽に登れるようになったな。

ものの20秒足らずで30メートルの崖を登り、崖の上へ移動する。

ラトロ監獄を崖の上から見下ろすと、直方体のブロックが規則正しく配置され、それが2階、3階と段々に積み重なっている。それが階段状に構築され、外から中が一目瞭然になるようになっていた。その階段状の下部分に刑務官がランタンを持って巡回している。

Jはカルトゥムにドールハウスを開くように命令し、中からタラサが出てくる。そして出てきたタラサにJは相談を持ち掛けた。

『この高さを飛び降りたいんだが、何かいい落果遺物はないか?』

「それならスライム魔法が組み込まれてる落果遺物があるといいと思うな。落下直前に地面に投げればスライムが展開されて着地の衝撃を吸収してくれるっていうの。」

『作れないか?』

「今手元にある材料だと無理かなー……王都まで行けば色々落果遺物が集まってるらしいからもしかしたら作れるかも。」

『王都に行けばいいんだな?』

――これで王都で必要な材料が手に入るようになる。

――フラグを立てる必要があったのね。

Jはワープホールを今いる崖上に設置する。これでワープホールは使い切った。どこかで手に入れなくてはいけない。Jは登ってきた崖を落ちながら崖つかまりをしスイスイと落ちながら着地する。登るときはドールハウスに入っていたタラサだが、落下時はJと同じように降りてきている。

――この子中々のフィジカルね。

Jはタラサを利用し『ウォールトワイスランニング』で再びスライド移動を開始する。


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